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ラグビー コラム 2024年5月17日

五郎丸歩さん、ワールドラグビーU20トロフィーに挑むU20日本代表を指導

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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五郎丸さんに指導を受けた左から井上、伊藤利、竹之下、高木、伊藤龍、本橋

7月にスコットランドで「ワールドラグビーU20トロフィー」(2部相当のU20世代の世界大会)を控えるラグビーのU20日本代表は例年より早く、2月からリーグワンチームとの合同練習、試合で強化を進めた。

4月にはオーバーエイジの3人を加えて、「JAPAN XV」として、サモアで「ワールドラグビーパシフィックチャレンジ」を戦い、見事に3連勝で優勝を果たした。

U20日本代表候補

今回は、U20日本代表候補の選手たちだけで再び集まり、5月末にニュージーランドに遠征を敢行。25日と30日にNZU(ニュージーランド学生代表)と2試合行う。その遠征と試合の準備ため、5月15日から18日まで、千葉で合宿をしており、33人の若き選手たちが集った。

大久保直弥HC

まず、2020年以来、2度目の優勝で終えたサモア遠征を振り返って大久保直弥HC(ヘッドコーチ)は、「オーバーエイジの3人が、いい仕事をしてくれたが、サモアで勝ったことは過去のこと。ニュージーランド遠征では、7月に我々がどう勝つかとなったとき、まだまだ選手層が薄いポジションがあるので、その底上げとプレータイムの少なかった選手の底上げをしたい」と話した。

将来が期待されているLO石橋

「2月から、めっちゃ食べさせられていて、3kgくらい増えた」と笑顔を見せたLO(ロック)石橋チューカ(京都産業大学2年)は「ニュージーランドで精神的にも身体的にも、成長して戻ってきたい」と意気込んだ。NZUと2試合行うが、スーパーラグビーのアカデミーチームと、スクラムセッションも予定されている。

2月から着実に強化を進めているU20日本代表チームだが、今季は昨季の高校日本代表で活躍したHO(フッカー)田中京也(立命館大学1年)、SH(スクラムハーフ)井上達木、CTB(センター)森尾大悟(ともに筑波大学1年)と、2005年生まれの大学1年生の3人も招集した(慶應義塾大学1年のPR/プロップ井吹勇吾はコンディション不良で不参加)。

森尾(左から2人目)ら、大学1年生も参加

大久保HCは「今回の合宿から、大学1年生4人を呼びましたが、しっかりミックスさせて、来年のU20日本代表活動のためにも、できればワールドトロフィー本戦にも入れたいという希望があります」と狙いを語った。

「7月のワールドトロフィーのキャプテンは太安善明(天理大学2年)でいく」という方針だが、4月の遠征でケガをした太安は、大事を取って今回の遠征に参加しない。また、U20世代のエース的存在であり、エディー・ジョーンズHCが率いる日本代表でのプレーも期待されているFB(フルバック)矢崎由高(早稲田大学2年)はコンディション不良のために、15日の午後に離脱となった。

大久保HCはFB矢崎について「エディーと僕の中で矢崎は今、日本代表に呼ばれても活躍できるレベルにいるので、リコンディショニングさせて、6月、7月にいい状態でやれることを一番に考えた。ワールドトロフィーで素晴らしいパフォーマンスをしてほしいと思い、合宿からの離脱という結論になりました」と説明した。

プレースキックを披露する五郎丸さん

また、今回の合宿では、15日には選手を引退したばかりの元日本代表SH矢富勇毅(静岡ブルーレヴズ)、16日は静岡のスタッフで日本代表の名FB(フルバック)だった五郎丸歩さんらも参加した。2人は指導だけでなく、選手たちの前でインターナショナルの舞台で経験した話も披露したという。

その意図を聞くと大久保HCは、「私の引き出しがなくなったから(笑)。(国際経験がある選手に)来てもらえることはありがたい。我々はアウェイでスコットランドに勝たないと行けない。マインドセットが最も大事」。

「アウェイのゲームで環境が変わると、力を発揮できない選手が多いから、彼らの経験を話してもらった。その人たちの言葉を、20歳の選手が聞くとコーチよりはるかに説得力がある」と話した。

SO伊藤龍と五郎丸さん

選手の前で話をしたという五郎丸さんは「自分のユース時代を振り返ると、行くだけで満足していたが、今はそういう時代ではなくなった。そのツアーを通じて自分が何を得たいか」。

「今、代表強化はピラミッドになっていて、ジャパン、ジャパンXV、その次がU20だから、その位置づけや、ジョーンズHCは見ているよ、と。あとは3年後の2027年ワールドカップに行ける可能性は十分ある。そこはあきらめず、世界で結果を残して帰って来てほしいということを伝えました」と振り返った。

久しぶりに桜のエンブレムの練習着を来た五郎丸さん

また、取材日に五郎丸さんは久しぶりに、桜のエンブレムのついた練習着に袖を通して、コーチングセッションも担当した。トップレベルでは「初めてのキッキング指導だった」という五郎丸さんはジェネラルキック、プレースキック、さらにはキックをした後のセルフケアの方法などを、丁寧に若い選手たちに指導していた。

五郎丸歩さんは「キックはHOなどと一緒で。専門職なので私が力になれればということで合宿に来た。こういう機会で、また桜のエンブレムがついたものを着られたことが光栄なことだし、何か自分の経験が彼らに役立ってくれたらうれしい」。

「100人いれば、100通りの蹴り方があると思うので、自分は原理原則だけしか基本的には教えない。あとは自分に合ったフォーム、蹴り方というのをマスターしてください、というスタンス。日本のラグビー界を背負っていくメンバーだし、今後のワールドカップに行けるメンバーも多いので楽しみ」と若き選手たちの成長に期待を寄せた。

キック練習を受けるSO伊藤利とSH高木

五郎丸さんの高校(佐賀工業)の後輩で、この日、初めてU20日本代表候補合宿に参加したSH井上は「高校1年生のときに指導してもらったことはありますが、五郎丸さんとちゃんとしゃべったのは初めてでした。ここに入れたのは夢みたいですが、まだ馴染めていないので、馴染むことからがんばろうと思います」と興奮気味に話した。

「2015年ワールドカップも見ていたので、すごい人に教えてもらう機会はなかなかないので」と、終始笑顔で五郎丸さんの指導を受けていたSO(スタンドオフ)伊藤利江人(明治大学2年)は「五郎丸さんはキックのインパクトが強い選手なので見習いたい。ニュージーランドでは自分を成長させていけば、それがチームのレベルが上がることだと思う」と先を見据えた。

セルフケアの仕方を教える五郎丸さん

SO本橋尭也(帝京大学2年)は「(五郎丸さんに)会えてうれしかった。キックのスキル面もそうだが、五郎丸さんは自分の意志がしっかりしていました。どれだけキックをしてもケガをしない、セルフケアの仕方を教えてもらいました。ニュージーランドでは自分の持ち味であるロングキックでチームを前に出していきたい」と語気を強めた。

ニュージーランド遠征に挑むU20日本代表

取材日の16日も午前中は激しいトレーニングをして、17日はリーグワンチームとの合同練習を行ったという。ニュージーランドで2試合した後、6月も国内で合宿を予定している。7月にスコットランドで4連勝し、U20チャンピオンシップ(1部)昇格まで成長を続けていく。

◆U20日本代表候補33名
※:事前合宿のみ参加
※1:コンディション不良で参加せず
※2:15日午後離脱

・PR森仁之輔(天理大学2年)
・PR井吹勇吾(慶應義塾大学1年)※1
・PR/HO大塚壮二郎(関西学院大学2年)
・HO清水健伸(早稲田大学2年)
・HO螻川内晴也(帝京大学2年)
・HO田中京也(立命館大学1年)※
・PR布引大翔(帝京大学2年)
・PR八田優太(京都産業大学2年)

・LO磯部俊太朗(筑波大学2年)
・LO石橋チューカ(京都産業大学2年)
・LO物部耀大朗(明治大学2年)
・LO大宮碧海(日本大学2年)
・LO白丸智乃祐(筑波大学2年)

・FL亀井秋穂(明治大学2年)
・FL川越功喜(天理大学2年)
・FL太安善明(天理大学2年)※
・FL大川虎拓郎(明治大学2年)
・NO8吉川大智(立命館大学2年)
・NO8舛尾 緑(立正大学1年)

・SH村田大和(京都産業大学2年)
・SH高木城治(京都産業大学2年)
・SH井上達木(筑波大学1年)※
・SH/SO伊藤利江人(明治大学2年)
・SO伊藤龍之介(明治大学2年)
・SO本橋尭也(帝京大学2年)

・CTB永井大成(専修大学2年)
・CTB上田倭士(帝京大学2年)
・CTB森尾大悟(筑波大学1年)※
・WTB飯岡建人(筑波大学2年)
・WTB岸 未来(近畿大学2年)
・UBK竹之下仁吾(明治大学2年)
・UBK増山 将(筑波大学2年)
・FB矢崎由高(早稲田大学2年)※2

◆ワールドラグビーU20トロフィー U20日本代表対戦予定

【プールA】
・7月02日(火)vs. U20香港代表
・7月07日(日)vs. U20サモア代表
・7月12日(金)vs. U20スコットランド代表
・7月17日(水)順位決定戦(プールBのチームと対戦)

※プールB:ウルグアイ、オランダ、ケニア、カナダもしくはアメリカ)

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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