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ラグビー コラム 2024年4月30日

【ハイライト動画あり】トヨタヴェルブリッツが劇的31フェーズ!4強決定済みの横浜キヤノンイーグルスに競り勝つ。NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24第15節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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トヨタヴェルブリッツ vs. 横浜キヤノンイーグルス

「自分たちのラグビーを信じ切れなかった場面も正直ありました。でも、過去は変えられません。いまから信じてやり続けることが、自分たちのやるべきことだと思います」

4強進出を逃した6位(7勝7敗)トヨタヴェルブリッツのFL姫野和樹キャプテンは、正直に、第14節までの闘いを振り返り、決意を語った。

しかし4月27日(土)の第15節。愛知・パロマ瑞穂ラグビー場。

4位(10勝4敗)横浜キヤノンイーグルスとの対決で、ヴェルブリッツは観客を熱狂させるファイトを披露した。

序盤はイーグルスの堅守が光った。

ヴェルブリッツはCTBシオサイア・フィフィタの前進から、重量FWが“タテ”を重ねていく。並のチームならば先制トライを許していただろう。しかしイーグルスは19フェーズ攻撃を防ぎ切った。

さらに前半6分、イーグルスはHO中村駿太のジャッカルで攻守交代。序盤のピンチを堅守でしのいだ。

するとイーグルスは敵陣でSH荒井康植の仕掛けからトライラインに迫り、フィニッシュは東海大学で先発SO武藤ゆらぎの1学年先輩だったFLレキマ・ナミサラ。ラック脇に前半10分、先制トライを奪った。

イーグルスはさらにルーキーSO武藤のPG(ペナルティゴール)成功で10点リードを得たが、ここからヴェルブリッツはスクラムから対抗。

スクラムでペナルティ(コラプシング)を奪うと、前半30分、CTB岡田優輝のクイックパスからFB高橋汰地がこの日チーム初トライを奪った。

しかしイーグルスは直後のキックオフ。

PR祝原涼介、LOナサミラのダブルタックルを起点にターンオーバー。敵陣22mで重圧をかけ、SO武藤が接点勝負でインゴールに突進。

沢木敬介監督が「間違いなく伸びる」と太鼓判を押すSO武藤が突っ込み、リーグ初先発でトライ奪取。ふたたび10点リード(17-7)を奪った。

しかしヴェルブリッツは粘り強かった。

前半終了前にHO加藤竜聖がFW戦からインゴールを割り、3点差(14-17)で折り返すと、後半8分にCTBフィフィタがゴール前突進で逆転トライを決めた。

ジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1

【第15節ハイライト動画】トヨタヴェルブリッツ vs. 横浜キヤノンイーグルス

このトライシーンで衝突したイーグルスNO8アマナキ・レレイ・マフィと、ヴェルブリッツCTBフィフィタがその後小競り合いをするシーンも。

ここから乱調になったのはイーグルスだった。

反則を重ねる相手に対し、ヴェルブリッツはゴール前ラインアウトからモール。最後尾についたCTBフィフィタが連続トライ。リードを11点(28-17)に広げ、瑞穂のファンから大歓声が起きた。

イーグルスも追いすがる。

後半17分のモールは止められたが、敵陣22mで大外展開。SO武藤が的確なパスをFB小倉順平に送ると、WTBタカヤワが右隅へトライ。

難しい右隅からのコンバージョンをSO武藤が決めて4点差に詰めると、さらにモールトライでついに逆転。その後の高難度のコンバージョンも成功した。

SO武藤はデビュー戦でトライを含む16点を挙げる活躍をみせた。

このままイーグルス3点リードのまま決するかと思われたが、最終盤にドラマがあった。

後半38分だ。残り2分でヴェルブリッツが自陣ゴール前のピンチで、スクラム・ターンオーバー。ピンチを脱すると、さらにイーグルスが反則の繰り返しでNO8アマナキがシンビンに。

2度の反則で、自陣まで後退したイーグルス。

14人で凌がなければならない状況に陥ると、ヴェルブリッツが後半39分から敵陣で連続攻撃。5フェーズ目で80分のホーンが鳴った。

9フェーズ目で会場からヴェルブリッツへの拍手が起きる。1人少ないイーグルスもFL嶋田直人、途中出場のHO庭井祐輔、SH天野寿紀らが低いタックルで押し込む。

83分13秒。アタックの停滞ムードで30フェーズ目のラックができた。ここでSOボーデン・バレットがワイドでボールをもらい、防御裏へグラバーキック。

「最後は31フェーズを重ね、選手の努力も見られました。バレットと高橋が良い判断をしました」(ヴェルブリッツ、ベン・ヘリングHC)

追いかけたFB高橋汰地がボールを拾い、インゴールへ滑り込んだ。爆発的な歓喜にわく瑞穂ラグビー場。劇的な逆転トライ(ゴール)で、35-31で勝負は決した。

「今日は良いラグビーでした。最後まで戦い抜くことが出来たと思います。ベンチのメンバーに関しても良い仕事ぶりでした」(ヴェルブリッツ、ヘリングHC)

難しいシーズンを牽引してきたFL姫野主将。晴れやかな表情だった。

「ホーム最終戦で勝てたことを嬉しく思います。選手のエフォート(努力)を誇りに思います。自信を取り戻す良い機会になりました。コリジョン(衝突)にフォーカスしていましたが、それを80分体現しくれました」

8勝目を挙げたヴェルブリッツ。今季の最終戦は5月5日(日)。相手は入替戦出場が決まった10位のリコーブラックラムズ東京だ。

一方で敗戦を喫したイーグルス。4強入りを決めていることの影響を問われた沢木監督は「僕はないと思います。ただ確かに張り詰めた緊張感がなくなってしまうのは当たり前。その中でも良い準備はできました」

「今日はアタックもディフェンスもコントロールを失っている時間が長かった。そこは自分たちにベクトルを向けて修正したい」

「今日で学ぶこともたくさんあった。次の埼玉ワイルドナイツ戦は、セミファイナルで勝つことに繋がるゲームにしたい」と語った。

5月4日の最終第16節の相手は、首位通過が確定している15戦全勝の埼玉ワイルドナイツだ。このままイーグルスが4位通過となればプレーオフ準決勝で再戦することになる。今季も最終節まで目が離せない。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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