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サンゴリアスのSO高本とHO堀越主将(奥)
「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」、ディビジョン1のリーグ戦は残すところ3試合。首位の埼玉パナソニックワイルドナイツと、2位の東芝ブレイブルーパス東京がプレーオフ進出を決め、プレーオフ進出の残り枠はあと2つとなった。
4月19日(金)~21日(日)に第14節が行われ、19日(金)は東京・秩父宮ラグビー場でナイトゲームが開催された。プレーオフ進出まで、残り1勝となった3位の東京サントリーサンゴリアスが、わずかに可能性が残る7位の静岡ブルーレヴズを迎えた。
ホストのサンゴリアスは前節も金曜日のナイトゲームで、三重ホンダヒートと対戦し、60-10で快勝。10勝3敗の勝ち点48で3位につけている。プレーオフ進出まで、あと勝ち点3となり、この試合に勝利すればプレーオフ進出が決まる。田中澄憲監督は、前節からFW(フォワード)1名のみを変更。FL(フランカー)箸本龍雅をリザーブに下げ、下川甲嗣を6番に入れた。
一方、ブルーレヴズは、先週クボタスピアーズ船橋・東京ベイと対戦し、前半リードされたが、最終的に31-31と引き分けた。6勝1分6敗の勝ち点31の7位で、厳しい状況ではあるがプレーオフ進出への望みをわずかに残していた。藤井雄一郎監督は、スピアーズ戦から先発をFW3名、BK2名を替え、FLヴェティ・トゥポウ(摂南大学出身)が初先発となった。
東京サントリーサンゴリアスvs.静岡ブルーレヴズ
試合は8007人の観客が見守る中、午後7:00に東京・秩父宮ラグビー場でキックオフされた。第5節にブルーレヴズのホストゲームで、25-29と接戦だった両者の対戦は、今回も熱戦となった。
試合序盤は「サントリースピード」をテーマに掲げて、サンゴリアスが攻め込むものの、好機をなかなか得点に結び付けることができなかった。前半10分のチャンスもTMOの末、ノートライとなった。
すると13分、ブルーレヴズが相手の反則からゴール前ラインアウトのチャンスを得て、モールを押し込んだ後、ボールを動かしてNO8(ナンバーエイト)マルジーン・イラウアが中央にトライを挙げて7点を先制する。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24
【ハイライト動画】第14節 東京サンゴリアス vs. 静岡ブルーレヴズ|白熱の戦いはドロー
サンゴリアスは20分過、SO(スタンドオフ)高本幹也の「50-22」キックからチャンスを得ると、25分、SH(スクラムハーフ)流大のクイックタップから攻め込み、最後はNO8タマティ・イオアネが中央左にトライを挙げて7-7の同点に追いつくが、27分、そのイオアネが危険なタックルにより、シンビン(10分間の一時退場)となる。
しかし、数的不利だったサンゴリアスは、35分、ゴール前のモールからHO(フッカー)堀越康介がトライを挙げ、14-7とリードして前半を折り返した。さらに後半開始早々の1分、サンゴリアスは相手のノックオンからチャンスを得て、CTB(センター)イザヤ・プニヴァイがトライを挙げて21-7とリードを広げる。
ブルーレヴズSO奥村。プレースキックをすべて決めた
それでもこの試合、何としても勝ち点5を得て、プレーオフ進出の可能性を残したいブルーレヴズも、メンバー交替をしつつ反撃する。9分、17分と武器であるモールを起点に攻め込み、FLトゥポウ、途中出場のLO(ロック)大戸裕矢がインゴールを陥れて、21-21の同点に追いつく。そして24分、SO奥村翔のPG(ペナルティゴール)でついに24-21と逆転に成功する。
だが、ホストのサンゴリアスも負けていない。アドバンテージの中、SO高本が裏へのチップキックでチャンスメイクをすると、最後はWTB(ウィング)尾崎晟也がトライを挙げて、28-24と再びリードする。
PRショーン ・ヴェーテー(ブルーレヴズ)の逆転トライ
ブルーレヴズも、フィジカルランナーにボールを集めて攻め込み、33分、途中出場のSHブリン・ホールのクイックリスタートから、最後はPR(プロップ)ショーン・ヴェーテー(IPU環太平洋大学出身)がねじ込んでトライ。ゴールも決まって、31-28と再び逆転に成功した。
そして36分、サンゴリアスが相手の反則からPGを選択し、右中間からSO高本が落ち着いて決めて、同点に追いつくと、試合はそのまま、31-31の引き分けでノーサイドを迎えた。
POMに輝いたサンゴリアスのNO8イオアネ
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)にはトライを挙げたサンゴリアスのNO8イオアネが選出された。「相手のフィジカルに対応できるように準備してきたが、勝てなかったのは残念。今日の試合から学んで次節に臨みたい」。
2試合連続引き分けで勝ち点を33までしか伸ばせず、トップ4入りの可能性が消えたブルーレヴズの藤井監督は、「今日は本当に勝ちたかったが、選手はしっかり力を出した。あと2試合あるので、引き続きしっかり成長してシーズンを締めくくりたい」と悔しそうな表情で話した。
ゲームキャプテンのFL庄司拓馬は「自分たちは80分間やり切ったが、反省すべき点もある。もちろん勝てるチャンスはあったが、同点で終わった悔しさはある。まだ残り2試合あるので、目の前の試合に向けてがんばっていきたい」と前を向いた。
インパクトプレーヤーとして際立っていたブルーレヴズPRショーン ・ヴェーテー
勝ってプレーオフ進出を決めることができなかったサンゴリアスの田中監督は「ブルーレヴズは、後半から非常に元気のある、インパクトある選手が出てきて、どんどん前に来ることはわかっていが、最後まで主導権を握り続けることができなかった。次節の東芝ブレイブルーパス東京戦に向けて、しっかりと切り替えて準備していきたい」と話した。
HO堀越キャプテンは「アタックは我慢できず、簡単なミスで終わってしまう場面が多く、そういうとこで相手に流れが行ってしまったところもあった。『サントリースピード』をテーマにやったが、テンポやスピード、モメンタムを止めてしまうペナルティをしてしまい、プランの遂行ができなかった。次節、大事なゲームがあるので、プライドをぶつけて勝ちに行きたい」と語気を強めた。
なお、21日(日)に札幌ドームで行われるクボタスピアーズ船橋・東京ベイvs.コベルコ神戸スティーラーズで、勝ち点36のスティーラーズが勝ち点4以下(ボーナスポイントなしの勝利、引き分け、負け)だと、サンゴリアスのプレーオフ進出が決まる。
ブルーレヴズは次節もビジターゲームとなり、4月27日(土)に大阪府・東大阪市花園ラグビー場で、コベルコ神戸スティーラーズと戦う。サンゴリアスは再び東京都・秩父宮ラグビー場で、27日(土)にすでにプレーオフ進出を決めている東芝ブレイブルーパス東京と、練習場を同じ府中市に構える「府中ダービー」で激突する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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