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ラグビー コラム 2024年9月20日

充実の布陣で4連覇狙う京産大。同志社大はスピードと防御で切り拓く

ラグビーレポート by 田村一博
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かつてはリーグ戦の終盤、優勝決定戦でおこなわれていたカードが開幕の日におこなわれる。
連覇中と挑む側。そのジャージーの色も以前とは変わった。

9月22日(日)、関西大学Aリーグが開幕する。全8校が東大阪市の花園ラグビー場に集まる。第Iグラウンドの第2試合で開催されるのが、京都産業大学×同志社大学だ。

チーム史上初の関西3連覇を成した昨季。3年連続全国大学選手権4強入りも含め、京産大の充実が続いている。才能豊かな選手たちも全国から集まり、選手層も厚くなってきた。

日本代表やU20代表に招集された選手たちも多数いる。
昨季全国大会の舞台を踏んでいる選手たちも多く、今春の関西大学春季トーナメントも制した。

同志社大は昨季、関西大学リーグで7戦全敗。部史上初の最下位(8位)に沈んだ。大学日本一4度の名門校は巻き返しを誓って今季の活動をスタートさせるも、関西大学春季トーナメントでも最下位だった。
しかし好素材は多い。夏を超え、成長した姿を見せたいところだ。

京産大の共同主将を務めるのは、FWのソロモネ・フナキとBKの辻野隼大だ。両者とも経験豊富で、プレーに安定感が増している。
開幕戦ではフナキが5番。辻野は12番に入り、ゲームキャプテンを務める。FBの位置には怪我から復帰の奈須貴大が立つ。

チームは今年も、試合勘と組織力を高めるために菅平で夏を過ごした。明大には敗れたものの、東海大と引き分け、慶大には勝った。
合宿MVPの栄誉は、フナキ共同主将に与えられた。

 

開幕に向けてコンディションも整った。怪我人の復帰もあり、多くの選手を起用するシーズンになりそうだ。
特にSHが充実している。4年生で日本代表候補のトレーニング合宿や、U20日本代表中心のジュニア・ジャパンに選ばれた土永旭(どえい・あさひ)に加え、U20日本代表選出の高木城治村田大和がいる。

土永と高木は、新しく設けられたジャパンタレントスコッドのメンバーにも選ばれ、高いコーチングを受けてさらに知見を広めた。2人が開幕戦のメンバーに名を連ねた。
村田は日本代表合宿に招集されてトップ選手と汗を流し、寝食を共にする貴重な経験をした。それぞれが学んだものをチームへ還元する流れもできている。

SH陣から発信される刺激は、同じようにFWにもある。PR八田優太、FL石橋チューカが代表活動で多くを学び、それを赤と紺のジャージーでも活かす。
2人は開幕戦でも先発メンバー入り(それぞれ3番と6番)、チームに勢いを生むパフォーマンスが期待される。

同志社大は春のトーナメントの2回戦で対戦し、43-7と大勝している。しかし廣瀬佳司監督は、「過去も未来も関係なく、いま、この一瞬を全力で戦うだけ」と話す。
「同志社がどうというより、自分たちにフォーカスして戦います。目標は高いところに置きますが、一戦一戦、チームのベストを尽くしていくだけです」

同志社大は復活を期す今年のスローガンを『ORIGIN』とし、原点回帰からの上昇を狙っている。
新しく指揮を執る酒井優ヘッドコーチは、「同志社スタンダードを取り戻すために準備を重ねてきました」と話す。

試合など交流できる相手がいない北見で夏合宿をおこなったのも、自分たちがやるべきことについて集中して強化し、高めるためだ。
指揮官は、「今年はFWが大きくない。スピードで勝負します。走るスピードはもちろんですが、セットするスピード、ポジショニングのスピードなど、いろんな局面で上回りたい」と話す。

開幕から京産大、天理大と、上位校との戦いが続く。「やってきたことをどれだけ出せるか」が大事。それが、その後のシーズンを左右するだろう。
熱いハートの持ち主のLO寺北亘佑はリーダーシップがある。周囲を鼓舞して勝利をつかみにいく。

シーズン前の仕上げに組んでいた8月30日の慶大戦は荒天のため中止となった。しかし、開幕直前には朝日大と練習試合を戦い、ハードな留学生と体をぶつけた。

「挑戦する準備はできています」と話す酒井HCは、開幕戦のCTBに4年生の田中勘太と2年生の森岡蒼良を起用した。田中は秋の公式戦初出場。森岡も僅かなプレータイムしかないが、指揮官は「ディフェンスでチームを引っ張ってくれるはず」と期待を寄せる。

グレー×紺の12番、13番のタックルが、最後まで目立つ展開に持ち込みたい。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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