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2023-24シーズンの全国大学選手権準決勝の再戦は、そのときの52-30というスコアに近かった。
31-5と、前半で決着をつけた。
キックオフから13分後、京産大ボールのスクラムでグイッと押し込んでターンオーバー。そして、すぐに攻めた。
SH柴田竜成のパスを受けたSO伊藤龍之介は自分で仕掛けてディフェンスを崩すと、インサイドにパス。走り込んだCTB平翔太が抜け出し、そのままトライラインを越える。
コンバージョンキックも決め、7トライとした。
17分のトライからは、攻める意思統一が感じられた。
自陣22メートル内での京産大ラインアウト。モールを止め、ラックになった際にターンオーバー。ボールを得ると、全員で攻撃に転じた。
BKが大きく左にボールを動かすと、WTB安田昂平がビッグゲイン、サポートするFB金昂平にラストパスを通すと、背番号15が走り切った。
コミュニケーションが取れているからこその動きだった(Gも決まり14-0)。
菅平での練習試合で、立ち上がりが課題として上がった一戦もあった明大。2試合戦い、2敗と悔しい思いをしていただけに、神鳥裕之監督は前戦で天理大に28-29と惜敗した後、「積み上げてきたことを出す。成長し続ける。スコアで上回ろう」と選手たちに声をかけていた。
チーム全体の思いが伝わる立ち上がりに見えた。
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好スタートを切っても、紺色ジャージーの明大は攻撃の手を緩めなかった。
チームを前に出す意志を強く出し続けたSO伊藤の姿勢がチームのモメンタムを引き出していた。
春シーズンは、U20日本代表の活動でチームを長く離れていた伊藤。
しかし、チームに戻って練習、試合を繰り返して息が合ってきた。背番号10の周りには、いつも多くの選手たちがいて、伊藤はその選手たちをうまく使い、自らも動いた。
大学ラグビー 菅平合宿 2024 練習試合
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28分のトライも、この日、多くのシーンで優勢に立っていたスクラムから攻めた。
伊藤はWTB白井瑛人らを使ってよくボールを動かし、全体を前に出す。ディフェンダーを集めておいて、最後は左にロングパス。WTB安田のパスを受けたPR檜山蒼介がインゴール左隅に飛び込んだ。
伊藤は31分、キックカウンターから自らロングゲインを見せてWTB安田をトライに導く。37分過ぎには、スクラムで奪ったPKから、ラインアウト→モールで押し切ってチームは盛り上がった。
ハーフタイム直前、攻め合った末に京産大に1トライを許すも、背番号10が振るタクトに全員がよく動いた明大が、気持ちよく40分を過ごす展開だった。
京産大は8月20日に菅平へ。遅いテスト期間を経て、自グラウンドで基礎作りを進めて山に登った。
この明大戦が夏の初戦だっただけに、個々の力がなかなか結びつかなかった。
モールで前進しても押し切れず。チャンスを作ってもサポートが遅れ、ターンオーバーを許す。また、自チームのキック時にノット10メートルバックを繰り返し取られるなど、特に前半は試合勘がやや鈍っていたかもしれない。
FL日吉健、FB辻野隼大の経験値の高いプレーや、途中出場の乳井大士が積極的に動くシーンも印象に残った。
試合を重ねていけば例年通り、泥臭くプレーする集団として結束を固める集団になるのにあまり時間はかからないだろう。
廣瀬佳司監督は合宿前、一人でも多くのニューパワーの出現により、選手層が厚くなることを望んでいた。
高原での2戦目以降、ブレイクスルーする選手の出現が待たれる。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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