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大阪桐蔭SO上田
全国9ブロックの代表32チームが集い、5年ぶりに開会式も行われた第25回全国高校選抜ラグビー大会。
3月22日(金)の1回戦から東福岡(福岡)が、目黒学院(東京)に破れる波乱があったが、30日(土)、優勝候補筆頭だった近畿大会王者の大阪桐蔭(大阪)が、石見智翠館(島根)を下して2度目の優勝で幕を閉じた。
そこで今回のコラムでは、個人的に印象に残った選手を挙げていきたい。まずはBK(バックス)の9番のSH(スクラムハーフ)と、10番のSO(スタンドオフ)から。
大阪桐蔭のSH川端
9番、10番で最も目立った選手は、優勝した大阪桐蔭のSH川端隆馬(2年)とSO上田倭楓(2年)だ。昨年もハーフ団として活躍し、「花園」こと、全国高校ラグビー大会でベスト4に入った。悔しい経験を糧に川端は素早いパス、そして隙を突くラン。上田はパスとキックによる安定したゲームコントロールで、優勝に大きく寄与した。
國學院栃木SO神尾
その他、印象に残ったのは、SHではベスト4に入った國學院栃木(栃木)の下井田雄斗と、桐蔭学園(桐蔭学園)の後藤快斗(ともに2年)。SOでは冷静なコントロールが光った國學院栃木の神尾樹凛、大型SOとして東海大相模を選抜初のベスト8に導いた長濱堅(ともに2年)らがいた。
大阪桐蔭の名取主将
続いてCTB(センター)陣。12番としてタックル、オフロードパスなど突出した働きを見せたのが、優勝した大阪桐蔭のキャプテン名取凛之輔(2年)。また、WTB(ウィング)からCTBに転向し、縦に強さを見せていた國學院栃木の福田恒秀道(1年)がいた。
元日に震災に見舞われて練習時間が少ない中で、選抜に出場した日本航空石川(石川)の上野魁心 主将、城東(徳島)の小野晏瑚 主将(ともに2年)の2人も、キャプテンシーとスキルでチームを牽引していた。
大阪桐蔭のCTB竹之下
13番としては御所実業の中盤の要に若山遙斗(2年)がおり、選抜初のベスト8に輝いた目黒学院(東京)の石掛諒眞 主将(2年)は、タックルでチームを鼓舞し、大阪桐蔭の竹之下誠仁(3年)は、決勝で途中出場ながら2トライを奪う活躍を見せた。
第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会
【ハイライト動画】決勝 石見智翠館 vs. 大阪桐蔭|大阪桐蔭が猛攻で勝利
BKの最後はWTB、FB(フルバック)のバックスリーだ。WTBは決勝でハットトリックを達成するなど、決定力を見せた大阪桐蔭の水島功太郎(2年)、準優勝の石見智翠館(島根)で何度もラインブレイクをした久住誓蓮(2年)が挙げられる。
トライを挙げる國栃のWTB蟹江
他にもベスト4の國學院栃木には、井戸川ラトレルと蟹江海晴(ともに2年)がおり、初出場だった四日市工業の上村純大 主将(2年)は、プレーと声でチームを引っ張った。
FBは際立った活躍を見せる選手が多かった。ロングキックで準優勝に貢献した石見智翠館の新井竜之介、準決勝でトライを挙げた大阪桐蔭の菅原幹太、ダイナミックなランが武器の桐蔭学園の古賀龍人(いずれも2年)、中部大春日丘(愛知)の加藤納悟(1年)、佐賀工業の内田真之甫、初出場の成城学園には監督の息子である仲西祐太(2年)らがいた。
大阪桐蔭のPR川相
続いてFWだ。まずはPR(プロップ)から見ていこう。優勝した大阪桐蔭の左PR原悠翔(2年)はボール奪取で強みを見せ、右PR川相喜由(2年)はランも魅力だ。中部大春日丘を引っ張るキャプテンの左PR川島大虎(2年)、茗渓学園の大型の左PR和田翔太(2年)、桐蔭学園のスキルフルな右PR喜瑛人(1年)らが挙げられる。
HO(フッカー)は國學院栃木の齋藤丈太郎、桐蔭学園の堂薗尚悟、東海大相模の矢澤翼主将、目黒学院の岩崎ヴィージェー純(いずれも2年)らがいた。
身長2mを超える興国の馮佳成
続いて、LO(ロック)だ。石見智翠館の山根風雅、國學院栃木の笹本直希 主将、御所実業の服部凰真、目黒学院のフィシャー慶音(いずれも2年)、長崎北陽台の田崎凛太郎(2年)らが目立った。他にも東海大相模の笹部隆毅、中部大春日丘の三治蒼生、初出場の興国(大阪)で身長2mを超えるの馮佳成ら1年生も将来有望だろう。
トライを挙げて喜ぶ桐蔭学園のFL申
最後はFL(フランカー)、NO8(ナンバーエイト)のバックロー。FLは昨年に続いて接点での強さを見せつけ、準々決勝でハットトリックを達成したのが桐蔭学園の申驥世 主将(2年)だ。他にも石見智翠館の神保友海、CTBから転向した目黒学院のラトゥ・ガウェインガフォラウ(ともに2年)らがいた。
目黒学院のNO8ロケティ
最後はNO8を見ていきたい。FWの中心であり、スクラムからボールキャリーできることから、各チームの中心選手が多い。石見智翠館の祝原久温 主将、目黒学院のロケティ・ブルースネオル(ともに2年)は強靱な肉体と突破力で大会を大いに盛り上げた。祝原は選抜大会後、HOに専念するという。
中部大春日丘のNO8坂口
他にも決勝で出色の出来を見せた大阪桐蔭の大門一心、桐蔭学園の新里堅志、御所実業の本多守人、東海大相模の藤久保陸(いずれも2年)、中部大春日丘の坂口湊眞(1年)、東海大大阪仰星の駒井良、常翔学園の井本章介 主将、大分東明のガロヴィ・イオセフォ、長崎北陽台の下田秩 主将、東福岡の古田学央 主将(いずれも2年)らがいた。
優勝した大阪桐蔭
「白い旋風」こと、大阪桐蔭が実力を発揮した選抜大会となったが、花園まで残り9ヶ月もあり、チームはもちろんのこと、各選手も成長する可能性は十二分にある。選抜大会の経験を糧にして、冬、各選手が東大阪市花園ラグビー場で大きく成長した姿を見たい。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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