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ゲインラインを突破するHO佐藤健次主将
小雨がちらつく天候の中、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場で、早稲田大学の関東大学春季交流大会の2戦目が開催された。対戦相手は東海大学。関東大学リーグ戦5連覇を誇る強豪に対して、『BEAT UP』を体現できるか注目の集まる一戦だ。
試合は開始直後、早大の先制トライで動き出す。その後、連続失点を許すも、早大がテンポの速い攻撃で反撃。40-12と点差をつけて前半を終える。後半に入ると東海大のディフェンスに苦しめられ、流れに乗り切れない早大。それでも東海大の追い上げを抑えながら着実に得点を重ね、59-26で勝利を収めた。
早大のキックオフで試合が開始されると、その直後にゲームは動く。東海大が脱出を試みたキックをSO(スタンドオフ)野中健吾(スポ3=東海大大阪仰星)が確保。今試合でスタメンデビューを果たしたFB(フルバック)池本晴人(社2=東京・早実)がボールを受け取りカウンターを仕掛ける。
センターライン付近の左サイドでポイントを作ると、早いテンポで逆サイドに展開し、大外で待つWTB(ウィング)鈴木寛大(スポ2=岡山・倉敷)に。今シーズン好調のトライゲッターがライン際を駆け抜け、先制トライを挙げた。
しかし流れを掴み敵陣に攻め込む早大に対し、東海大の力強いディフェンスが応戦。攻守が入れ替わる一瞬の隙をつかれ、ゲームを振り出しに戻されてしまう。さらに早大は自陣での守備が続き、粘り強くタックルに入るも崩され連続失点、リードを奪われる。
それでも自分たちのペースを崩さなかった早大はこれ以降、相手に得点を与えない。攻撃でもSO野中を中心に早大らしいテンポの速いアタックを展開し、前に圧力をかけてくる東海大のディフェンスをハンドリングスキルでかわしていく。
自分たちのラグビーで、徐々にリズムを取り戻し得点を重ねた。24分には敵陣ゴール前でのスクラムをFW(フォワード)が圧倒。東海大のペナルティを誘い、ペナルティトライを獲得した。終盤は早大のペースで試合を進め、東海大に攻撃の隙を与えず、5連続トライで突き放し、40-12と差をつけて前半を折り返した。
ラグビー関東大学春季交流大会2024
【ハイライト】Aグループ 東海大学 vs. 早稲田大学|早稲田、 9トライを奪い快勝
後半、勢いに乗り勝負を決めたい早大に、東海大のディフェンスが強度を上げて襲いかかる。早大は流れを掴みそこね、ゲームは硬直状態に突入。好調だったスクラムでもペナルティを奪われると、10分には自陣ゴール前のラインアウトからモールを組まれ、最後はショートサイドからインゴールを割られてしまった。
力強いボールキャリーを見せるCTB福島
東海大の追い上げムードが続く中、粘り強い守備を続けチャンスを伺う早大。反撃に転じたのは後半25分、自陣深くでのディフェンスから相手のミスボールにCTB(センター)福島秀法(スポ3=福岡・修猷館)が反応。
すかさず裏のスペースへ蹴りこむと、戻りきれない東海大の選手に対して、早大のチェイスがプレッシャーをかけボールを獲得。早大の武器であるテンポの速さに東海大のディフェンスは追いつけず、走り込んだPR(プロップ)新井瑛大(教2=大阪桐蔭)から、最後はHO(フッカー)佐藤健次主将(スポ4=神奈川・桐蔭学園)がボールを受け取りゴール中央にグランディングした。
小さなチャンスをものにし、スピードのある攻撃で一気に東海大の流れを断ち切った早大。その後も2トライを挙げ、粘る東海大を突き放し、最終スコア59-26で春季大会2戦目を白星で終えた。
東海大の強力なディフェンスに対して、テンポの速さと展開力を駆使し、巧みな攻撃で計9トライを挙げる活躍を見せた早大。進化した攻撃力の高さを示すゲームになった。
一方で、春シーズンに意識して取り組んできたディフェンスに関して、「4トライ取られたという事実は変わらない」と厳しく振り返る佐藤主将。続く、第3戦で迎えるのは、大学ラグビー随一の攻撃力を誇る明治大学だ。『重戦車』を迎え撃つため、守備力の向上は大きな課題となるだろう。
春の早明戦を次節に控え、ついに山場を迎える春季大会。チーム佐藤はさらなる躍進を見せることができるのか、今後の動向からも目が離せない。
◆大田尾竜彦監督(平16人卒=佐賀工)
「今日のゲームテーマがアティチュードというところで、試合中の姿勢だったり、そういった部分を本人たちも意識して臨んでくれた。
東海大学さんは今までに比べて、レベルもかなり高くなるので、1人1人のコンタクトで苦労した部分はあると思うが、これはやはり勝ち前提で試合を組み立てるより、しっかりと相手が強いということを前提に、もう少しゲームを組み立てるということも必要だと思った。
とはいえ、リーグ戦を5連覇をしている相手に対して、しっかり勝ち切ったことは素晴らしいことだと思う」
◆HO佐藤健次主将
「リーグ戦5連覇してる東海大学さんとやるにあたって、自分たちの態度、姿勢のところをフォーカスしてやろうと話していた。
誰かがラインブレイクした後のサポートであったり、ラインブレイクされた後のバッキングだったり、そういうボールに関わっていない選手たちの動きにこだわっていたが、相手のラインブレイクに帰れていなかったり、自分たちがラインブレイクした時の追い上げが、全然まだまだ足りない。
スコアとしては離れて良いゲームのようにも見えるが、4トライ取られたという事実は変わらないので、ディフェンスをもう1回見直して、アタックも軽いロストが多かったので、そこを修正して次戦に向けてがんばりたい」
文:西川龍佑/写真:清水浬央(早稲田スポーツ新聞会)
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