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激しい練習をするFW陣
新生エディー・ジャパンの第2章が始まった。8月25日(日)から始まる「パシフィック・ネーションズカップ2024」(PNC)に向けて、ラグビー日本代表が10日(土)から宮崎で合宿を開始し、11日(日)に報道陣に向けて練習を公開した。
FL(フランカー)アマナキ サウマキ(コベルコ神戸スティーラーズ)がコンディション不良により離脱したが、その他の34名、さらにパリ五輪に出場したWTB(ウィング)植田和磨(近畿大学4年)が練習生として参加。
パリ五輪に出場したWTB植田
日本代表初招集のHO(フッカー)松岡賢太(コベルコ神戸スティーラーズ)、FLアイザイア・マプスア(トヨタヴェルブリッツ)、U20日本代表で活躍したSH(スクラムハーフ)村田大和(京都産業大学4年)、WTB海老澤琥珀(明治大学2年)らは元気に合宿に参加し、汗を流していた。
代表活動を休んでいるFLリーチ マイケル(ブレイブルーパス東京)に替わる新しいキャプテンは、すでに指揮官の中では決まっており、合宿の中で発表される予定だ。エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)は、「現状、20キャップ以上保持しているのは、4人だけで自分が覚えている限り、ジャパンラグビー史上で、一番若いスコットといっても過言ではない」とコメント。
そして、「一緒に成長していくいいチャンスだと思うし、『超速ラグビー』とはなんぞや、というアイデンティティを構築できるいいチャンス。新しいキャプテンになることで、でリーチだけに頼らないチームといったところも成長できるし、いいチャンスになると思う」と話した。
宮崎県屋外型トレーニングセンター
また、8日(木)に日向灘を震源とする地震があり、前入りしていたスタッフには影響があったが、選手たちには大きな影響はなかったという。ジョーンズHCは「地震を体験する衝撃的なスタートになった。スタッフの入りが1日遅くなったが、合宿を続けるという意味では安全面を考慮して、承認をもらわないといけなかったが、すべてクリアになったので順調に進んでいる」。
17日はPNC初戦、アウェイのカナダ代表戦に向けて出発する予定だが、合宿初日の3日間は完全にFW(フォワード)とBK(バックス)のユニットに分けて練習を行っている。
子ども用の3号球を持つ長田智希(左)、村田大和
ジョーンズHCはその意図を、「FWはセットプレーとラック周り、BKはハンドリングと連携を深めることとコミュニケーションを上げることを目的に別々にワークしている。前回のキャンペーンに足らなかったことに注力して、フォーカスポイントをクリアにしたい」と語った。
さらに、「エラーを減らさないとといけない。イタリア代表戦では56回のエラー、ターンオーバー26回だったことを考えると、ユニットで集中した方が修正できると思った」と説明した。簡単なエラー、ミスをなくすことを目的に、選手全員に子ども用の3号球が配られ、常にボールに触れている状況も作っていたことが印象的だった。
練習場に張られた「超速ラグビー」のバナー
また、練習場には大きく「超速ラグビー」というスローガンのバナーが張られた。ジョーンズHCは「我々は世界一の『超速ラグビー』を体現するためにここにいる」。
「南アフリカ代表はフィジカルがメインチームだし、オールブラックスはとても運動神経の良いチームであるように、ジャパンとしては世界一『超速ラグビー』が上手いチームになりたいし、ならないといけない。それができることで勝つことができるチームなので、そういったチームを表現したくてバナーを設置した」と話した。
世界ランキング的には格下であるカナダ代表戦、アメリカ代表戦に向けて、若手を起用する意図があるのかと聞くと、ジョーンズHCは「夏のキャンペーンと同じで、プレーできるベストな23名を選びます」と話すにとどめた。
また、PNC終了後に新たなメンバーを招集するのかを尋ねると指揮官は、「何名かケガから復帰すると思う。リーチはPNC後に復帰する予定だし、NO8(ナンバーエイト)姫野和樹、CTB(センター)シオサイア・フィフィタ(ともにトヨタヴェルブリッツ)、SH福田健太(東京サンゴリアス)、CTB梶村祐介(横浜イーグルス)あたりも候補に挙がってくると思う」。
また、「(フランスでプレイしている)SH齋藤直人、テビタ・タタフも選考の可能性ある。7~8名は再招集がかかる選手がいると思う」と話した。さらにジョーンズHCは続けて「だからこそ、次のPNCはとても大事で、若手のスコッドがいかに今後成長できるか。海外の遠征を得て一致団結して、その後もやり続けるかは良い点だし、大きなチャレンジになる」と意気込んだ。
HOの原田衛と坂手淳史
リーダーの1人であるHO(フッカー)原田衛(ブレイブルーパス東京)は、(前回のキャンペーンではテストマッチで3回)負けているので、勝つしかない。ミーティングでも負け続けているので、まず勝とうというところと、あとターンオーバーをどれだけ減らすかが課題として出た。全部引っ張っていくしかないと思っている。がんばります!」と語気を強めた。
暑さの続く夏の宮崎で、朝晩2回ずつの4部練習を敢行しているエディー・ジャパン。前回のキャンペーンの反省を踏まえつつ、PNCでしっかり4連勝で優勝を飾り、自信をつけて秋のビッグマッチに備えたい。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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