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接点で前に出る帝京大学のFL青木主将
9月7日に開幕したラグビー関東大学対抗戦は、全チームが2試合ずつ消化し、29日(日)から、3試合目を迎えた。東京・秩父宮ラグビー場では、昨年の王者・帝京大学に、昨年6位の立教大学が挑んだ。
帝京大学は日本体育大学(67-6)、青山学院大学(40-5)に勝利し、明治大学、早稲田大学、筑波大学の4校とともに開幕戦から連勝スタートを切った。
一方、5位以内で初の大学選手権出場を目指す立教大学は、開幕戦では早稲田大学に6-57で敗れたものの、先週の筑波大学戦に23-29と敗戦したが、7点差以内でボーナスポイント「1」を得た。
なお、両校の過去4年の対戦は帝京大学が83-0、88-0、103-0、106-7と立教大学を圧倒している。今年も帝京大学が優勢に試合を運ぶか。それとも前節は筑波大学に善戦した立教大学が接戦に持ち込むことができるか。
開幕3連勝を狙う帝京大学の相馬朋和監督は、前節から5人のメンバーを入れ替えてきた。一方の立教大学は先発メンバーは1人の交替のみと、ほぼ前節と同じ布陣だった。時折、小雨が降る中、試合は午後3:00キックオフされた。
ラグビー 関東大学対抗戦2024
試合は序盤からキャプテンFL(フランカー)青木惠斗(4年)らが接点で前に出てチームを引っ張り、帝京大学のペースとなる。前半9分、ラインアウトからモールを形成し、その後、左に展開しWTB(ウィング)森寛大(4年)が先制トライ。
落ち着いてゲームをコントロールした帝京大学SO大町
さらに11分には、WTB生田弦己(3年)がゲインし、SO(スタンドオフ)大町佳生(3年)のキックパスを、先発デビューを果たしたFB(フルバック)石原幹士(2年)がファイブポインターとなった。
トライを挙げる帝京大学WTB森
その後も帝京大学は攻め手を緩めない。21分には1年のCTB(センター)佐藤楓斗(尾道出身)の裏へのキックを、再びWTB森が押さえてトライ、29分にはタップからNO8(ナンバーエイト)カイサ・ダウナカマカマ(2年)が自ら押さえてトライ。
ラグビー 関東大学対抗戦2024
【ハイライト】帝京大学 vs. 立教大学|「紅き旋風」が13トライで圧倒
さらに31分には、自陣からつないでWTB生田がトライ。40分にはラインアウトモールからHO(フッカー)當眞蓮(4年)が、7つ目のトライを挙げて、43-0で前半を折り返した。
トライを挙げる帝京大学WTB生田
後半も帝京大学はテンポよく攻めて、6分、SH李のパスを走り込んだFL青木がキャッチ、そのまま中央にトライを挙げて50-0とした。
その後、帝京大学のWTB生田が危険なタックルで、シンビン(10分間の途中退場)となり、数的不利となったが、それを感じさせることなく、12分にはSO大町のオフロードパスを受けたFB石原が2つ目となるトライ。14分にはキックオフのボールからつないで、最後はCTB上田倭士(2年)がトライを挙げて、64-0として勝負を決めた。
ラインアウトからトライを挙げた立教大学FW陣
その後、ようやく立教大学の時間帯となり、26分、モールを起点にFW(フォワード)が前に出て、最後は1年のLO中山英琥(東福岡)が左隅にねじ込み、7点を返した。
しかし、帝京大学は地力の差を見せて、32分には途中出場の1年のLO坪根章晃(東福岡)、34分にはFL甲斐敬心(2年)、ロスタイムにはSH上村樹輝(4年)がトライを挙げ、終わってみれば後半も6トライを重ねた帝京大学が85-7で快勝し、開幕3連勝を達成した。
MIPに輝いた立教大学LO中山
なお、POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)は接点で前に出続け、トライも挙げた帝京大学のキャプテンFL青木が選ばれた。MIP(モースト・インプレッシブ・プレイヤー)には立教大学で、唯一のトライを挙げたLO中山が選出された。
今年も圧倒されてしまった立教大学の福田明久総監督は「帝京大学はフィジカルが強いので、立教大学としてはそのフィジカルにスピードと前に出ることで向かっていこうとした。ただ、最初の部分で受けてしまって、前に出る力がなかった」と振り返った。
キャプテンのSH伊藤光希(4年)は「昨年のチャンピオンチームにチャレンジすることがテーマだったが、不甲斐ない試合をしてしまった。例年通りの点差になったことは悔しい思いはあるが、下を向いて落ち込んでいる暇はないので、次の試合に向けて、今日出た課題を修正して、しっかりチャレンジャーとして臨みたい」と前を向いた。
一方、帝京大学の相馬監督は「開幕から中々難しい試合が続いていたが、この試合は青木キャプテンを中心に、帝京らしい試合を選手がしてくれて、選手たちも少し満足感を得てくれた」と話した。
POMに輝いた帝京大学のFL青木キャプテン
POMに輝いたFL青木キャプテンは「開幕から苦戦している試合が続いていたが、僕自身の表情が暗くなったり、パフォーマンスが落ちたりしたら、チームにどれだけ影響があるか学べた。今日は帝京のスタンダードを示そうと常に表情をして、良いプレーを80分心がけて、チームとしてもこのような結果を得られたことは大きな成長になった」と笑顔を見せた。
開幕から3連敗となった立教大学、次戦は10月12日(土)の群馬・太田市運動公園陸上競技場で、3連勝の明治大学に挑む。
セットプレーと接点で強さを見せて3連勝を飾った帝京大学は10月20日(日)の次戦は、太田市運動公園陸上競技場で、開幕連敗スタートとなった慶應義塾大学のチャレンジを受ける。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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