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【ハイライト動画あり】衝突局面はトンガ。セットプレーはカナダ。長所が激突した5位決定戦「トンガ×カナダ」。パシフィックネーションズカップ2024
ラグビーレポート by 多羅 正崇
長所をぶつけあう好勝負になった。
9月14日(土)に東京・秩父宮ラグビー場で行われたパシフィックネーションズカップ2024の5位決定戦「トンガ×カナダ」。
プールフェイズ2戦全敗同士の対決は試合前、トンガ(世界ランキング16位)の勇壮な舞踊「シピタウ」に始まったが、まず攻勢したのはカナダ(同22位)だった。
J SPORTS オンデマンド番組情報
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ラグビー アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024 決勝 フィジー vs. 日本(09/21)
9月21日(土)午後6:35~ LIVE配信
「大会を通じて、私たちの課題はアタックでした」(カナダ、NO8ルーカス・ランボール主将)
得点機での決定力が悩みの種だったカナダだが、序盤、ラック・ファイトでいきなり攻守交代。すると大外へすかさずクロスキック。ここはノックオンに終わったが、あわや先制トライの場面を作り出した。
一方のトンガは、大会を通じてディシプリン(規律)が課題。
カナダ戦においても相手の敵陣22mアタックを受けて早々にペナルティ(ノット・ロールアウェイ)。カナダが前半6分にPG成功で3点先取を許した。
出鼻を挫かれたトンガだったが、直後からのアタック精度が高かった。
まず敵陣でミスなく11フェーズ攻撃。相手反則を引き出して敵陣ラインアウトの好機を得ると、不安定だったラインアウトでボール確保。カナダは空中で競ったが争奪できず、トンガが一気呵成のモールで押し込み、前半10分にトンガのチーム初トライが生まれた。
前半は課題だったラインアウトが安定していたトンガは、さらに持ち前の決定力をいかんなく発揮する。
さらに前半15分。敵陣右10m付近ラインアウトを確保。ここからFLテビタ・アホコビーが強烈な突進。
バックドアからSOパトリック・ペリグリーニが2人飛ばしのロングパス。このパスで生まれた1対1の外スペースをWTBジョン・タプエロエルが攻略。
カナダが決定力を課題とする一方、トンガは自慢の攻撃力をみせつけて連続トライ。11点リード(14-3)を奪った。
しかし、カナダには武器があった。
ここまでマイボール成功率100%のスクラムだ。
「ゲームの基盤(スクラムなどのセットプレー)はしっかりしていて、そこから他の部分が成長していくと信じています」(カナダ、キングスリー・ジョーンズHC)
アサヒスーパードライ ラグビーパシフィックネーションズカップ 2024 5位決定戦
【ハイライト動画】トンガ vs. カナダ
相手の2連続トライの直後。相手投入スクラムで会心のターンオーバー。このチャンスから敵陣モールで押し込むと、ここで相手PRジェスロ・フェレミがコラプシングでシンビン(10分間の一次退場)。
「スクラム攻勢」→「モール」→「シンビン」と連鎖的に相手を押し込んだカナダ。スクラム選択から連続の高速ピック&ゴーでHOアンドリュー・クアトリンがチーム初トライ(前半20分)を決めてみせた。
スクラム勝利からの近場攻撃で、4点差(10-14)に迫ったカナダ。
一時的に14人になったトンガ。しかし前半25分だ。SOペリグリーニが攻守交代直後、キック「50:22」を披露した。
「相手(カナダ)は一人を後ろに置くことが多く、後ろにキックスペースがあることが分かりました」(トンガ、SOペリグリーニ)
ここから敵陣進攻のトンガ。今度は移動攻撃からショートサイドを速攻。死角から走り込んだFBジョサイア・ウンガがデビュー戦初トライ。精度高いアタックで3トライ目(前半26分)を奪った。
前半を9点リード(19-10)で終えたトンガだが、後半スタートダッシュを決めたのはカナダだ。
後半1分、トンガの打開役であるNO8ロトゥ・イニシのキャリーに対し、ナイジェリア人の父、ジンバブエ人の母を持つカナダ生まれのFLマット・オワルーが強烈タックル。
ここでNO8ランボール主将がすかさずジャッカル。バックロー2人の合わせ技でトンガの強みを消し、ディフェンスから幸先良く相手陣へ入った。
しかしカナダは展開時のノックオンで得点機を失う。課題を克服できず、逆にトンガがPG選択で後半7分に3点追加(22-10)とした。
「次の(ステージに)進むためには、チャンスを活かすことが大事。大会全体を通して序盤が不安定で、プレッシャーをかけてチャンスを作り出しても、フィニッシュが課題になりました」(カナダ、ジョーンズHC)
そして勝負はラスト20分間へ。
と、ここまで決定力に欠けるカナダだったが、後半27分にトライが生まれる。
活路を見出したのは、この日ほとんどなかったピック&ゴーだ。手薄になったラック脇を急襲したのはCTBタコダ・マクマリン。敵陣右エリアから歓喜の独走トライでHポール下にダイブ。5点差(17-22)に迫った。
しかし。
「私たちが目指していたのは、試合の最後の20分でペースを上げることでした。しかしイエローカードがそれを妨げました」(カナダ、ジョーンズHC)
苦労して5点差に迫ったカナダだが、ここでFLイーサン・フライヤーがハイタックルで痛恨のイエロー。
追い上げるゲームプランが崩れるシンビンが出てしまい、さらにトンガがここでPG成功(後半30分)。セーフティなリード8点(25-17)を奪われてしまった。
カナダは15人対15人でやっとの拮抗状態で、数的不利の14人での逆転は難しかった。
カナダは攻めきれずに押し込まれると、逆にトンガが後半40分にチーム4本目。勝負は最終盤のシンビン&PG加点で決した。
最終スコアは30-17。しかしセットプレーが安定するなどしていたカナダのジョーンズHCは「試合全体としてはポジティブな要素が多かった」と前向きだった。
一方で、初勝利となった2024年4月就任のテビタ・ツイファHCは「ボール支配率も高く多くのチャンスを作りましたが、リスタートのプレーなどの成功率が低く改善点は多い」と、勝って兜の緒を締めていた。
トンガにテストマッチ5連敗を喫したカナダは、最下位(6位)が決定。高いアタック精度で4トライを奪ったトンガは5位。パシフィックネーションズカップ2024で初勝利を勝ち取った。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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