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東芝ブレイブルーパス東京 vs. 東京サンゴリアス
3シーズン目のリーグワン王者を争うプレーオフ準決勝第2戦。5月19日(日)、秩父宮ラグビー場で対決するのは、ともに東京都府中市を本拠地とする東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)対東京サントリーサンゴリアス(東京SG)だ。リーグワンでは今季3度目の対戦となる。第2節(2023年12月17日)は26-19、第15節(2024年4月27日)は36-27でBL東京が連勝しているが、いずれも僅差となり実力は拮抗している。
BL東京のリーチ マイケルキャプテンは、プレーオフ出場4チームが揃った記者会見で「府中ダービーはいつも楽しいです」と言った。手の内を知った者同士が互いの特徴を出し合って戦うからこそ、プレーする選手も観戦するファンも楽しいのだろう。東京SGの堀越康介キャプテンは、「東芝は圧倒的なフィジカルとモウンガを軸にして多彩なアタックを仕掛けてきます。3度目の対戦でリベンジできる機会ができました」とコメント。雪辱を期している。
リーグワンの統計数値を担当するOPTAによると、相手を押し戻すようなドミナントタックル数で、ディビジョン1(D1)の上位6選手のうち、4選手がBL東京の選手だ。シャノン・フリゼル、リーチ マイケル、ジェイコブ・ピアス、佐々木剛である。フィジカルの強さ、タックルの的確さを数字も表している。
一方で、東京SGはラインブレイク数に特徴がある。尾崎晟也は今季のラインブレイク数でリーグワン最多の30回を記録。2位の選手より6回多いダントツのラインブレイク能力がある。ラインブレイクとは、ラン、キック、インターセプトで最初にディフェンスラインを突破した数のこと。尾崎がタックラーを置き去りにして快走する場面を何度見たことだろう。またタックラーかわすディフェンス突破の数字でも、尾崎は55人を記録。松島幸太朗の50人を上回る。尾崎がBL東京の激しいディフェンスをどうかいくぐるかも注目だ。
48時間前に発表されたメンバーを見ると、BL東京の先発15人は第15節の対戦時とBK2名の変更がある。FWは木村星南、原田衛、小鍛冶悠太、ワーナー・ディアンズ、ジェイコブ・ピアスという若き前5人に、シャノン・フリゼル、佐々木剛、リーチ マイケルというパワーとスピードを併せ持ったFW第三列。SOは第15節では欠場したリッチー・モウンガが入り、WTBはマイケル・コリンズがリザーブに回って先発は今季何度も大幅ゲインしている桑山淳生だ。BL東京の快進撃を支えてきたプレーメイカーであるモウンガはオールブラックス、スーパーラグビーで大舞台を何度も経験している。その存在がチームを落ち着かせる。
トッド・ブラックアダーヘッドコーチは、「自信をもって送り出せるメンバーです。ワクワクしています」とコメント。HO原田衛は「シーズンと同じようにいい準備ができました。ベスト4に残れたのだから、この機会を楽しもうと思います」といつも通りの力を出し切ることを心がける。「カギはラインアウトとスクラム、ここで負けたら話にならないし、自信はあります」
対する東京SGのメンバーは、4月27日の第15節の対戦時からは先発15名中4名の変更がある。LOトレヴァ・ホゼアとサム・ジェフリーズは先発、リザーブが入れ替わり、ジェフリーズが先発。NO8はタマティ・イオアネがリザーブに回り、ベテランのツイ ヘンドリックが先発。BKは中村亮土がリザーブで、イザヤ・プニヴァイが12番を背負い、いまもっとも勢いがある尾崎泰雅が13番。11番のWTBとしてチェスリン・コルビが第12節以来の復帰を果たす。「リアクションのスピードも、キャリーのスピードもモノが違う。BL東京の脅威になってほしいです」(田中監督)
東京SGのリザーブ8名の編成には明確なメッセージがある。FWが6名なのだ。フィジカルバトルで強いBL東京に対して、控えのFWを多くすることで立ち上がりから出し惜しみすることなくファイトする覚悟が垣間見える。BKの2名については経験豊富なSH流大が負傷の回復が間に合わなかったことで、SH以外を入れることを決断。「キックの蹴り合いが多くなるので、バックスリー(WTB、FB)が消耗すると予想し、バックスリーの選手を入れることにしました」(田中澄憲監督)と、CTB中村亮土、WTB江見翔太が入った。SH齋藤直人はフル出場の予定で、もし怪我があった場合は、SO高本幹也がカバーする。お互いが100%の力を出して戦うのが府中ダービー。その結果、どんなスコアが刻まれるのか楽しみだ。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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