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静岡ブルーレヴズ vs. クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
昨年のクリスマスイブ、レヴニスタは愛するチームから大きなプレゼントをもらった。
2023年12月24日、静岡ブルーレヴズは前シーズン王者のクボタスピアーズ船橋・東京ベイとの一戦に23-19と勝利した。
ヨドコウ桜スタジアム(大阪)でおこなわれたスピアーズのホストゲームは、ラストプレーで勝負が決まる熱戦だった。
3点ビハインドで後半43分を迎えたブルーレヴズは、SO家村健太が狭いスペースを突破してインゴールへ。ゴールキックも決めてヒーローとなった。
その日から3か月強。4月13日(土)に静岡・IAIスタジアム日本平での再戦(リーグワン ディビジョン1/第13節)は、第12節を終えて6位のブルーレヴズのホストゲームだ。
対するスピアーズは8位と苦しんでいる。
互いに、プレーオフ進出(4強以上)は諦めていない。絶対に負けられない。
両チームの状態は対照的だ。
3連勝中のブルーレヴズは、前節の三重ホンダヒート戦に43-14と完勝した。
その前の試合で、ビッグネームが揃うトヨタヴェルブリッツを倒して得た勢いを持続させている。
藤井雄一郎監督の指導の特徴は、鍛え込み、勝利への道筋を絞り込むことだ。選手の遂行力が高まっている。
指揮官は、時間をかけて鍛えてきたことが、シーズン終盤になって効いていると話す。
「時間帯ごとの戦い方など、選手たちがチームスタイルの理解度が深まっています」
きつい練習が生み出したものは、ピッチ上だけの影響に終わらない。ケガ人が出てもチームの空気が沈まないのは、選手同士の絆が深まっているからだ。
例えばクワッガ・スミス主将(FL/NO8)は、1月13日の東京サントリーサンゴリアス戦で股関節を痛めて以来戦列を離れているがチームに動揺はない。
「もちろん、彼の力は大きいのですが、新たなリーダーたちも出てきています。普段の時間が充実している。いいチームになっています」
藤井監督は、グラウンドでベテランが若手に、試合に出ない選手が出る選手にアドバイスしたり、応援する光景を見るケースが増えたと喜ぶ。
一方のスピアーズは、直近の5試合で4敗と苦しんでいる。
前節の東芝ブレイブルーパス東京戦も、後半40分にトライを奪われて追いつかれ、勝ち越しのゴールキックを決められて惜敗。悔しい思いを積み重ねている。
ただ、そのブレイブルーパス戦の内容は悪くなかった。
SOにバーナード・フォーリー、FBにゲラード・ファンデンヒーファーが復帰して攻撃的な姿勢がより鮮明に。キックも有効に使うことができた。
残った結果が黒星だっただけと感じた。好ゲームだった。
ブルーレヴズとの4か月前の対戦時は、スクラムのペナルティが多く、セットプレーで圧力を受けたことが敗因のひとつとなった。
その前節にタイトヘッドPRの2人がケガしたことが大きかったとはいえ、今回の再戦ではリベンジしたいと全員が燃えている。
スピアーズにとって今季のブルーレヴズは因縁の相手だ。
前述のように昨年12月の対戦時は主力PRの出場が叶わなかったほか、SOフォーリーも負傷して、その日を境に長く戦列を離れた。
2月14日、クロスボーダーラグビー2024による休止期間にも両チームはトレーニングマッチを戦っている。17-17の引き分けだった。
そんな相手との対戦は、一戦一戦目の前の試合に勝ち切る以外に浮上の道はないスピアーズにとって、再び上を向くきっかけをつかむ相手としては最適だ。
プレーオフを意識するのではなく、一人ひとりが自己の力を出し切り、個人の力を先に進めることをモチベーションに戦う。
PRショーン・ヴェーテー、NO8シオネ・ブナ、CTBジョニー・ファアウリと、パワフルな選手たちがベンチに控える。
勝負どころのタイミングで投入し、その爆発力をチームの推進力にする。
スピアーズは、WTBに根塚洸雅が復帰した。FBには安定感のある島田悠平。相手のキックを受けて、有効的、そして攻撃的に動くだろう。
SH藤原忍、SOフォーリーの2人は、相手が危険と警戒していても突破できる。2人が前に出るなら、重量級の仲間たちもなだれ込む。
タイトヘッドPRには、オペティ・ヘルと北川賢吾の強力スクラメイジャーが揃った。ブルーレヴズの一番の武器を封じるつもりだ。
お互いの手の内が分かったもの同士の激突は、順位争いを忘れさせる熱さがほとばしるものとなるだろう。
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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