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三重ホンダヒート vs. 東芝ブレイブルーパス東京
レギュラーシーズンは、今週末の試合を含めて3試合。それぞれのチームが開幕前とは違う絵を見て戦っている。
勝利を追求する姿勢はシーズンを通して貫かれるものではあるが、次のステージをにらみ、勝敗の重みが増すこともある。
4月21日(日)に三重交通G スポーツの杜 鈴鹿で行われる三重ホンダヒート×東芝ブレイブルーパス東京(リーグワン/ディビジョン1)は、それぞれ見つめる先が違う戦いだ。
ホストチームは前節まで11位。ブレイブルーパスは2位で、すでにトップ4が競い合うプレーオフトーナメントへの進出を決めている。
今季は1勝のみ。まだホストスタジアムでファンに勝利を届けることができていないヒートは、好調なブレイブルーパス相手の勝利を手にして日曜の午後を素敵な時間にしたい。
すでに10位以下が決まり、ディビジョン2の上位チームとの入替戦出場が決まっている。
その状況の中で戦いに臨む古田凌主将(FL)は、「入替戦でどこと戦うとか、そういうことは考えていない」と話す。「目の前の試合を全力で戦い、勝利をつかみにいくことが、先の試合につながる」と集中する。
古田主将は第7節のトヨタヴェルブリッツ戦で左足首を痛め、4試合をピッチの外から見た。その時間を、「チームを冷静に、客観的に見つめられた」と振り返る。
勝利という結果こそまだ1勝のみも(第10節/花園近鉄ライナーズ戦に20-19)、仲間たちはチームの大切にしているものを遂行していた。成長しているところも感じられたという。
昨季はディビジョン2からのジャンプアップを実現できたことでも分かるように、チームとして地力を高めた時間だった。
しかし、ダイナミックなラグビーを今季は、特に序盤戦はなかなか発揮できなかった。
しかし、試合ごとにヒートの時間を出せるようになり、その時間を延ばせている手応えもある。
前節から戦列に復帰した古田主将は、先頭に立って自分たちのスタイルを出せるようなプレーをしていきたいと話す。
ブレイブルーパスには今季第5節に12-40と敗れているが、あの頃とは違う自分たちがいる。
前節に10-60と完敗した東京サントリーサンゴリアス戦の内容を受けて、「前半の20分、フィジカルで受けてしまったところが反省です。そこを直し、アタックでは、自信を持ってプランを実行することが大事。その準備をしてきました」と話す。
今節のメンバーには、NO8に今シーズン初めての出場となるパブロ・マテーラが入った。
アルゼンチン代表の元主将は、ワールドクラスの激しさを発揮してくれるとともに、「自分と違った視点で強いリーダーシップを出してくれる人。エナジーを与えてくれる」と頼りになる。
チーム全員で、持てる力を出し切ると決意する。
対するブレイブルーパスは、すでに4強を決めている。とはいえ、気楽に戦える試合など存在するはずがない。
せっかく浸透してきたウイニングカルチャーを貫きたいところだ。
前節のコベルコ神戸スティーラーズ戦では、19点を先行しながら40-40と引き分けた。
その試合をトッド・ブラックアダ― ヘッドコーチは「素晴らしい自分たちの時間があったものの、大事な時間帯に落ち着いてプレーできなかった」と反省した。
ヒート戦では、その課題を修正するとともに、4強確定に気持ちを緩めることなく、内容の濃い80分を過ごすことにフォーカスするだろう。
チームのモメンタムをさらに大きくしたい。
この試合のラインアップを見れば、その意図が読み取れる。
今季プレータイムの短い選手たちがチャンスを与えられた。悶々とした時間の中で闘志を燃やしてきた者たちにとっては、溜め込んだエナジーを発散させる機会。
これまで陰で仲間たちを支えてきた選手たちの躍動はチームの結束をさらに強くし、選手層をさらに厚くしてくれる。
第7節の横浜キヤノンイーグルス戦でふくらはぎを痛めて以来戦列を離れていたリーチ マイケル主将がベンチに入った。影響力のある男の復帰がチームに与えるパワーの大きさは想像に難くない。
この先のハイレベルな争いを戦い抜くためにも、チーム力をワンランク上げる必要性がある。その役割を果たすだろう。
天に召された父を送り出すためニュージーランドに帰国中のリッチー・モウンガ代わりに(前節も欠場)、今節は中尾隼太が10番を背負う。
ケガが重なってなかなかコンディションが整わず、今季初出場となる。持ち前の視野の広さでゲームを大胆に動かしたい。
ゲームキャプテンを任されるHOの橋本大吾はムードメーカーだ。久々の先発で試合開始からチームを積極的に引っ張るだろう。
PR山川力優、SH田中元珠は出番が巡ってくれば、揃って今季初出場となる。
普段、バックヤードで試合メンバーを支えている選手たちの姿は、チームの本当の姿を映し出す。
その観点から試合を見つめるのもおもしろい。
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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