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ラグビー コラム 2024年4月26日

次世代のラグビー日本代表を担う若手選手の発掘。「JAPAN TALENT SQUADプログラム」がスタート

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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日本代表のエディー・ジョーンズHC

4月25日(木)、ラグビー日本代表のエディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)肝煎りで、大学生育成を目的とした「JAPAN TALENT SQUAD(JTS)プログラム」が始まった。

1月に日本代表の指揮官に就任したジョーンズHCは、会見などで「ラグビー界の大谷(翔平)を生み出したい」「2023年ワールドカップのメンバーは年齢の高い選手が多かった。だから私たちはチームを再編することが求められている」「有望な若手選手を発掘するということは非常に重要なことで最重要事項」と話していたが、早速行動に移した。

このプログラムは選手が在籍する大学と連携の上、選抜された14名の大学生選手を対象に、日本代表スタッフの大学訪問などを含む、S&C(ストレングス&コンディショニング)や栄養面における年間を通したサポートを行う。

そして、大学の公式戦シーズンを除き、定期的にジョーンズHCらによるスキルセッションと、各専門スタッフのアドバイスを行い、日本代表として世界の舞台で活躍するワールドクラスの選手を育成することを目指している。

◆「JAPAN TALENT SQUADプログラム」参加14選手

☆印:2月のトレーニングスコッド合宿参加
※印:4月の「JAPANXV」に選出されサモア遠征に参加

PR 八田優太(京都産業大学2年/徳島・城東)※
HO 佐藤健次(早稲田大学4年/桐蔭学園)☆※
LO/FL 田島貫太郎(明治大学4年/東福岡)
LO 石橋チューカ(京都産業大学2年/報徳学園)☆※
FL 青木恵斗(帝京大学4年/桐蔭学園)☆※
FL 福田大和(帝京大学1年/中部大春日丘)

SH 土永旭(京都産業大学4年/光泉カトリック)☆※
SH 高木城治(京都産業大学2年/東福岡)☆※
SO 伊藤龍之介(明治大学2年/國學院大栃木)※
SO/CTB 本橋尭也(帝京大学2年/京都成章)※
SO/FB 小村真也(帝京大学4年/ハミルトンボーイズ)
CTB 秋濱悠太(明治大学4年/桐蔭学園)☆※
WTB 海老澤琥珀(明治大学2年/報徳学園)※
FB 矢崎由高(早稲田大学2年/桐蔭学園)☆※

FWは日本代表に入閣するハットリーコーチが指導

1回目のプログラムは東京・八幡山にある明治大学ラグビー部の練習場で行われた。ジョーンズHCだけでなく、U20日本代表の麻田一平コーチ、そして日本代表のコーチに就任する予定のニール・ハットリー コーチによる指導が行われた。イングランド・バースで指揮官の経験もあるハットリーコーチは、ジョーンズHCとイングランド代表、オーストラリア代表を一緒に指導した間柄である。

まず、全体ミーティングでジョーンズHCは、選手たちを前に具体的な選手名を挙げつつ「世界のトップ選手と日本代表はギャップがある。日本で一番ではなく、世界一の選手になるために進化しないといけない。そのために練習しないといけない」という話を伝えたという。その後、グラウンドでの1時間15分ほどの練習、そしてジョーンズHCと1対1の面談で、1日のセッションを締めた。

なお、SO(スタンドオフ)/FB(フルバック)小村真也(帝京大学4年)と、「JAPAN XV」の遠征に参加していたWTB(ウィング)海老澤琥珀(明治大学2年)、CTB(センター)秋濱悠太(明治大学4年)の3人は、コンディション不良で練習には参加しなかった。

熱心に指導するジョーンズHC

改めて、今回のプログラムを始めた主旨を聞かれてジョーンズHCは、「2027、2031年ワールドカップに向けて若いタレントを育成したい。リーグワンを見ていくと、日本人選手は年齢が上にいる傾向が高かった」。

「若い選手はどこから手に入れるかとなったら大学になる。彼らが準備できていないのはわかっている。でも、彼らの準備をスタートさせないといけない。大学生の選手たちを成長させて、テストマッチを戦う準備をすることに集中する。だから、今日は2027年ワールドカップの1日目の準備だった」と語気を強めた。

また、今回のプログラムで印象に残ったことを聞かれてジョーンズHCは、「1人の選手が、自分はどうやったら今年のイングランド代表戦でプレーできるか、という質問をしてくれた。本当に素晴らしい質問だし、そういった態度を求めている」。

「成功するためにハングリーな選手、世界のベストになりたいという選手。日本でいい選手になりたいということに満足しているような選手ではなく、もっとハングリーな選手を求めている」と笑顔を見せた。

5月20日から長野・菅平で、プレーオフや入替戦に回らなかったリーグワンチームの選手中心で行われる日本代表のトレーニングキャンプにも、今回のプログラムに参加した大学生が数名選ばれる可能性があるという。

今回参加した14名中11名が、「JAPAN XV」として3連勝で優勝した「パシフィック・チャレンジ」に参加しており、遠征に同行したジョーンズHCは「4、5人の選手は次の12ヶ月で、日本代表でプレーできるポテンシャルがあることがわかった」とコメントした。

そして、「(JAPAN XVの)大久保直弥HCのコーチングがすごく良かった。自分たちのプレーしたいジャパンのスタイルと、すごく似たスタイルをコーチングしてくれた。速くてアグレッシブで、すごく勇気を持ってプレーしていた。(しかも優勝したので)本当に素晴らしかった」と目を細めた。

次のJTSプログラム合宿は6月に予定されている。今シーズンは14名で行っていく予定で、来シーズンは、また少し増やす予定だという。もし、人数が集まらず、ラグビーの練習ができなくても大学と連携して、メンタルや栄養面、S&Cトレーニングでサポートしていく。

JTSのロゴ入り練習着のLO石橋

LO(ロック)石橋チューカ(京都産業大学2年)は「ジョーンズHCに世界一の選手になるために、どういう自分の将来を描いているかを、クリーンにしないといけないと言われた。自分はまだそこまで考えていないが、今回、選んでいただいて、今まで遠く感じていた日本代表が近くになったので、そういうところで成長していかないといけない」と振り返った。

成長著しいSH高木

SH(スクラムハーフ)高木城治(京都産業大学2年)は、「上手い選手と一緒にできるので、いい刺激になるし、プレーヤーとしても成長できる場なのでありがたかった。こういうキャンプはあったほうがいい。自分の現状を知ることができるし、アドバイスもいただけるので成長できる」と話した。

FL福田は大学1年生で唯一の参加

唯一の大学1年生、FL(フランカー)福田大和(帝京大学1年)は「高校とは(レベルが)全然違った。1年生だからは関係なく、できることをしっかりやろうと思った。姫野(和樹)選手は尊敬する選手なので、日の丸をつけるために練習していくだけ。こういったプログラムはラグビーのスキル、フィジカルの部分でも手厚くサポートをしてくれるのでうれしい」と声を弾ませた。

「JAPAN XV」でも活躍したSO伊藤龍之介(明治大学2年)は「日本のトップレベルを求めてくるので応えないといけない。自分の持っているものを大きくして、世界一を目指してこれからやっていかないといけない」と発言。

U20日本代表で活躍するエースのFB矢崎

同じく大活躍だったFB(フルバック)矢崎由高(早稲田大学2年)は「全体ミーティングでもジョーンズHCに、フル代表へのチャンスがあると何度も言ってもらった。早く日本代表の一戦で戦うことは目標だが、U20日本代表の遠征でベストなパフォーマンスを続けていきたい」と意気込んだ。

ジョーンズHCは「日本代表への窓は開いている。私たちは彼らにいくつかのアイデアを与えた。彼らがハードワークするか、いかに彼らがワールドクラスの選手になりたいかというところで、あとは彼ら次第」という言葉で締めた。

今回のプログラムから2027年、2031年のワールドカップの舞台に立つ選手が現れる可能性は十分にあるだろう。

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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