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モールからトライを挙げる明治大学
第13回関東大学春季交流大会は、4月28日(日)から昨年の対抗戦・リーグ戦の1~3位で構成される、Aグループの試合が始まった。昨季、節目の創部100周年で大学選手権準優勝だった明治大学(昨季対抗戦2位)は、明治大学の東京・八幡山のグラウンドに「RKU」こと、流通経済大学(昨季リーグ戦2位)を迎えた。
101年目の今季は「奪還」をスローガンに掲げた明治大学。「JAPAN XV」として、サモア遠征に参加していた選手はメンバーに入らなかったこともあり、昨季の大学選手権決勝と比べて、先発12人が変わったフレッシュな布陣となった。
明治大学の木戸主将(中)
FW(フォワード)は1年から出場しているキャプテンNO8(ナンバーエイト)木戸大士郎、FWリーダーのFL(フランカー)福田大晟らが出場。BK(バックス)では、SH(スクラムハーフ)柴田竜成(3年)と、セブンズで気を吐いていた攻撃的な司令塔であるSO仲間航太(3年)がハーフ団でコンビを組んだ。
紫紺デビューを飾ったCTB白井(明治大学)
両翼はWTB(ウィング)金昂平、坂本公平の4年生、そしてFB(フルバック)には、この春卒業したPR(プロップ)為房慶次朗(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)の弟・幸之介(1年/常翔学園出身)が抜擢され、さらに昨季の「花園」こと、全国高校ラグビー大会で桐蔭学園の優勝に大きく貢献したCTB(センター)白井瑛人、SO萩井耀司(ともに1年)もベンチ入りを果たした。
対する昨季リーグ戦2位の流通経済大学は、大学選手権3回戦で、茨城のライバルである筑波大学(昨季対抗戦4位)に、27-33で競り負けてシーズンを終えた。今季も、どこからでも攻める「ダイナミックラグビー」を掲げて戦う。
ゴールを決める副将SO佐々木’流通経済大学)
キャプテンはLOシンクル蓮が就き、副将・BKリーダーはチームの司令塔SO佐々木開(ともに4年)、FWリーダーは昨季リーグ戦の「ベスト15」に輝いたNO8ティシレリ・ロケティ(3年)が就いた。先発はリーダー陣だけでなく、スピードスターのWTB中村楓馬(4年)、昨季は1年ながら活躍したWTBアポロサ・デレナラギ(2年)が名を連ねた。
ラグビー関東大学春季交流大会2024
【ハイライト動画】Aグループ 明治大学 vs. 流通経済大学|明治、春の初戦を大勝
昨季の春季交流大会で明治大学が、58-12で大勝した対戦は、28度と夏を思わせる天候の中で、午後1:00にキックオフされた。先手を取ったのは先週の部内マッチの結果で、この試合のメンバーをセレクションしたというホームの明治大学だった。
トライを挙げる流通経済大学のNO8ロケティ
相手ボールのスクラムで反則を誘うと、前半3分、モールを起点に右にボールを継続し、最後はWTB坂本が先制トライを挙げて5点を先制した。しかし、流通経済大学もすぐに反撃。10分、ラインアウトを起点に攻めこみ、最後はNO8ロケティがトライを挙げて7-5と逆転に成功する。
この試合、セットプレーが安定していた明治大学は18分、ラインアウトからPR田代大介(2年)が抜けだし、最後はSH柴田、CTB(センター)山田歩季(4年)とつないでトライ。流通経済大学も、24分にはNO8ロケティが縦に突き、最後はWTBデレナラギがトライを挙げて、12-12の同点に追いついた。
ケガから1年ぶりの復帰戦となったFB為房(明治大学)
しかし、前半最後の15分ほどは紫紺のジャージーの時間帯となる。28分、自陣からアタックを仕掛けて、SO仲間がオフロードパスをFB為房につないで、そのままトライ。30分にはスクラムを起点に、CTB蓬田雄(3年)がトライを挙げれば、40分にはモールを押し込みHO(フッカー)西野帆平(3年)が押さえてトライ。
さらにロスタイムには、FL利川桐生(3年)がゲインしチャンスメイクし、最後はSH柴田がトライを挙げて、明治大学が40-12とリードして前半を折り返した。後半も明治大学のペースは変わらず、5分にWTB坂本が2本目のトライを挙げれば、14分にモールからFL福田が押さえ、54-12として勝負を決めた。
トライを挙げる明治大学WTB金
その後は互いにトライを取り合う展開となり、流通経済大学はWTBデレナラギのトライや、WTB中村がスピードを活かして2トライを挙げるなど後半4トライを挙げたが、明治大学もWTB金昂平、途中出場のCTB吉田輝雅(ともに4年)らが、さらに5トライを重ねた。
途中から出場の1年SO萩井(明治大学)
ケガから復帰し、1年ぶりの公式戦だったFB為房、冷静なゲームメイクが光ったSO萩井、CTB白井と1年生3人もしっかりピッチに立ち、紫紺デビューを飾った明治大学が13トライを挙げて89-38で快勝し、春季大会で白星スタートを切った。
昨季に続いて敗れたものの、前半は互角に戦えた時間も長く、6トライを挙げた流通経済大学の池英基監督は、「この2ヶ月は土台となるフィジカル、フィットネスをやってきた。組織ディフェンスはほとんどやっていないし、ボールを動かしてアタックしていく可能性は見えた。いいところもたくさん見えたので、昨シーズン以上にいいチームになると思う」と前を向いた。
流通経済大学フィフティーン
キャプテンのLOシンクルも、「ここまで基礎作りをメインにやってきて、フィジカル、フィットネスと自分たちがやってきたことを出そうとして、前半20分まで戦えたが、相手の1つ1つのプレーの質に負けた」と手応えを口にしつつ、課題を挙げた。
快勝した明治大学の神鳥裕之監督は、「システム的なところは4月中旬から始めた。いいところはあったが、全体としてはここからというところ。今季は競争でしっかり勝った選手を起用したい」と話した。
キャプテンNO8木戸は、「自分たちのディシプリンが悪くなったが、前半の途中で修正できたことが良かった。セットプレーはやってきたこと出せたし、課題はあるが攻撃で前に出られてよかった。タックル、ディフェンスの部分は詰めていかないといけない。全部想定内だった。まだ春なので、ここからチャレンジしたい」と先を見据えた。
両チームとも手応えと課題の両方を得た春季交流大会の1試合目となったようだ。敗戦した流通経済大学は5月12日(日)、ホームに早稲田大学(昨季対抗戦3位)を迎える。また、勝利した明治大学は3週間後の5月19日(日)、法政大学(昨季リーグ戦3位)とホームで対戦する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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