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菅平で調子を上げたい天理大学
ラグビーの夏の合宿の『メッカ』である長野・菅平高原は8月中旬から下旬にかけて大学ラグビー一色になる。8月18日(日)、『アンダーアーマー菅平サニアパーク』のDグラウンドでは、昨季大学選手権で準優勝の明治大学と、ベスト4の天理大学という東西の強豪同士の練習試合が行われた。
昨季、創部100周年だったが、大学選手権は準優勝だった明治大学。関東大学春季大会Aグループでは、大学選手権3連覇中の帝京大学に、24-24で引き分けたが、ライバルの早稲田大学には、26-36で敗れて3位だった。
14日には対抗戦の筑波大学と練習試合を行ったが、前半の失点が響いて、31-35で敗戦。やはりディフェンスの修正が急務だった。
菅平での初戦を落とした明治大学
先発メンバーは筑波大学戦からFW(フォワード)1人、BK(バックス)2人を替えた。FWはPRが(プロップ)倉島昂大(4年)から、山口匠(2年)が先発。バックローは6番と8番を入れ替えてFL(フランカー)最上太尊(3年)、福田大晟(4年)、キャプテンNO8(ナンバーエイト)木戸大士郎(4年)となった。
明治で初の10番を背負った伊藤龍之介
BKは司令塔のSO(スタンドオフ)に、ルーキーの萩井耀司(1年/桐蔭学園出身)ではなく、U20日本代表でも司令塔を担った伊藤龍之介(2年)が10番を背負った。伊藤は、明治大学で10番をつけて先発するのは初となった。そして、インサイドCTB(センター)は蓬田雄(3年)から、前の試合で2トライを挙げた平翔太(3年)が入った。
一方、昨季大学選手権ベスト4で、関西2位だった天理大学は、春から調子が上がっていなかった。5月の練習試合初戦は京都産業大学に、5-48で敗れて、関西大学春季トーナメントでは準決勝で関西学院大学に28-43に、3位決定戦でも近畿大学に28-35で敗戦した。
しかし、菅平高原に上がる前にも練習を重ねており、8月11日には、天理に日本大学を迎えて40分×3本のAB戦を行い、75-46で勝利して、この一戦に臨んだ。
大学ラグビー 菅平合宿 2024
【ハイライト動画】練習試合:明治大学 vs. 天理大学| 終了間際に天理大学が逆転勝ち
勝利した日本大学戦からFWは、U20日本代表PR(プロップ)森仁之輔(3年)、FL川越功喜(2年)、1年のアリスター・サウララ(デラセラカレッジ)ら7人は同じで、NO8のみ木下颯(3年)から岡崎慶喜(3年)に替わった。
1年生ながら先発した天理大学SH山下
BKは全員同じで、ハーフ団は長崎南山出身のルーキーSH(スクラムハーフ)山下蓮と、キャプテンのSO筒口允之(4年)の2人。CTBにも1年の山田晟大(常翔学園出身)、そして最後尾のFB(フルバック)には上ノ坊兄弟の弟・上ノ坊駿介(3年)が入った。
ハーフ団を中心としたアタックと、そして明治大学相手にどこまでセットプレーでプレッシャーをかけることができるかが焦点だった。
東西の強豪同士の激突は25度と高原らしい気温の中、午後1:00にキックオフされた。先制したのは黒ではなく、この試合では白いジャージーを着た天理大学だった。
天理大学の司令塔、SO筒口主将
SO筒口が左右にボールを大きく振ってアタックし、リズムに乗る。そしてスクラムでもペナルティを誘い、前半12分、ゴール前でチャンスをつかむ。右サイドでWTB(ウイング)平松麟太郎(3年)が粘り、ボールを活かして、最後はSO筒口が足にかけたボールをCTB山田が抑えて7点を先制した。
その後は互いにディフェンスでの集中力が高く、ともに得点を挙げられなかった。ただ、明治大学はスクラムをすぐに修正し、相手のコラプシングを誘ってチャンスをつかむ。
すると30分、ラインアウトを起点にSO伊藤龍の突破からチャンスを掴み、最後はフォローしたCTB秋濱悠太(4年)がトライを挙げて、WTB坂本公平(4年)がゴールを決めて、明治大学が7-7の同点に追いつく。
だが、天理大学もすぐに反撃し、38分、ラインアウトから右に展開し、CTB山田がゲイン。最後はFB上ノ坊つないで右中間にトライ、SO筒口のゴールも決まり、14-7とリードして前半を折り返した。
後半、先に得点を挙げたのは7点を追う明治大学だった。後半3分、内を突いたWTB坂本がゲインし、最後はFB金昂平(4年)がトライを挙げて、再び14-14の同点に追いつく。
10分、天理大学もスクラムで相手の反則を誘うと、ラインアウトからモールを組み、崩れたかに思われたが、途中出場のPR井上魁(2年)が力強いボールキャリーで左隅にトライを挙げて19-14とした。
16分、明治大学はラインアウトモールを起点にアタックを仕掛けて、SO伊藤龍が素晴らしいステップでインゴールを陥れて、21-19とついに逆転に成功する。さらに21分、CTB平がタイミングよくインゴールにグラバーキックを蹴り、WTB安田昂平が右隅に抑えて、28-19とリードを広げた。
リードされた天理大学だが集中力は切らさず、ボールを大きく動かし左タッチライン際をWTB藤原竜之丞(4年)がゲインし、最後はフォローしたFB上ノ坊がトライを挙げて26-28と2点差に迫った。
その後、明治大学も1年のWTB白井瑛人(桐蔭学園出身)のランなどでゴールラインに迫ったり、相手陣奥深くでラインアウトのチャンスを得たりした。しかし、大事な局面でミスが出て、得点に結び付けることができず、逆に天理大学に反撃を許してしまう。
39分、天理大学は自陣から攻撃を仕掛けると、たまらず相手がハイタックルの反則をしてしまう。中央40mほどのPG(ペナルティゴール)を途中出場のSO中山敬太(3年)が落ち着いて沈め、29-28と逆転に成功。そのまま試合はノーサイドとなり、天理大学が29-28で勝利を収めた。
明治大学の木戸主将
1点差で敗れた明治大学のNO8木戸キャプテンは、「負けは受け入れたい。ただ、内容は筑波大学戦で出たディフェンスの課題が修正できた。僕らが相手陣で取り切れるところで取り切れなかったことが響いた」。
「(続く、京都産業大学、帝京大学戦に向けて)勝ち負けも大事だが、今までやってきたアタックを出せるか、ディフェンスがどれだけ修正できるかをやっていきたい」と前を向いた。
初めて明治で10番を背負ったSO伊藤龍之介は、「U20日本代表で得たことを明治でもつなげられればと思って試合をした。ゲームメイクでは未熟だが、前を見て余裕を持って攻めることができるようになった」と振り返った。
見事な逆転勝利を収めた天理大学のSO筒口允之主将(4年)は「最後に勝ち切れたことで、自分たちの自信になるので良かった。後半、立て続けに相手にトライを取られたが、自分たちのラグビーが、もう1回できた。ディフェンスでも前にプレッシャーかけてダブルタックルで止める、身体を張れたところが良かった」と胸を張った。
天理大学FB上ノ坊駿介
2トライを挙げたFB上ノ坊駿介(3年)は「(春は少し負けが続いたが)かなりしんどい練習をして、チームを追い込んだのでその粘り強さが出てきた。苦しい展開もあったし、上手くいかないところもあった。そこをもっと良いシーンに変えて、修正して帝京大学、早稲田大学、東海大学戦と頑張っていきたい」と先を見据えた。
両校ともに菅平での練習試合は続き、明治大学は8月22日に関西王者の京都産業大学、25日に大学選手権3連覇中の帝京大学と対戦して、9月8日の関東大学対抗戦の開幕に備える。
9月22日に関西の開幕を控える天理大学は、21日に王者・帝京大学、25日に早稲田大学、そして28日には関東リーグ戦覇者の東海大学と激突する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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