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リーチ マイケルと田中史朗さん
「有望な若手選手を発掘することは非常に重要なことで最重要事項」と話した、ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)肝煎りで、4月から始まった、大学生の有望選手の育成を目的とした「JAPAN TALENT SQUADプログラム」(JTS)。
その第2回目が、日本代表が合宿している宮崎のトレーニング施設で6月12日に行われた。第1回目は14名が参加したが、今回は8名が参加した。
若手選手たちに話かけるジョーンズHC
「若い選手に、それぞれ才能があるということはわかっているが、日本代表とはギャップがある。才能があるだけでは日本代表のスコッドに入れないし、開花できない。我々、日本代表のスタッフとしてはサポートするプログラムで、若い選手の成長を促していきたい」とジョーンズHC。
前日にU20日本代表が、日本代表と異例の合同練習をしたため、U20日本代表の選手が中心の参加となった。SH(スクラムハーフ)土永旭(京都産業大学4年)と、FB(フルバック)小野澤謙真(慶應義塾大学1年)の2人は、5月に菅平で行われていた日本代表につながるトレーニングキャンプにも招集されていた選手であり、今回のプログラムにも出席した。
◆第2回JTSプログラム参加メンバー
★:第1回参加メンバー
※:U20日本代表候補
・PR 八田優太(京都産業大学2年)★※
・LO 石橋チューカ(京都産業大学2年)★※
・SH 高木城治(京都産業大学2年)★※
・SH 土永 旭(京都産業大学4年)★
・SO 本橋尭也(帝京大学2年)★※
・SO 伊藤龍之介(明治大学2年)★※
・WTB海老澤琥珀(明治大学2年)★※
・FB 小野澤謙真(慶應義塾大学1年)
リーチ選手の話を聞く若手選手
日本代表選手と同様に朝5時頃に起床して、朝6時から日本代表のコーチングスタッフがパスやタックル、スクラム、接点など細かいラグビー面の指導を行ったという。
さらに日本代表FL(フランカー)リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)、引退したばかりの元日本代表SH田中史朗さんから日本代表としての心得を受けて、最後にS&Cコーチによるセッションも行われた。
パワポを使ってプレゼンしたリーチ
リーチ選手は「責任を持って行動することが大事」と若手選手たちの前で準備の大切さを、田中さんは「日本代表になるだけでなく、(テストマッチで)勝つことが目的」と話しつつ、コミュニケーションの大切さを説いた。
もともと学校の先生で、2人の話を笑顔で聞いていたジョーンズHCは「JTSプログラムから現在3人(森山飛翔、佐藤健次、矢崎由高)が、日本代表のスコッドに入っている。2027年ワールドカップに向けて、次の日本代表になるのは誰?」と問いかけた。
将来性のある若手選手の前で話をした後、コーチになるために勉強しているという日本代表のレジェンドの田中さんは「彼らは僕らが若い頃より、もっと可能性があるので、もっとコミュニケーションをとってパフォーマンスを上げてほしい」。
コミュニケーションの大切さを伝える田中さん
「そして英語を学んで、自分の可能性を上げるプラス、周りの仲間を増やしてほしいということを伝えた。今のU20世代の選手たちががんばって日本代表の可能性を引き上げてくれれば、またその下の世代の可能性も上がると思う」と話した。
「エディーさんのモチベーションの上げ方がうまくて、僕でさえ、もう1回、試合でたいという気持ちが強くなってくる」という5回目のワールドカップ出場を目指すリーチ。
「まずはU20世代が、フル代表のHCやコーチ、選手と交流できたのが一番の刺激になっていると思う。今日、伝えたかったのは、何をするにしても、強くなるにしても自分の責任だということ。それを早い段階で知ってほしいと思った」と話した。
U20日本代表でも中軸となっているLO石橋
2回目のJTSプログラムの参加となったLO(ロック)石橋は「京都産業大学ではスクラムにこだわっているが、オーウェン・フランクスコーチに、それ以上に細かい動きを今回、教えていただいた」。
「もっと細かいところを積み重ねていきたい。リーチさんの話にあったように、自分の責任として、自分の強み、弱みを明確にして、どういうトレーニングをしたら自分がよりトップのレベルにできるのか、常に考えて努力していきたい」と振り返った。
菅平合宿で大きく成長したFB小野澤
JTSプログラムに初参加となったFB小野澤は「パスやタックルなどの低く動くなどの練習もあったが、今回は同学年がいなくて、田中さんが言うとおりコミュニケーションを取れていなかった点が反省で、やらなければいけないなと思った」。
「リーチさんの話でもあったように、自分のポジションで世界のトップクラスをイメージしていきたい。1年前は静岡の地元のチームでやっていて、高校の舞台ばかりしかイメージしていなかった。(今回のプログラムで)世界に向けてだったり、大学トップのクラスの選手と同じ舞台で活動できてうれしい。今後も成長していきたい」と先を見据えた。
「若手選手の育成を加速していきたい」と何度も話しているジョーンズHCの意図通りに、JTSプログラムを経た若手選手が、日本代表として2027年ワールドカップの舞台を目指し、今後も切磋琢磨していく。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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