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【ハイライト動画あり】北の大地でクボタスピアーズ船橋・東京ベイが躍動!コベルコ神戸スティーラーズは無念のPO進出ならず。NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24第14節
ラグビーレポート by 多羅 正崇クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. コベルコ神戸スティーラーズ
試合前日の土曜日、4位横浜キヤノンイーグルスが勝利して、勝点を「48」に伸ばしていた。
この結果、勝点「29」の8位クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、残り3試合で逆転不可能に。今季プレーオフ進出&リーグ連覇の夢がついえた。
しかしチームは、相対的価値ではなく、チーム主体の絶対的価値にフォーカスしていたようだ。
「(今日の試合は)今週の始めに立てた『昨日より今日、今日より明日』というキーワードを出せて、とても良かったです」(スピアーズ、SH藤原忍)
4月21日(日)。リーグ公式戦初の北海道開催(札幌ドーム)となったディビジョン1(D1)第14節のコベルコ神戸スティーラーズ戦。
5位につけるビジターのスティーラーズは、プレーオフ進出可能性を残す勝点「36」。この日はペナルティゴールで着実に加点する慎重策を採ってきた。
まず開始2分。この日15番で初先発のスティーラーズ李承信が、自陣からハーフ付近までもどすロングキック。まずはキックで魅せた。
一方のスピアーズは、序盤から吹っ切れたような連続攻撃が強力だった。
細かいパスを駆使しながら、ボールをワイドに運ぶ波状攻撃は効果てきめん。ここから相手反則から敵陣左に入ると、今度は大型FW陣がモール攻撃。高い攻撃力で先制トライを奪った。
「スピアーズは効率的にモールなど、私たちの弱い部分を突いてきました。コンタクトのエリアで私たちが負けた部分もありました」(スティーラーズ、デイブ・レニーHC)
と、トライの直後、SOバーナード・フォーリーのコンバージョンを、この日公式戦通算100キャップのWTB山下楽平がチャージ。
さらに直後、鋭くライン参加したFB李承信のラストパスを右隅で押さえ、メモリアルマッチでチーム初トライ。ゴール成功で逆転(7-5)に成功した。
2点を追いかけるスピアーズは前半15分に緊急事態。
ロングキャリーの直後に元NZ代表HOデイン・コールズが脚を負傷。元帝京大学主将の江良颯がスクランブル出場となった。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1
【第14節ハイライト動画】クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. コベルコ神戸スティーラーズ
と、ここでスピアーズは徹底したFW勝負。
2度のラインアウトモールで力強く押し込む。しかしスティーラーズもモールを押し返してトライを防ぐ。しかし2度目のモール攻撃を起点にPRオペティ・ヘルがピックで突進。逆転トライを決めた。
その後も打ち合いは続いた。
スティーラーズは先発CTBマイケル・リトルのジャッカルから敵陣侵入。連続攻撃は防がれたが、PGを決めて2点差(10-12)にじわり詰める。
攻撃の組み立てが冴えるスピアーズ。
ラインアウトから3次攻撃目で、SH藤原忍が逆目でループ。ラック真後ろから移動攻撃に転じたSOフォーリーのパスでWTB根塚洸雅がラインブレイク。結果リードを9点(19-10)に広げた。
スピアーズに課題がなかったわけでではない。
その後自陣でのコリジョンでの反則が続き、前半35、39分に2連続PGを許す。6失点してリードは3点(19-16)となり、試合を折り返した。
しかし痛恨は後半3分のスクラム。
敵陣ゴール前のチャンスだったが、スクラムのペナルティ。得点機を失った。さらに3分後のスクラムでもPK(コラプシング)。
スピアーズはスクラムの優勢からエリアを押し込み、PG成功でリードを6点(22-16)に広げた。
しかし今季復調したスティーラーズの実力は確かだ。
3点を返した後半17分。途中出場のサベアがジャッカル成功。敵陣侵入でSOブリン・ガットランドが同点PG。試合時間残り20分でスコアは振り出し(20-20)に戻った。
決定的なトライは後半29分だ。
スピアーズ、相手反則(ノット・ロールアウェイ)のFW戦から205cmルアン・ボタが、巨体をねじ込んで4本目。
さらに後半32分には途中出場の為房慶次朗が、相手サベアからボールを引き抜くビッグプレー。このターンオーバーから元スティーラーズのJDシカリングの突破が生まれ、フィニッシュはSH藤原。
決定的な連続トライで突き放したスピアーズ。北の大地で会心のファイトをみせ、合計5トライで39-29で競り勝った。
プレーオフ進出には勝利が条件だったスティーラーズは5位以下が確定。プレーオフ進出を逃す無念の6敗目を喫した。
これでプレーオフに進出する2023-2024シーズンの4強は、「埼玉パナソニックワイルドナイツ」「東芝ブレイブルーパス東京」「東京サントリーサンゴリアス」「横浜キヤノンイーグルス」に決定。
スティーラーズのレニーHCは、プレーオフを逃した主因についてこう語った。
「トライライン前のディフェンスの粘りが足りていません。それがプレーオフトーナメントに進出できないことに繋がりました」
「とても残念な気持ちですが、今シーズンの学びからコーチ、スタッフ、選手たちは成長できると思います。そこに向かって取り組んでいきます」と未来を見据えた。
一方、連覇の夢はついえたが6勝目を挙げたスピアーズ。
盤石土台であるセットピースの優勢も手助けし、ラインアウト成功率は速報値で86.7%(スティーラーズは80%)。スクラムは75%(スティーラーズは66.7%)だった。
スピアーズのフラン・ルディケHCは終盤のゲームコントロールも讃えた。
「今日はすごい接戦で、ラスト10分間は試合をしっかりとコントロールし、セットピースからのプレーの正確性も上がりました。最後にスコアを取って勝ち切ることができました」
接戦を落としたことが痛かったスピアーズ。今季も主将として10番、12番で躍動した立川理道は「ここ最近は最後に勝ち切れない試合が多かったが、今回そこの部分で成長できたと思っています」と手応えを語った。
連覇は成らなかったが、アーリーエントリーのHO江良やPR為房が即戦力として輝くなど、明るい材料も多いスピアーズ。
次戦(4月27日土曜日)の第15節三重ホンダヒート戦は、舞台が今季初の「スピアーズえどりくフィールド」。残り2試合、ファンの前で力強いフィニッシュを決められるか。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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