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ラグビー コラム 2024年5月10日

公式戦での対戦は初の顔合わせ。東洋大は1年生HB団で外を走らせる。慶大はFB小野澤のデビューに注目

ラグビーレポート by 田村一博
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秋、冬に目指す姿が見えるような時間を過ごしたい。
各チームがそう考えながら春シーズンにトレーニングを重ねている。

関東大学春季交流大会は、各チームが今季のカラーを作り上げる途中にあるものだ。5月12日に東洋大グラウンドでおこなわれるBグループの一戦、東洋大学×慶應義塾大学からも、いま取り組んでいること、数か月後に目指している姿が見られるだろう。

公式戦で戦うのは史上初めてのことだ。両校関係者は、そう認識して戦いの場に立つ。
ただ日本ラグビーのルーツ校である慶大は昨春、東洋大に練習試合を申し込み、川越のグラウンドを訪れている。

青貫浩之監督が回想する。
「東洋大について素晴らしい評判が聞こえてきていたので、こちらからお願いして、グラウンドに足を運び、チームの空気などを学ばせていただきました」
その時以来の対戦だ。

東洋大は一昨季、29シーズンぶりに関東大学リーグ戦1部で戦い、3位に。初の大学選手権も果たしたものの、昨季はリーグ戦5位に終わり、次ステージには進めなかった。

その2シーズンを経て福永昇三家督は考えた。常に大学選手権に進み、上位校と伍すチームになるにはどうすべきなのか。
結論は、コリジョンで負けないこと。フィジカリティの強さで劣らないこと。それが基盤にないといけないと分かった。

今春はその考えに沿って、徹底してウエイトトレーニングに取り組んでいる。
個に焦点を当て、鍛える日々。今季の大学春季大会の初戦(5月5日)で大東文化大学に36-35と競り勝ったのも、その成果の一部が出たからだ。

チームとしての練習を始めたのは、その試合の1週間前から。その後、試合期に入ってもウエイトトレ重視の毎日が続いている。
チームのエンジンを大きくする作業が続いている。

試合での選手起用も、体作りが進んでいる昨季からのメンバーが中心となっている。
しかしその中で、チャンスを掴んでいる1年生もいる。大東大戦、FBで先発した池渕紅志郎(徳島・城東)は、慶大戦では本職のSOとしてスターターを務める。

練習中から積極的に周囲をリードし、コンタクトプレーも強い池渕とコンビを組むSHにも1年生の生田旭(國學院栃木)が起用される。
こちらは、元気と積極さでチームにモメンタムを与えるタイプだ。
福永監督は「バックスリーに良いランナーがいるので、そこを生かすゲームをしたい」と期待を寄せる。

人間力があり、信頼の厚いPR笠巻晴太主将(北越)が先頭に立つFWも力強い。
3年生になった211センチのLOジュアン・ウーストハイゼンは健在。BK出身で、今回はNO8に入るステファン・ヴァハフォラウ(札幌山の手)の自由度の高い動きにも注目したい。

慶大は、関東大学春季大会の初戦(4月21日)では立教大学に54-22と大勝したものの、5月5日に佐賀でおこなわれた早稲田大学との招待試合には27-52と完敗した。
東洋大戦には、攻撃力を高めた布陣で挑む。

注目されるのは、ルーキーの小野澤謙真だ。静岡聖光学院出身で、高校日本代表。父・宏時さんは、WTB。FBとして日本代表キャップ81キャップを持つ。
天性のランだけでなく練習時からリーダーシップを発揮し、周りを牽引姿勢も評価されての起用だ。

その小野澤とバックスリーを組むのは、試合会場に近いエリアで学んだふたりだ。11番に入った石垣慎之介は慶応志木高校出身の3年生で、14番の渡邉匠は川越東高校出身の4年生。青貫監督は、爆発力を期待する。
バイスキャプテンのSH小城大和(北嶺)、3年生のSO大川竜輝(慶応)のHB団に、防御ラインに仕掛けていくアタックを期待する。

LOには、187センチの浅井勇暉(仙台)、183センチの長瀬穣一郎(山形南)と4年生を起用し、相手の大型第2列に対抗する。
チームとして磨き上げたい前に出るディフェンスを、大柄な選手の多い相手にぶつける。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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