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廣瀬佳司監督
関東に続いて、9月22日(日)からラグビー関西大学リーグが開幕する。優勝候補は何といっても3年連続の関西王者で、大学選手権ベスト4の京都産業大学だ。20日(金)、開幕を2日後に控え、2021年から指揮官を務めている元日本代表SOで、大学OBの廣瀬佳司監督が報道陣に対応した。
昨シーズン、10度目の準決勝で敗戦し、大学選手権ベスト4に終わった京都産業大学。4シーズン目の廣瀬監督はCTB(センター)/FB(フルバック)辻野隼大、LO(ロック)ソロモネ・フナキ(ともに4年)の2人をキャプテンに指名した。
共同キャプテンのLOフナキ(左)とCTB辻野
「どっちもキャプテンシーがあり、ちょっと決めかねていて、それだったらポジションもFW(フォワード)とBK(バックス)なので、2人でいいんじゃないかという感じです」と廣瀬監督。
共同キャプテンのメリットに関して監督は、「ラグビーのキャプテンはすごく負荷が高く、しかもケガのリスクもある。幸い今年は2人いたので、お互い役割分担して、負荷を分散させることができる」とも話した。
昨季の国立競技場を経験している選手も多かった京都産業大学は、5月に天理大学に快勝すると、関西大学春季トーナメントで、同志社大学、近畿大学、関西学院大学に危なげなく勝利して優勝を飾った。また、夏の菅平合宿では、明治大学に31-48で敗戦し、東海大学には35-35でドロー、慶應義塾大学には40-26で勝利した。
廣瀬監督は「明治大学にはいい試合がしたくて、しっかり準備していったのですが、走られて、スクラムを押されて完敗した。そこからもう1回、京産らしさを取り戻そうとして、東海大学には引き分けで、慶応義塾大学には勝ち切ってくれました。だが、課題がすごく出た合宿で、ある意味良かったと思っている」と振り返った。
菅平合宿の反省点を踏まえて、もう一度、セットプレーを見直すこと、フィジカルを鍛えること、チームとして結束することを課題に挙げて、開幕までの3週間、京都に戻ってチームを仕上げてきたという。
指導する廣瀬監督
また、夏合宿ではボールを動かすことにもチャレンジした。それは昨シーズンの大学選手権準決勝からの反省からだった。「フィジカルで前に出られないときに、京都産業大学の殻を破って、いろんなオプションを増やしておきたい」という意図からだった。
その上で、ボールを動かす10番として、開幕の同志社大学戦で10番を背負うのは「タックルが強く、前が見える」というSO(スタンドオフ)尾崎恵大(3年)だった。
開幕戦でFB(フルバック)で先発する那須貴大(3年)、ロングキッカーの吉本大悟(3年)と、3年生の3人で競わせる方針だという。そしてケガ人の関係で、キックも長けている辻野共同キャプテンがFBではなくインサイドCTB(センター)となった。
正9番争いも同様で、春から夏にかけて日本代表やU20日本代表活動に参加したSH(スクラムハーフ)土永旭(4年)、高木城治、村田大和(ともに2年)の3人を競わせており、開幕戦では「一番調子の良い」土永が先発し、高木が控えとなった。
FLで先発する石橋 チューカと、初先発のPR八田 優太
また、廣瀬監督が今シーズン、推している成長株としてはPR(プロップ)八田優太、フィジー出身のWTB(ウイング)ナブラギ・エロニ(ともに2年)だ。2人とも開幕戦から先発する。
特に八田に関して監督は「(U20日本代表で)身体も大きくなって成長して帰ってきてくれた。ポテンシャルはもともとあったし、ジェネラルプレーは非常にいいものを持っている。スクラムも組めるようになってきた」と期待を寄せた。
ラグビー関西大学リーグ2024
指揮官に就任して4年目となった廣瀬監督だが、指導面では「変えていません」と強調しており、自身がアタック、元日本代表CTB(センター)元木由起雄GM(ゼネラルマネージャー)がディフェンスを担当していることは変わらない。
田倉政憲FWコーチ
ただ、大きく変わったのが、主にスクラムを担当していた元日本代表の田倉政憲FWコーチが、今シーズンから週末だけでなく、フルタイムのコーチに就任したことだ。朝のフィジカルトレーニングから田倉コーチが練習場に来て、廣瀬監督は「ガンガン鍛えてくれています」と目を細める。
もちろん、田倉コーチはFW、モールも担当しており、練習時間こそ伸びていないが、練習の質は大きく向上したという。「特にスクラムは専門性が高いので、平日に学生だけで練習すると、馴れ合いみたいなスクラムしか組めなかったのですが、スクラムを見てくれる田倉コーチがフルタイムになったのは非常にありがたいですね」。
今年は関西リーグ4連覇だけでなく、大学選手権初優勝を狙える人材が揃っていると言えるが、廣瀬監督は「もちろんトップを狙いたいが、あまり先を見ずにいきたい。まずは関西で絶対に4連覇したい」と語気を強めた。
「夏合宿で課題が多く出たので『もっとやらなあかん』という感じにはなっている。関西も近畿大学、関西学院大学、天理大学は夏合宿で関東の大学と良い試合をしていた。他の大学の方が、春から伸びているという危機感はすごくあるので、『日本一、日本一』と言ってられへんな、というところが正直ある」。
改めて、今シーズンはどんなラグビーをしたいかと聞くと、廣瀬監督は「京産大らしく、泥臭くひたむきにFWでガツガツ前にいって、プレッシャーかけるようなラグビーをしたい。セットプレー、接点で制圧したい。相手も必死でタックルに来ると思うが、そこを負けずに京産大らしいラグビーが展開できれば」と先を見据えた。
最後に、今シーズンの目標を聞くと廣瀬監督は、「目標は高く掲げますが、関西リーグはどの試合も厳しい試合ばっかりになると思うので、一戦一戦しっかりと京産大らしく、全試合戦っていきたい。そして、関西リーグを戦っていく中でチーム力を上げて、大学選手権で日本一を目指すぞっ、と言って乗り込みたいと思う」と腕を撫した。
昨年は全勝で関西を制した京都産業大学。今年も一戦必勝でまずは関西リーグで4連覇を達成することが第一関門となろう。そして関西王者として、大学選手権に挑んで今シーズンこそ決勝に進出し日本一にチャレンジしたい。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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