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ラグビー コラム 2024年8月22日

「見ていてワクワクするようなスクラムを組む」。パシフィックネーションズカップに挑むラグビー日本代表のプロップ、竹内柊平と茂原隆由に話を聞く

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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若きエディジャパンのフロントロー

ラグビー日本代表は8月25日日曜(日本時間26日)に、アウェイで「アサヒスーパードライパシフィックネーションズカップ2024」(PNC)の初戦となるカナダ代表戦を迎える。

エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が掲げる「超速ラグビー」では、スクラム、ラインアウトといったセットプレイからのアタックが重要であることは明白。

そこで、今回はスクラムを支える左PR(プロップ)竹内柊平(浦安D-Rocks、26歳)と、右PR茂原隆由(静岡ブルーレヴズ、24歳)、イングランド代表で先発した2人の新生フロントローに話を聞き、エディー・ジャパンの印象、PNCに対する意気込みなどを聞いた。

★対談の前編「プロップは日本人のポジションという気持ち」はこちらから

―― エディー・ジョーンズHCの指導はどういった印象ですか

PR竹内柊平(浦安D-Rocks)

竹内:エディーさん、めっちゃ大好きです。めちゃくちゃ面白いですし、自分の扱いがわかっている!じゃないですけど、僕は吹っかけられたら、見返してやろうというところがあるので、めちゃくちゃ吹っかけてくる(笑)。でも、ちゃんと褒めるところを褒めてくれるので、僕はエディーさんの手の平で、まんまとやられていますね。

茂原:僕もそうです(笑)。今日もそうでしたけど、ダメなところは本当にダメと言ってくれて、良いところは良いって言ってくれる。ちょっと怖いといえば怖いですけど、やっぱり自分に必要なことだと思います。これからもいろいろ言われると思いますけど、一緒にやっていきたいと思います。

―― ジョーンズHCが掲げる「超速ラグビー」をプロップのお2人はどのように捉えていますか?

茂原:スクラムもラインアウトもそうですが、フィールドでも動き出しの3歩や、相手より先に動く「ゴールドエフォート」(1つのアクションをしたらすぐに次のアクションをすること)もそうですし、相手よりハードワークし続けないといけない。日本代表はサイズの面で、ディスアドバンテージがあるので、スピードで勝負するというイメージがあります。

大西将太郎のラグビー語ルシス

【動画】パシフィックネーションズカップの見どころ

竹内:ほぼ一緒ですけど、「超速ラグビー」はもう僕らのDNAですよね。自分のトイメンの選手より、それこそ「ゴールドエフォート」をしたら、シンプルに試合に勝つのは当たり前ですが、それこそなかなか数字が出ないのがセットプレーだと思っています。セットプレーに勝って、それを大前提として「ゴールドエフォート」したら、相手どうこうじゃなく、絶対、試合に勝てると思います。

―― エディー・ジャパンのスクラムの特徴はどんな感じで捉えていますか?

PR茂原隆由(静岡ブルーレヴズ)

茂原:やっぱりジャパンの特徴は低さで、そこで勝負していく。オーウェン・フランクス コーチにも指導を受けていますし、低さが軸といえば軸ですね。

竹内:ジェイミー・ジャパン時代と同じところは、やっぱり塊となるところですね。塊を大事にしている。

茂原:ブルーレヴズのスクラムは1番と3番で2番を挟み込むみたいなイメージです。だけど、今、やっているのは結構スクエア気味というか、PRがHO(フッカー)に寄る意識はありますが、しっかりスクエアで崩していくという感じです。

竹内:茂原もすぐにフィットしたし、誰かがつまずくみたいなこともなかったです。それはやっぱり、(日本代表の前スクラムコーチだった長谷川)慎さんが残してくれた、細かいディティールにこだわるっていう意識があったのだと思います。

でも、今までは日本独自のスタイルだったのが、どちらかというと世界的なオーソドックな組み方が基本になっています。そのスクラムでも、イングランド代表戦のように通用していた試合もあったので、すごく自信になっていますね。

―― このまま強化していけば、日本代表のスクラムは世界のトップと互角に組めるようになると思いますか?

茂原:1つ1つ課題を消していけば、絶対そうになれると思いますし、イングランド代表にも通用したように、大事な局面だけでなく、全部のスクラムでしっかり安定させたい。本当にその基礎を今やっていると思うので、土台をしっかり作ればトップ4に入れると思います。

宮崎合宿でのFW陣

竹内:世界のフロントローはキャップ数や経験がある選手が多いですが、僕らはこれからのチームで、ほとんどキャップは1桁の選手ばかりです。今、若い選手たちだけでやっていて、これが20とか30にキャップが増えた時に、本当に世界を脅かすようなスクラムを組めるんじゃないかと思って、ワクワクしています。

―― いよいよ始まるPNCに向けて意気込みをお願いします。

茂原:カナダ代表、アメリカ代表と続きますが、僕らはスクラムを安定させることが一番重要な仕事をだと思っているので、まずそこを安定させて、スクラムを起点に良いモメンタムを作れるように、トレーニングをしています。

竹内:茂原が言った通り、まずはスクラムだと思っています。エディー・ジャパンになって勝利したのは、まだ、マオリオールブラックス戦だけなので、PNCはマストウィン、マストで優勝だと思っています。スクラムで勝つことができたら、良い試合ができることはわかっています。だから僕らが請負っている仕事は、難しい反面、やりがいはめちゃくちゃあります。

―― 3年後の2027年ワールドカップへの思いは?

竹内:出たいとかじゃなくて必ず出ます。そのために今、下積みを積んでいますし、新しい環境で自分が置かれている環境も違う。今、ハットリーコーチからスクラムのリーダーを任せたいと言われている。僕からすれば、「竹内はスクラムが安定すれば良くなるのに」とずっと言われていた存在だったので、その僕が日本代表のスクラムリーダーを任されることは名誉なことですし、プレッシャーもあります。

でも、このプレッシャーを楽しんで、HO坂手(敦史/埼玉パナソニックワイルドナイツ)さんとか、茂原とか、(HO原田)衛、PR岡部(崇人/横浜キヤノンイーグルス)さんとか心強い仲間がいるので、このチャレンジにワクワクしています。

茂原:ワールドカップまで、と2~3年ありますが、僕はこの1年で成長することにフォーカスします。PNCもそうですけど、1試合でも多く世界との経験を積んで、そこで自分の課題を見つけて修正することを繰り返せば、いつかその舞台に立てると思っているので、1つ1つを大切にしたい。まずはPNCのカナダ代表選に出場できるようにがんばりたいです。

茂原隆由(左)と竹内柊平

―― PNCは8月25日のカナダ代表戦が終われば、残りは国内で戦います。応援してくれるファンに向けてメッセージをお願いします。

竹内:皆さんが安心できる、自信を持って見られるようなスクラムを組んで、スクラムからモメンタムを作っていくような試合を見せたい。ファンの皆さんも見ていてワクワクするようなスクラムをフロントローで組んでいくので、一緒に勝ちにいきましょう。

茂原:やっぱりファンの皆さんが望んでいるのは勝利だと思うので、まずは勝利につながるようなスクラムやハードワークをして、チームを勝利に近づける選手になりたい。でも、僕らはまずはスクラムですね。

―― 最後にお互いにエールをお願いします!

茂原:まだリーグワンでは対戦したことないですよね? 

竹内:まだないですね。2024-25シーズンは、浦安と静岡が同じカンファレンスなので楽しみです。いつも押したり押されたりと切磋琢磨しているので、これからもよろしく!という感じです。

茂原:練習ではライバルであり、味方でもあり、レビューをし合ったり、励まし合ったりして、がんばりましょうって感じですね。

竹内:最強の味方ですけど、最高のライバルなので、本当にフロントロー同士で切磋琢磨すればお互いレベルが上がって、ジャパンのレベルが上がって勝利につながります。僕らで日本代表のスクラムのインテンシティ上げていければいいなと思いますし、若いメンバーで作っていくスクラムもめちゃくちゃ楽しみです!

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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