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ラグビー コラム 2024年4月30日

【ハイライト動画あり】レジェンドの節目の試合、スティーラーズは9トライで祝福。好調だったレヴズを前半から圧倒

ラグビーレポート by 田村一博
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コベルコ神戸スティーラーズ vs. 静岡ブルーレヴズ

スティーラーズの日。
そう表現していい一日になった。

誰が、このスコアを予想していただろう。63-19。コベルコ神戸スティーラーズが、静岡ブルーレヴズから9トライを奪って大勝した。
この試合の前まで、3試合勝利のなかったチームが、5試合負けなしで臨んだ相手を一蹴した。

リーグワンも大詰め。レギュラーシーズン全16節のうちの第15節の一戦は、スティーラーズにとって今季最後のホストゲームだった。
熱いファンの期待に応えたい気持ちが、選手たちの中に詰まっていた。それ以外にも、この試合に勝たねばならない理由がいくつもあったから、誰もがキックオフ直後から全開でプレーした。

この日、背番号18でベンチスタートとなった山下裕史は、チームを長く支えてきたプロップだ。
そのレジェンドは、この日出場すればトップリーグ時代も合わせての通算出場試合が177となり、歴代最多出場記録と並ぶ(元日野レッドドルフィンズのPR久富雄一とタイ)。

2023年のワールドラグビー選出のプレーヤー・オブ・ザ・イヤーに選ばれたオールブラックス、NO8アーディ・サベアが日本でプレーするのは今季だけだ。この日が、ホストスタジアムでの最終戦だった。

勝って功労者の節目の試合を祝おう。世界的スターを送り出そう。
そんな気持ちに加え、熱心なホストエリアのファンに、自分たちのスタイルをあらためて見せる思いを胸に秘めていた。
前週でプレーオフトーナメントへの進出はなくなり、勝ち点などの勝ち方の縛りもない。ただただ、自分たちのプライドを示す時間だった。

先制点は前半3分、WTB濱野隼大が奪った。
SH日和佐篤、PR具智元がオフロードパスを連続させて前進し、最後はサポートしていたFL今村陽良がラストパスを送った。
全員の前へ出る姿勢が試合序盤から見られた。

このトライを含め、スティーラーズは前半だけで4トライを奪った。
20分、8フェーズを重ねた攻撃を仕上げたのはNO8サベア。25分にはCTBラファエレ ティモシーがCTBナニ・ラウマペのキックパスをインゴールで受けて5点を追加した。

ジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1

【第15節ハイライト動画】コベルコ神戸スティーラーズ vs. 静岡ブルーレヴズ

ラファエレのトライは、攻防が入れ替わり、大きくボールが動く途中、WTB松永貫汰のジャッカルからのターンオーバーが大きかった。
31分には、この日FBに入り、何度も好走を見せた李承信がトライラインを越えた。ラックから出たボールを、7人が6つのパスをつないで生まれたトライで、同じ絵を見てプレーできていることが伝わった。

28-0と大きくリードしても、スティーラーズの選手たちは安心せず、後半、さらにギアを上げた。
真紅のジャージーは残り40分で5トライを奪う。スクラムから。自陣から。コミュニケーションをとってプレーしているから、多彩なアタックが見られた。

後半16分に山下がピッチに入ったときには、スタジアムの熱がさらに高まった。
大勝で試合を終えた後、レジェンドはピッチでインタビューを受け、笑顔ながら淡々と偉業について話した。

「177試合も、と感じています。レヴズはFWが強い。後半入り、いいスクラムを組むことだけ考えました。花園でこの日を迎えられたことは、(自分は運を)持っているのかな、と。来週、来年と、一つずつ試合を増やしていければ、と思います」

デイヴ・レニー ヘッドコーチも穏やかに試合を振り返り、「最初から圧倒できた」と話した。
チームのカルチャーを大事にする指揮官だ。社員選手である山下のチーム内での価値や振る舞いを紹介し、称えた。

FBで出場、活躍した李の才能と可能性についても高く評価した。来季の構想も垣間見えた。
そして、SOブリン・ガットランドが9回のコンバージョンキックをすべて成功させ、大味になりがちな大差試合の空気を引き締めたことも書き留めておきたい。

好調だったレヴズは、もともと潜在能力の高い相手の、才能の発露を受け止め切れなかった。
前半途中にWTBキーガン・ファリア、CTBチャールズ・ピウタウをケガで欠く事態になった影響も大きかった。

この日のベンチはFW=6人、BK=2人の構成だったから、慣れないポジションに立つ選手もいた。
藤井雄一郎監督はエンジンのかかりの遅さを反省し、「やりたいようにやられた」と話した。

しかし、チームが右肩上がりに成長し続けることはなく、曲がりくねった道を歩んで地力を高めると知っている指導者だ。
むしろ、この試合で叩きのめされたからこそ、若手らはさらに伸びると分かっている。

後半に奪ったトライに、ラクに奪えたものはなかった、
若手もベテランも泥臭くプレーしてトライラインを越えるスタイルは、次節の最終戦でも、来シーズンも、貫かれるだろう。

文: 田村 一博

田村一博

前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。

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