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FB松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)
いよいよ今週末から始まる「NTTジャパンラグビー リーグワン」ディビジョン1のプレーオフ準決勝。5月19日(日)の東芝ブレイブルーパス東京(リーグ戦2位)戦に向けて、リーグ戦3位の東京サントリーサンゴリアスが練習後、報道陣に対応した。
SH齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)
練習はほぼ非公開となったが、日本代表SH(スクラムハーフ)齋藤直人は「先週は試合がなかったので、(準決勝のプランが)インストールできて、今週はスピードを上げた中で練習ができている。通常よりも頭がクリアになって、トレーニングできている」と自信をのぞかせた。
トップリーグ時代に5度の優勝を誇り、2016-17シーズン以降、7シーズン連続トップ4に入っているサンゴリアス。しかし、2017-18シーズン以降は優勝から遠ざかり、リーグワンになってからは、トップ4に入っても一昨季は2位、昨季は4位と優勝カップを掲げることはできていない。
今季は14節以降は引き分け、黒星、黒星と勝つことができなかったが、10勝1分5敗(勝ち点50)と3位でプレーオフに進出した。
田中澄憲監督(東京サントリーサンゴリアス)
指揮官となり、2シーズン目の田中澄憲監督はリーグ戦を振り返り、「リーグワンとなって、8~9位までがそれほど力が変わらなくなり、競争の高いリーグになってトップ4に残ったのは自信になるし、苦しい試合を勝ち抜いたところもある。もちろん、最後の3試合は手放しで喜べるようなゲームではないが、逆にいうと大きな学びを経て、プレーオフに臨める」と先を見据えた。
準決勝の相手は「府中ダービー」のライバルである東芝ブレイブルーパス東京である。今シーズン、2度対戦したが、19-26、27-36と僅差の試合だったが、連敗している。3度目が大舞台での対戦となった。
田中監督が「2回悔しい敗戦をしているので、セミファイナルで対戦できるのは最高の環境で、チャレンジするだけ。2回ともブレイクダウンで圧力をかけられたので、そこはキーになる」と分析した。
HO堀越康介キャプテン(東京サントリーサンゴリアス)
キャプテンの日本代表HO(フッカー)堀越康介はFW(フォワード)の選手らしく、「ワクワクしかない。2回負けているし、大方の予想は東芝が有利だと思っているので、全部ひっくり返したい」。
「自分たちのプランを100%出せるかどうか。一番大事なポイントはセットプレー。前回の対戦で、ラインアウトで苦しんだ部分もあるので、ラインアウトもスクラムも、どっちも100%を目指したい」と話した。
WTB尾崎晟也(東京サントリーサンゴリアス)
今季、キッキングゲームと攻守のトランジションの部分を強化してきたというサンゴリアス。日本代表のWTB(ウィング)/FB(フルバック)松島幸太朗、14トライを挙げたWTB尾崎晟也がいる。
松島は「キッキングゲームはシーズン通してやってきたのでそんなに不安はない。キャッチングはバックスリーの責任なので、しっかりキャッチしてボールを確保してアタックに切り替えたい。そして、ボールを持ったら脅威になれるよう、しっかりオプションになる。ボールを持たないときにも脅威になれるように、ボールを持っていないときの動きを意識していきたい」と語った。
WTB/FBチェスリン・コルビ(東京サントリーサンゴリアス)
さらに南アフリカ代表のWTB/FBチェスリン・コルビもケガから復帰し、練習に参加したという。コルビの姿を見て指揮官は「エネルギーを与えてくれるし、キックのリアクション、高さとかもさすがだと思う。いい動きをしているし、自信は相当あると言っていたので、いい状態だと思う」。
コルビ本人も、「準決勝なので、興奮とエナジーに満ち溢れている。まずメンバーに選ばれないと、というのがあるが、基本プレーをしっかりやって、それぞれが自分の能力を発揮して、ゲームプランを理解し遂行する。自分としては、試合中にチャンスが来たらしっかりとものしたい」と腕を撫した。
SO高本幹也(東京サントリーサンゴリアス)
また、リーグ戦全試合で10番を背負った新人賞候補のSO(スタンドオフ)高本幹也(帝京大学出身)は、「どの試合も負けたくないが、負けたら終わりになればなるほど、気持ちは高まるので落としたくない」。
「ゲームプランは確実に成長しているので、最近は前を見て、自分でランができるところを探しているので、そういった部分をプレーオフで見せられればいい」と準決勝を見据えた。
大阪桐蔭時代には花園で優勝し、帝京大学でも2度、王者に輝いている高本は「トーナメントの方が迷わないで、思い切ってやれる。リーグ戦はこういうプレーがいいか、ああいうプレーがいいか、と探りながらやっている部分もあったが、今週はやることが決まっているので、それに対して迷わずプレーしてやっていきたい」と語気を強めた。
また、対面での対戦がされるオールブラックスで経験豊富な、SOリッチー・モウンガへの対策を聞くと、高本は「ボールを持つ時間を少なくすればいいのではないか。ボールを持っても、持つ時間を短くするようにプレッシャーかけられるようにしたい」。
「自分の役目ではなく、チームでやりたい。1人だけ飛び出したらモウンガ選手のチャンスになってしまうので、チームでプレッシャーをかけていきたい」と冷静に話した。
セットプレーが鍵を握る
今シーズン、チームは「THIS IS SUNGOLIATH」というスローガンを掲げて戦ってきた。田中監督は「プレーオフは順位通りになったことがない。だから、リーグ戦の順位は関係ない。僕らはチャレンジャーなので、持っている力をどう出し切るか、だと思う」。
「やってきたことは間違いないし、力がなかったらここに残っていないし、積み上げてきたものをしっかりと、信じ切って全部出すに尽きる」と自分たちに言い聞かせるように言った。
HO堀越キャプテンは「プレーオフは違った試合になると思っている。うちはプレーオフを経験している選手も多いし、どうやって勝つかわかっている選手も多いので、それを出していきたい」。
FB松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)
2017-18シーズンで優勝時にMVPに輝いた松島は「『サンゴリアスプライド』をもう1回出していきたいし、強いサンゴリアスを見せたい。やることがクリアになっていれば、強いラグビーができることは証明できている。自信を失わずに、積み上げてきたものをしっかり出して、準決勝でさらに自信をつけていきたい」と前を向いた。
かつて、プレーオフになると1点でも相手を上回る「ファイナルラグビー」を見せてきたサンゴリアス。その経験、文化は今も残っている。準決勝で「府中ダービー」のライバルに3度目の正直で勝利し、2シーズンぶりの決勝に駒を進め、初のリーグワンの頂点を目指す。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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