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勝利した直近の2試合で戦ったカナダ(55-28)、アメリカ(41-24)より、ワンランク上の相手だ。
9月15日(日)、日本代表が『アサヒスーパードライ パシフィックネーションズカップ2024』の準決勝を戦う(15時5分キックオフ)。日本はプールステージでプールBの1位となった。プールAの2位、サモアと戦う。
サモアはプールステージでフィジーに16-42と敗れたものの、トンガには43-17完勝した。
攻撃力の高さと接点の激しさは伝統であり、現チームの武器にもなっている。
9月7日(土)に熊谷でおこなわれたアメリカ戦。日本は、掲げる『超速』一辺倒ではない戦いを見せた。
集団的スピードで相手を圧倒する芯はそのまま、キックも巧みに使いながら戦った。
暑さでボールが滑りやすかったこともあり、効率的にゲームを進めることを選択した。
しかし前半を24-10とリードし、後半4分には31-10と差を広げながらも、一時は7点差に迫られる。その展開は、一貫性の足りない現状を示していた。
80分すべてをコントロールできないことに、エディー・ジョーンズ ヘッドコーチは、「まだまだ課題は山積み」とした上で、SH藤原忍、SO李承信のゲームコントロールには「良いプレーでチームを一歩先に進めてくれた」と評価した。
日本はパワフルなアメリカに対し、「受けずに、自分たちから仕掛ける」姿勢を前面に出してうまく戦った。タックルの強さで知られるサモアに対しても、同様に先手を取ることが重要だ。
日本はカナダ戦、アメリカ戦を通じて、ボールキャリーの72パーセントでゲインラインを越えて前へ出た。これは今大会のプールステージにおいて、全参加国中でいちばんの数値だった。
ただ、サモアのアタックも力強い。プールステージで見せたタックルブレイクの数67は参加国チーム中ナンバーワン。オフロードパス16も、日本と並んでいちばんの数字。
お互いにアタックマインドの強い攻防が繰り広げられるだろう。
サモア戦に臨む日本のメンバーは、SO坂手淳史やWTBジョネ・ナイカブラらの怪我もあり、いくつかのポジションで先発メンバーが変更となった。
前戦の後半からピッチに入り、SOの位置で好パフォーマンスを見せた立川理道が10番の背番号を付ける。
HOは今大会に入りベンチスタートが続いていた原田衛が先発。16番の松岡賢太は出場すれば嬉しい初キャップだ。
4番のエピネリ・ウルイヴァイティも初めてのテストマッチ。196センチ、122キロの体躯を使い、パンチ力あるプレーを見せてくれそうだ。
アメリカ戦でゲームをリードした李は、今回はFBに入った。前戦でも試合の途中から最後尾に立ち、うまくスペースにキックを蹴り込んでいた。
幅広くプレーできる点をアピールし、常にピッチに立つための武器にする。
サモア側は、マホンリ・シュワルガーHCが「私たちは日本と同じように、次回W杯(2027年大会)に向けて、若い選手を起用し、チームを作り直そうとしているところ」と話す。
しかし同HCは選手たち自身には常に「いま選ばれている選手たちがいちばん」と伝え、自信と責任感を与えているという。
キャプテンを務めるFLのテオ・マクファーランド(日本戦は6番で先発)は、昨年のW杯メンバーでもあり、日本戦にも出場した。英・プレミアシップのサラセンズに所属している。日本戦へ向けて、「体を張ったプレーをして、何週間もかけてトレーニングしてきたものすべてを出し切る」と誓う。
14番で先発のツナ・ツイタマは今大会でタックルブレイク数11。これは全選手中最多。また、LOサミュエル・スレイドはジャッカルからのターンオーバーを得意とする。
11番にはセブンズ出身のエリサペタ・アロフィポが入り、初テストでの活躍をうかがう。危険なアタッカーは多い。
酷暑の中での80分となりそうだ。総力戦となるのは間違いない。どちらが攻め勝つか。歴史が物語るようにエキサイティングな一戦となる。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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