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コベルコ神戸スティーラーズvs.東京サントリーサンゴリアス
リーグ戦の佳境を迎えつつある「NTTジャパンラグビー リーグワン」のディビジョン1。先週の「Bye Week」(休みの週)を挟んで、どのチームも、4月6日(土)7日(日)の第12節からは同じカンファレンスと戦う5連戦となっている。
7日(日)は4位のコベルコ神戸スティーラーズが、ホストスタジアムである兵庫県・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場に、3位の東京サントリーサンゴリアスを迎えた。
前節、スティーラーズは花園近鉄ライナーズに60-17と大勝し、7勝4敗で勝ち点34として、プレーオフ出場圏内の4位につけていた。勝ち点5を挙げて勝利すれば勝ち点でサンゴリアスに並ぶ可能性が高い大一番だった。
対するサンゴリアスは、前節は前半35-10とリードしながら横浜キヤノンイーグルスに、35-37と逆転負けし、今季3敗目を喫したが、8勝3敗で勝ち点39の3位につけていた。
何としてもホストで勝利したいスティーラーズのデイブ・レニーHC(ヘッドコーチ)は、前節からFW(フォワード)、BK(バックス)それぞれ3名ずつ先発を入れ替え、サンゴリアスの田中澄憲監督はFW1名、BK1名の先発を入れ替えた。
1万1792人の観客を集め、試合は午後2:30にスティーラーズボールでキックオフされた。序盤はホストのスティーラーズがボールを継続するが、サンゴリアスのディフェンスの前に得点することができなかった。
すると前半5分、サンゴリアスのCTB(センター)イザヤ・プニヴァイが危険なタックルでシンビン(10分間の途中退室)となり、その反則で得たPG(ペナルティゴール)をスティーラーズのSO(スタンドオフ)ブリン・ガットランドが、決めて3点を先制する。
しかし10分、今度はスティーラーズのNO8(ナンバーエイト)ティエナン・コストリーが同じように危険なタックルで、イエローカードをもらってしまう。
14対14人になった11分、サンゴリアスはラインアウトを起点に攻め込み、最後はSH(スクラムハーフ)流大が右大外にキックパス、そのボールをWTB尾崎晟也がキャッチ、そのままトライを挙げて5-3と逆転に成功する。
だが、すぐにスティーラーズも反撃し、16分に再びガットランドがPGを決めて、6-5と逆転する。その後、膠着した状態が続いたが、今度は36分にスティーラーズのキャプテンLO(ロック)ブロディ・レタリックが危険なタックルでシンビンとなる。
数的優位となったサンゴリアスは、前半ロスタイムにSO高本幹也が、中央からPGを沈め、8-6と2点リードで前半を終えた。
セカンドハーフ、先手を取ったのは前節で後半の戦いが課題だったサンゴリアスだった。後半6分、相手のゴールラインドロップアウトからボールを継続し、途中出場したCTB(センター)中村亮土がキックパスをWTB尾崎に通す。
最後はNO8ツイ ヘンドリックにオフロードパスをつないでトライ。ゴールも成功。さらに10分、再びモールを起点に右に攻めた後、左サイドにふり戻し、NO8ツイ、LOハリー・ホッキングスとつないでトライ。17分にはSO高本がPGを決めて23-6とリードを広げた。
20分、ようやくスティーラーズの反撃、FB(フルバック)山中亮平のキックカウンターからラインブレイクでチャンスを迎える。FB山中のグラバーキックを、FL(フランカー)サウマキ アマナキがキャッチして抜け出し、トライを挙げて10点差に追い上げる。
しかし、この日は集中力が高かったサンゴリアスは、24分、相手ゴール前のモールを起点に、ラックから右に振り戻して、SH流がロングパスをエッジで張っていたHO(フッカー)堀越康介に通してトライを挙げて、28-13とした。
スティーラーズもすぐに反撃し、26分、キックカウンターから途中出場のCTBマイケル・リトルが左サイドを50m走り抜け、そのままインゴールまで運ぶトライで、8点差に追い上げた。 しかし31分、SOガットランドがタッチキックをミスしてしまい、流れを断ち切ってしまう。
34分、サンゴリアスは相手のキックミスから得たスクラムを起点に、13回攻撃を継続し、最後は左サイドで、途中出場のSH齋藤直人からテンポ良くパスを受けたWTB尾崎がトライを挙げた。38分にはSO高本がPGを決め、36-20として勝負を決めた。
それでも後半ロスタイム、ホストのスティーラーズが意地を見せる。自陣相手ボールラインアウトをターンオーバーし、右に展開し敵陣へ。最後はWTBラファエレ ティモシーが左中間にトライを挙げて、27-36としたが、試合はそのままノーサイドを迎えた。
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には、勝利したサンゴリアスのキャプテンHO堀越が選出された。
サンゴリアスの田中澄憲監督は「SH流の公式戦100キャップの記念のゲームで勝ててよかった。細かいゲームプランもあるが、今日は本当に選手が流を勝たせようという思いが、1つ1つのプレーに出た。我々は引き続き負けられない試合ばかりなので、プレーオフを目指してベストを尽くす」と語った。
キャプテンHO堀越は「今日の試合は、どちらもプレーオフに向けて本当に負けてはいけない一戦だったが、どちらが本当に勝ちたいという気持ちを持ち合わせるかを掲げて、1週間準備してきた」。
「細かいところのスキルと激しさを出せたことが今日の結果になった。ラスト1プレーで相手にトライを取られ、ボーナスポイントを得られなかったのは、小さいことだが、今後それがすごい大きくなってくるので、しっかり見直したい」と、勝っても反省点を挙げることを忘れなかった。
悔しい敗戦となったスティーラーズのデイブ・レニーHCは「非常に残念な結果。前半からエナジーが足りない、精度が足りていない、プレッシャーを与えられていなかった」。
「後半はスクラムの状況にもしっかり対応できてきたが、他の部分はできなかった。ソフトなトライを許した。大一番の試合で、自分たちが本来できるパフォーマンスができなかった」と肩を落とした。
共同キャプテンのWTB山下楽平は、「自分たちの規律の部分で、人数が少なくなった中で削られ、後半に差が出てしまったところがあった」と悔しい表情を見せた。
勝ち点4を重ねて43とし、プレーオフ進出に一歩前進した3位のサンゴリアスは、次節は4月13日(土)、ホストの東京・秩父宮ラグビー場に11位の三重ホンダヒートを迎える。
一方、34のまま勝ち点を伸ばせず、5位に後退してしまったスティーラーズは、今後は負けられない試合が続く。14日(日)には、やはり秩父宮ラグビー場で、11勝1敗で2位と今季好調の東芝ブレイブルーパス東京に挑む。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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