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【ハイライト動画あり】ニュースター続々!初キャップ勢が躍動した南アフリカ。ウェールズは決定力不足に泣く。ラグビーテストマッチ2024
ラグビーレポート by 多羅 正崇
約60万の競技人口を誇る南アフリカは人材に事欠かない。
2023年W杯で連覇を達成した南アフリカ代表“スプリングボクス”が、6月22日(土)、4人のノンキャップ組を交えた布陣でW杯後初テストに臨み、ウェールズ代表を圧倒した。
前半は拮抗した。
先制トライは南アフリカ。相手ドロップキックから南アフリカが中盤から攻撃開始。前半4分、深いラインから数的優位をつくり、パス交換からCTBジェシー・クリエルがインゴールへ入った。
このカウンターからの鮮やかなトライに対し、J SPORTS解説を務めたクボタスピアーズ船橋・東京ベイの田邉淳アシスタントコーチ(AC)は、「(元日本代表アタックコーチの)トニー・ブラウンコーチの色が窺える」とコメント。
田邊ACと南アフリカ代表のトニー・ブラウンACは、ジェイミー・ジャパン時代に日本代表首脳陣として共闘した間柄。放送中には南アフリカ指導陣に入ったブラウンACとの秘話を明かした。
「(トニー・ブラウンと)話をする機会があったのですが、(南アフリカ代表は)フィジカルのところはまったく心配ないと喜んでいました。でもパスワークは日本の方が上だ、と言っていましたね」(スピアーズ田邊AC)
世界的戦術家トニー・ブラウンが参画した南アフリカだが、ここからは従来の武器であるセットピースで優勢となる。
開始9分のファースト・スクラム。これが復帰戦となったスピアーズのHOマルコム・マークスを中央に据えたスクラムで、狙い通りにペナルティ。5分後にも2度目のスクラムPKを奪取し、ペースを握った。
窮地に陥ったウェールズは、トライを防ごうとしてモール・オフサイドなどを犯し、2連続のシンビンが出る悪循環。前半15分にモールからペナルティ・トライを奪われ、11点ビハインド(3-14)を背負う。
しかし粘り強さはウェールズの伝統。
南アフリカの反則にも助けられながら、まずは14人に戻る。そしてウェールズは前半22分、インターセプトからチーム初トライの好機が訪れる。
ラグビー テストマッチ2024
【ハイライト動画】南アフリカ vs. ウェールズ
が、ここでこの試合がデビュー戦となった南アフリカWTBエドウィル・ファンデルメルヴァが、抜け出した相手&パスレシーバーへ2連続タックル。初キャップの28歳が好守で質点を防いでみせた。
しかし、流れは交互にやってくる。
ウェールズがなんとか13人の時間帯をしのいだ一方で、今度はノーミスでハイボールキャッチを続けていた南アフリカFBアフェレレ・ファシが、捕球時に足裏を相手にぶつけてしまいイエローカード。
そして直後の敵陣ラインアウト。
南アフリカはラインアウトで競るが、ここでのこぼれ球がウェールズHOデヴィ・レイク主将の懐へ。そのまま機動力もあるキャプテンが左隅を切り取った(ゴール成功)。
さらにウェールズは反則が続く南アフリカを攻め立て、PG成功で1点差(13-14)として前半を終えた。
しかし後半の圧力増は、もはや南アフリカのお家芸だ。
ノンキャップ選手を含めた途中出場組が後半、南アフリカの勢いを加速させた。
まずは後半開始1分。敵陣でペナルティをもらうと先発SHファフ・デクラークが速攻。FBファシのライン参加から左隅で、ふたたびCTBクリエル&WTBマピンピのコンビが穴を開け、チーム3本目を奪う。
ゴール成功でリードを8点(21-13)に広げると後半9分。
途中出場のボンギ・ムボナンビ、フランス・マルハーバが参加したスクラムでペナルティ。PG選択で、この日デビュー戦のSOヘンドリクセが代表初得点で3点追加(24-13)。途中出場組&新人の活躍で、ウェールズを突き放す。
さらに後半26分、途中出場の代表ルーキーがビッグショットを決める。
南アフリカはハーフウェイライン手前でペナルティをもらうと、途中出場のデビュー組、サーシャ・ファインバーグンゴスメルが、50m超のロングショットを成功。これには南アフリカのコーチボックスも湧いた。
その後モール・トライも加え、21点リード(34-13)で迎えた同35分だ。
前半に驚異的な連続タックルを決めたWTBファンデルメルヴァが、ラック脇で相手FWを抜き去った。そして約40mを走りきるデビュー戦トライ。ゴール下で感無量の表情をみせた。
一方のウェールズは終盤に敵陣22mでのラインアウトがあったが、ここでも南アフリカの圧力に屈して取りきれず、後半は無得点。
相手22m内での決定力が大きな課題となったウェールズ。今年のシックス・ネーションズは5戦全敗(最下位)。捲土重来の兆しは見えぬまま、この後オーストラリア遠征へと向かう。
そして5トライを挙げ、W杯後初陣で41-13で大勝した南アフリカ。
デビュー組のWTBファンデルメルヴァ、ファインバーグンゴスメルが持ち味発揮。代表4キャップ目のFBファシも安定したハイボール処理、ライン参加で魅せた。
前人未踏のW杯3連覇へ好発進したスプリングボクス。この後は母国に戻り、アイルランドとのホーム2連戦へと向かう。
文:多羅 正崇
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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