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ラグビー コラム 2024年6月10日

【ハイライト動画あり】前半を制した明大。後半に修正の帝京大。昨季大学決勝の再戦は24-24のドロー

ラグビーレポート by 田村一博
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5か月前の国立競技場。頂上決戦時のような雷と雪はなかったけれど雨は降った。あの時と同じように、魂がぶつかり合った。
6月9日(日)に静岡・エコパスタジアムでおこなわれた関東大学春季交流大会Aグループの帝京大×明大は24-24の熱戦となった。

静岡県協会の催す「ラグビーに熱くなれ!JUNE PRIDE2024」の一環として実施された一戦。試合終了時、J SPORTSの中継画面によるランニングタイムは88分16秒となっていた。

お互いが最後まで、全力で攻め、守った。

キックオフ直後から敵陣に攻め込んだのは帝京大だった。
意思統一されたFWは強く、激しく、大きかった。あっという間に明大陣深くに入り込んだ。
セットプレーでも紫紺のジャージーを押し込んだ。

そんな展開にも関わらず、前半は24-5と明大がリードした。
前週、新潟で26-36と早大に敗れた。スクラムで圧力を受け、絶え間ない鋭いタックルに後手を踏む80分を過ごした。

そんな悔しい試合から1週間。スクラムは簡単には修正できない。しかし、この試合では紫紺の矢が真紅のジャージーに何度も刺さった。
試合の序盤にボールを手にしていたのはほとんど帝京大だったが、得点を与えることはなかった。

前半21分にラインアウト後のモールからトライを許したものの、明大は前半に3トライを挙げた。
輝いたのはCTB秋濱悠太だ。3つのトライシーンすべてに絡んだ。

先制トライは前半11分。右ラインアウトからのムーヴで、FL利川桐生が豪快に前進する。
素早い球出しで相手の防御が揃っていない隙を走ったのが背番号13だった。自らインゴールに入った。

27分にはスクラムから攻め、防御裏にチップキック。自分でそのボールを再獲得し、ふたたびトライラインを越えた。
アシスト役となったのは31分だ。12番、蓬田雄の転がしたキックをチェイスして左ライン際で掴むと、タックルを受けながらWTB坂本公平にラストパス。背番号11がそのまま走り切った。

ラグビー 関東大学春季交流大会2024 Aグループ

【ハイライト動画】帝京大学 vs. 明治大学

その坂本は、キッカーとしても活躍した。3つのコンバージョンキック+41分のPGと、4本のプレースキックすべてを成功させた。
プライドを持つスクラムでは思うようなプレーできなかったが、昨季大学王者からトライを重ねた紫紺のジャージに、豊かな才能を感じた人は多かっただろう。

前半は劣勢だった帝京大は、後半に入って、より気持ちを込めてプレーしたように感じた。
それが顕著に感じられたのがディフェンス面だ。全員で前へ出て明大の好ランナーに動くスペースを与えなかった。

スクラムでは優位に立っているのだから、防御が機能し始めたら流れは自分たちに来る。
帝京大が後半に挙げた3つのトライは、すべてセットプレー絡みだった。スクラムでPKを得る。前進、ラインアウトから。自分たちの強みを出して得点機を得た。

後半17分、ラインアウトから大きく右に展開し、後に鋭くFWで前に出る。BKで大きく左に攻め、最後はサポートしたFLグアイニ優人がインゴールに飛び込んだ。
その7分後はゴール前のラインアウトを押し込み、途中出場の倉橋歓太がトライを挙げた。

同点に追いついたのは後半28分だった。
ラインアウト後にできたラックから、NO8カイサ・ダウナカマカマがボールを持ち出し、そのままトライラインまで走り切った。

24-24となってから88分過ぎまでのラスト20分も、互いに攻め合った。
両チームの勝ちたい気持ちが、各プレー後のリアクションからも伝わった。
試合後、帝京大・FL青木恵斗主将の目からは涙が溢れていた。

試合後、帝京大の相馬朋和監督は、ハーフタイムの指示について、「選手それぞれが果たすべき役割ができていないところが多い。とにかく自分の役割を果たす。それをひとつひとつ積み重ねていくことが自分たちのゲームになっていく、という話をしました」と説明した。

後半に修正できたことについて青木主将は、「ラグビーはコンタクトゲーム。身体を当てよう。そこで負けると明治の勢いに負けてしまう。しっかり身体を当てて止めることがゲームをうまく運ぶための方法。みんなには、まずタックルで芯に入ろう」と伝え、「仲間も見てくれている。試合に出る15人、23人はチームの代表。それに恥じないプレーをして、痛いところ、激しいところから逃げずに、コンタクトしよう」と鼓舞したそうだ。

明大の神鳥裕之監督は、「先週の早稲田戦の反省を活かして、しっかりとしたパフォーマンスをしてくれた。成長を感じた」と選手たちを愛でた。
木戸大士郎主将はフィジカル面について、「(相手は)強かったですけど全然競えるレベル。相手も成長してくると思うので、僕たちがもっと成長していって勝てるようになりたい」と前向きな言葉を発した。

昨季のファイナルは34-15で帝京大が勝った。今回は24-24。
ここから大きく伸びた方が、秋、冬に笑顔で勝負を終える。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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