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大学2年で初キャップとなるFB矢崎
6月22日(土)東京・国立競技場で、「リポビタンDチャレンジカップ2024」イングランド代表戦を控えたラグビー日本代表が、20日(木)に試合登録メンバー23名を発表した。
1月に日本代表の指揮官に再任されたエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が率いる『新生エディー・ジャパン』の船出となる試合で、ノンキャップが8人(先発4人、控え4人)という新しい顔ぶれとなった。FB(フルバック)として初先発する早稲田大学2年の矢崎由高は、トレーニングメンバーから日本代表スコッドに昇格した。
日本代表 vs.イングランド代表
一方で、2023年ワールドカップのスコッドは10人(先発7人、控え3人)がメンバー入りし、キャプテンには2015年、2019年ワールドカップでスキッパーを務めたチーム最年長の34歳、最多キャップ84を誇るFL(フランカー)リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)が指名された。
20日は午後1:00から練習が20分ほど公開された後、東京都内でジョーンズHCとリーチ キャプテンが報道陣に対応した。
古巣との対戦となったジョーンズHC
まず、イングランド代表戦に向けてジョーンズHCは「日本のラグビーを変えていかなければならない時期に入っている。だから、若い選手を何人か選んだ。現段階では、出場する彼らがベストな選手。私たちはチームを再生するサイクルの10日目。言い訳はしない。私たちは非常に良い準備をしてきた。土曜日は白熱した試合ができるだろう」と話した。
リーチ主将も「イングランド代表は何をしてくるか予想でき、自分たちにフォーカスを当て、どれだけ『超速ラグビー』ができるか。自分たちのスピード、フィットネス、暑さの対策は上回っていると思うので、日本らしいラグビーがしたい」と意気込んだ。
リーチをキャプテンに指名した理由を聞かれてジョーンズHCは、「キャプテンを選ぶには必ずプロセスがある。自分のチームがどの位置にいるのか、その時点でチームにどんなキャプテンが必要なのか。そして、前回のワールドカップに出場したシニア選手の引退が特に増えたのがわかった時、非常に若いチームになる見込みだったので、経験豊富なキャプテンが必要だった」。
「そして、リーチは過去の日本代表を見ても傑出した主将として際立っている。彼はとても調子がいいし、優勝した東芝ブレイブルーパス東京でもプレーしていたので、マイケルをキャプテンに選んだのは自然なことだった」と説明した。
日本代表では3年ぶりにキャプテンに復帰したリーチ
3年ぶりに日本代表のキャプテンに就いたリーチ主将は「先週の頭くらいに言われた。新しい超速ラグビーと、ラグビーの革命を起こそうとしているエディーさんとやりたいと思った。もちろん、責任を感じているし、光栄に思うし、このチームで勝ちたい意欲が一番強い。勝つ準備もしてきているし、勝つ自信がある」と語気を強めた。
一番、驚きの選手となったのは、トレーニングスコッドから抜擢された早稲田大学2年生のFB矢崎だろう。指揮官は矢崎を起用した理由を聞かれて、「(4月の)パシフィック・チャレンジの2試合で良いプレーをした。彼は断トツのベストプレーヤーだった」。
「それから日本代表の合宿に彼を連れてきたが、練習するたびにどんどん良くなっている。勉強を学ぶ点では、あまりいい学生ではないかもしれないが、ラグビーを学んでいることに関しては素晴らしい学生」。
「彼は日本にとって素晴らしい未来。だからとても簡単な決断だった。もちろん、若い選手を選ぶときは、その選手が精神的に十分成熟しているかどうかを常に意識している。しかし、私たちが見た限りでは、彼がこの状況に対応できるのは明らか」と話した。
新生エディージャパンがスタート
また、10番はSO(スタンドオフ)松田力也(元埼玉パナソニックワイルドナイツ)ではなく、今季は所属のコベルコ神戸スティーラーズで13番として起用されていたSO李承信を選んだ。
「クラブで13番を任されるようになり、彼にとっては難しいことだっただろう。でも、私たちはいつも彼なら、何か少し違ったものを与えてくれると感じていた。松田は経験豊富で、とても堅実でいいプレーをする選手なので、我々にとって重要な選手になる」。
「ただ、私たちは攻撃に使える、他の資質を持った選手を探しているだけ。李にはそれがあると感じているし、菅平で10日間、宮崎で10日間、よく練習したし、その間に非常に成長した。だから、彼がステップアップする絶好のチャンス」と期待を寄せた。
改めてイングランド代表戦への意気込みを聞かれて、ジョーンズHCは「イングランド代表は、前回のワールドカップではベスト4に入っている。彼らの伝統的な強みであるセットプレー、キック、キックチェイスを持っている」。
「彼らはラインスピードも身につけている。だから、私たちが今どの位置にいるのかを確認するためには、これ以上ないチャンスだと思う。そして、この試合でどんなことがあっても、最後の瞬間までしっかりと戦い抜くつもり」と話した。
リーチ主将は「試合を楽しみにしておいてください。新しくチャレンジする『超速ラグビー』で、強い相手にぶつかるチャンス。一生懸命やる。試合は80分なので、どこでコントロールするかが大事なので、そこに集中したい」と前を向いた。
2015年W杯以来のタッグとなったエディー(右)とリーチ
過去の対戦成績は日本代表の0勝11敗だ。シックスネーションズからの「一貫性」に重きを置いた、世界ランキング3位のイングランド代表の先発総キャップ数は523(控えを含め753キャップ)。
一方、12位の日本代表は169(控えを含め259キャップ)と若く、新しいメンバーでのチャレンジとなる。暑さ、そしてホームという地の利、日本ラグビーのファンを味方につけて、新生エディー・ジャパンがアップセットを狙う。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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