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毎年、12月の第1日曜日に対峙する好敵手との決戦の結果は一生ものだ。その時代の王者が別にいたとしても、両校の選手たちは、赤黒、紫紺のジャージーへのライバル心を剥き出しにして戦う。
毎年の恒例、春の早明戦(関東大学春季交流大会)が今年は6月2日(日)、新潟でおこなわれる。
伝統の一戦が同地で実施されるのは初めてのこと。注目度は高い。
春季交流大会Aグループにおいて、ともにここまで2戦全勝。大勝を続けている中での対戦だ。
今季初めて実力が近い相手との激突は、自分たちの成長具合を体感する80分となるはずだ。
ディフェンスとセットプレーにフォーカスして春シーズンを過ごす早稲田が、好アタッカーの多い明治相手にどうディフェンスするか注目される。
ブレイクダウンでの攻防で勝つか負けるか。1対1のコリジョンの優劣にこだわって戦う。
過去2試合でCTBコンビを組んだ黒川和音、福島秀法のコンディションが整わず、この試合では森田倫太朗が12番、金子礼人が13番を任された。
大田尾竜彦監督は、「こういうケースは秋のシーズンにもあり得ること。森田、金子がディフェンスでどれだけ戦えるかに期待したい」と話す。
チームとしてこの試合に掲げるテーマは「ファイトオン」。ありとあらゆる局面で戦い続ける姿勢を見せ続ける覚悟だ。
攻守とも積極的に前に出て戦う。
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HOの佐藤健次主将は、5月30日に発表された日本代表の宮崎合宿(6月6日~15日)参加メンバーに名を連ねたものの、新潟での一戦を戦った後にチームを離れる。
しかし監督は、リーダーが不在となる状況もプラスに転化したいと考えている。
当初は、頂点に立つためには超えなければならない相手、6月16日に戦う帝京大との試合へ向けてのアプローチ、勝負を通して、主将自身もさらに成長してほしいと願っていた。
「本人とも話しましたが、日本代表でさらに個人の力を伸ばし、それをチームに還元しようということになりました、その間に他のリーダーたちをはじめ、選手たちが力をつけてくれたらな、と思っています」
BKのエース格、FB矢崎由高は完調ではないため出場を見送るが、出場今季チャンスを掴んでいるWTB鈴木寛大は3戦連続の先発を果たす。強気で決定力がある。
過去2試合にNO8で先発したルーキーの城央祐は、今回はベンチスタート。フィジカル面の強い相手とのバトルで実力を証明したい。
明治は昨年のチームのFW8人のうち5人が4年生だった。新しいパックを強化中だ。
チームを束ねるNO8木戸大士朗主将は、もともと寡黙なリーダーだ。しかし、先頭に立つ日々を過ごして変化もある。
神鳥裕之監督が証言する。
「決して多弁ではありませんが、ひと言ひと言の重みが増してきました。自ら体を張るスタイルは変わらぬまま、周囲にも厳しいことも求められるリーダーになってくれています」
注目は力を積極的に出している1年生たちだ。早明戦には、SO萩井耀司、FB為房幸之介と、2人のフレッシュマンが先発する。
「1年生らしからぬゲームコントロ―ル」と萩井を評価するのは神鳥監督だ。
「ベーシックなスキルが高いから、全体をうまくリードできています」
力の差がない相手との競り合いの中でも力を発揮できるかどうか、指揮官はチェックするつもりだ。
為房に関しても、圧力の中でのプレーぶりを見つめる。
ランニング能力の高さと強さについて「想像以上」と評価する。ウエートトレーニングの数値も高い。経験値を高めれば、相手にとってさらに脅威となるだろう。
チームとして、春シーズンは土台を大きくする日々を過ごしてきた。戦術的なことに手をつけたのは、春季交流大会の2戦目が終わった後のことだ。
パワフルな面はそのまま、スマートに戦える面も伸ばしていきたいと神鳥監督は話す。
2024年シーズンのチームスローガンは「奪還」。SH柴田竜成など、上級生になって、持てる才能をますます発揮できる選手も出てきた。
全力でほしいものを奪いにいく。
文: 田村 一博
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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