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帝京大学 vs. 明治大学
昨季大学選手権ファイナルの再戦は見逃せない。
雪の国立競技場での決戦から約5か月(帝京大 34-15 明大)。新シーズンのクライマックスまでは約7か月と、ゴールまでの距離の中間手前。自分たちの成長の足取りを確認するには最適の80分となる。
今回の試合は6月9日(日)、静岡・エコパスタジアムでおこなわれる。
静岡県協会が「ラグビーに熱くなれ!JUNE PRIDE2024」の一環として開催する(17時キックオフ)。
関東大学春季交流大会Aグループで、帝京大はここまで3勝、明大は2勝1敗。明大は前週、新潟で早大と戦い、敗れた。
紫紺のジャージーはFW戦で劣勢にまわり、完敗した(26-36)。
その結果を受けて帝京大の相馬朋和監督は、「明治さんは前週(早稲田に)負け、並々ならぬ気持ちで向かって来ると思います」と話す。
相手の強い意気込みを理解した上でライバルとの対戦に挑む。
前年大学選手権決勝は34-15、関東大学対抗戦では43-11。両試合とも完勝に近い形で帝京大が勝ってはいるが、両校のプレースタイルと潜在能力を踏まえれば、明大は大学王者にとって、もっとも骨のある相手と言っていいだろう。
昨季決勝の先発メンバー15人の中に4年生が10人いた帝京大。それでも戦力が大きく落ちない理由を相馬監督は、「帝京のジャージーを着る時には、誰もがその責任を胸に戦ってくれているからだと思う」と選手たちの姿勢を高く評価する。
全体のスタンダードを引き上げる存在となっているのが、前シーズンから出場機会を得てきた選手たちだ。
FL青木恵斗主将やLO本橋拓馬、SH李錦寿らが、大学トップに立つためのプレーを示し、周囲がそれに追いつこうと力を伸ばす。
そのサイクルの繰り返しが王者の安定した力を生んでいる。
今回の試合は、代表候補合宿などでチームを離れていた青木主将や本橋らがチームに戻った。
強力なFWにさらにパワーを与えるふたりだ。モメンタムを生み、チーム全体を前に出しそうだ。
青木主将のキャプテンしーについて相馬監督は、圧倒的な結果を残して周囲を引っ張る男と評価する。
常勝チームの先頭に立ち、集団をまとめる経験は、成長のスピードを高める。青木主将も、言葉で仲間を惹きつける力を増している。
その主将や本橋らがチームを離れて代表候補合宿に招集されることを、特に4年生たちが前向きに送り出す雰囲気がある。
相馬監督は、その空気も帝京ラグビーの良き文化と話す。
「例えば寺山廉太郎(WTB)、グアイニ優人(FL)ら、今季までなかなか試合に出場できなかった4年生たちが、いま試合に出て引っ張ってくれています。それも、チームにとっては大きな力になっています」
FBに決定力のある小村真也も復帰し、状況の許す範囲でのベストメンバーを揃えて明大戦に臨む。
LO坪根章晃、CTB佐藤楓斗と1年生も出場するこの試合で快勝するなら、その強さはさらに、加速的に高まりそうだ。
対する明大は、前週の早大戦で受けに回った時間帯が多かっただけに、この試合ではプライドを懸けて攻守ともに前に出て戦うだろう。
自信を取り戻す80分にしたい。
明大も昨季大学選手権決勝の先発15人中9人が卒業と、大きく陣容が変わるシーズンになっている。
神鳥裕之監督は、ケガ人が出ている状況も合わせ、春シーズンを、いろんな選手の力と可能性を見る期間と考えている。
早大に圧力を受けたスクラムは、U20日本代表候補の山口匠を3番で先発させ、安定させたい。
2試合ぶりに4番でプレーする田島貫太郎も、FWの力強さを呼ぶだろう。
NO8木戸大士郎主将はこの試合でも、攻守の両シーンで前へ出続けるはずだ。
特にコミュニケーションの点で成長するSH柴田竜成とコンビを組むのは、この試合でもSO萩井耀司。ふたりの動きは、気の利くプレーに定評のある秋濱悠太が13番で先発することで、より効果的になりそうだ。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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