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ラグビー コラム 2024年3月29日

初優勝を狙う石見智翠館と「桐蔭対決」を制した大阪桐蔭が決勝進出。全国高校選抜ラグビー大会 準決勝

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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決勝進出を喜ぶ石見智翠館フィフティーン

2試合ともセミファイナルにふさわしい熱戦だった。3月22日(金)から始まった第25回全国高校選抜ラグビー大会、28日(木)は埼玉・熊谷ラグビー場で準決勝2試合が行われた。

11:00にキックオフされた第1試合はともに初優勝を狙う、中国王者の石見智翠館(島根)と関東王者の國學院栃木(栃木)の激突となったが、先手を取ったのは國學院栃木だった。

先制トライを挙げた國栃のSO神尾

前半8分、FW(フォワード)とBK(バックス)が一体となってボールを継続し、SO(スタンドオフ)神尾樹凛(2年)が、右端にトライを挙げて、5点を先制する。

岩見智翠館も15分に反撃し、キックカウンターからWTB(ウィング)久住誓蓮(2年)が大きくゲインしてゴール前に攻め込むと、最後はキャプテンNO8(ナンバーエイト)祝原久温(2年)が中央にねじ込みトライ。FB(フルバック)新井竜之介(2年)がゴールを決めて7-5と逆転に成功する。

24分、國學院栃木がボールを継続、CTB(センター)福田恒秀道(1年)が縦に突いてオフロードパスを通して、最後はFL(フランカー)加藤成悟(2年)が左中間にトライ。石見智翠館も負けじと26分、ゴール前ラインアウトからボールを大きく動かしてWTB(ウィング)久富洋希(2年)が左端に飛び込んでトライを挙げて前半は12-12で折り返した。

後半、先に得点を挙げたのは石見智翠館だった。2分、FB新井のキックパスをFL神保友海(2年)がキャッチし、右中間にトライを挙げて17-12とリードした。

その後は攻める國學院栃木、守る石見智翠館という形が続いたが、ついに24分、國學院栃木は、WTB井戸川ラトレル(2年)が右中間にトライを挙げて、17-17と同点に追いつく。

決勝トライを挙げる智翠館のNO8祝原主将

しかし28分、國學院栃木はハイボールをノックオンしてしまい、石見智翠館が相手陣に攻め込む。最後は「ここしかないと思った」と、キャプテンNO8祝原がハードキャリーから中央にねじ込んでトライ。ゴールも決まって24-17とし、そのままノーサイドを迎えた。石見智翠館は準優勝した2012年以来となる決勝へ駒を進めた。

第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会

【ハイライト動画】準決勝 石見智翠館 vs. 國學院栃木|「高校ラグビーの良さが出たいい試合」

2年連続3位に終わった國學院栃木の吉岡肇監督は「実力伯仲でいい試合でした。石見智翠館、いいチームでしたね。相手はFW、BK関係なく、すべてのゾーンで圧力があった」。

「8番の選手(祝原選手)をマークしていたが、やっぱりやられた。ここというところでやられた。嗅覚がある、いい選手でした。関東新人、選抜大会も4試合しましたが、今まで(トライを)2本以内に抑えていたが、4本やられたら負ける」とサバサバした表情で話した。

3位表彰を受ける國學院栃木のLO笹本キャプテン

キャプテンLO(ロック)笹本直希(2年)は「智翠館さんが自分たちの想定を上回っていた。これだけタックルできないと、こういう結果になる。目標は日本一と言っていたが、こんなタックルでは情けない。もっと刺さっていれば違った結果になっていた」と悔し涙を流した。

2度目の決勝進出となった石見智翠館の出村知也監督は「『ブレイク・ザ・ウォール』ということをテーマにして、ベスト4の壁と國栃さんの強固なディフェンスを打ち破れということで、バチバチでお互いすごかった。ぶつかって立ち上がって、を体現した60分間だったし、國栃さんも素晴らしかった。勝ち負けというより、高校ラグビーの良さが出ていた」と笑顔を見せた。

2トライを挙げた石見智翠館NO8祝原主将

キャプテンNO8祝原は「僕らはとにかく上がって、前で身体を当てようと思ってそれを体現した。決勝までいったのは自信になった。決勝でもアタックでもディフェンスでも前に出続けて、自分たちのラグビーをしたい」と語気を強めた。

一方、第2試合はともに選抜大会と「花園」こと、全国高校ラグビー大会で優勝を経験している両校の対戦。連覇を狙う桐蔭学園(神奈川)と近畿王者の大阪桐蔭(大阪)の『桐蔭』対決となった。昨季は選抜の準々決勝、花園の準決勝で対戦し、ともに桐蔭学園が勝利していた。

先制したのは桐蔭学園だった。前半2分、SO竹山史人(1年)が裏にキック、そのボールをCTB徳山凌聖(2年)が足にかけて自ら左中間にトライ。SH(スクラムハーフ)後藤快斗(2年)がゴールを決めて、7点を先制した。

第25回全国高等学校選抜ラグビーフットボール大会

【ハイライト動画】準決勝 桐蔭学園 vs. 大阪桐蔭|大阪桐蔭が昨季のリベンジ

その後はスクラム、ディフェンス力で上回る大阪桐蔭ペースとなり、11分、28分にSO上田倭楓(2年)が落ち着いてPG(ペナルティゴール)を沈め、1点差に迫る。さらに30分、ゴール前のモールを起点に、ボールを動かして、最後はFB菅原幹太(2年)が切れ味の良いランを見せてトライ。ゴールも決まって13-7と逆転に成功し、ハーフタムを迎えた。

後半は互いにディフェンスが光り、得点ボードが動かない状況が続く。8分、桐蔭学園のSH後藤は、右中間40mほどのPGを狙うがポストに当たり、そのボールを攻め込んだが、トライを挙げることができなかった。

後半はゴールラインが遠かった桐蔭学園

大阪桐蔭も得点を挙げることはできなかったが、激しいディフェンスで相手にゴールラインを割らせることなく、そのま13-7でノーサイド。大阪桐蔭が選抜大会で初めて桐蔭学園を下して、6年ぶり3度目の決勝進出を決めた。

3位に終わった桐蔭学園の藤原秀之監督は「相手のコンタクトが強かった。FWもスクラムで4つペナルティをもらった。これだけやられれば、勝つことはまずない。相手のディフェンスは良かったが、裏に出られるところはあったし、オフロードするとか共有できなかった。ゴール前でいいフェーズもあったし、全くチャンスがないわけではなかった」と振り返った。

3位表彰を受ける桐蔭学園のFL申キャプテン

キャプテンFL申驥世(2年)は「ポゼッションを取って、FW、BKもコンタクトにこだわって速いラグビーを徹底しようとしていた。セットプレーなど自分たちがこだわるところで負けてしまったので、負けるべくして負けた」。

「身体を当て続けると話していたが、FWがちょっと受けてしまった。テンポが出てきたところでも、サポートが遅れて、相手に差し込まれるところもあったが、自分たちから自滅してしまった」と悔しそうに話した。

歓喜の大阪桐蔭フィフティーン

2度目の優勝に王手をかけた大阪桐蔭の綾部正史監督は「昨季2回、(桐蔭学園に)やられているので、自然と選手は気合が入っていた。60分間、15人がしっかりと芯を捉えてタックルで身体を当ててくれた」と選手たちを称えた。

CTB名取キャプテン(大阪桐蔭)

キャプテンCTB名取凛之輔(2年)は「自分は桐蔭学園には3度目のチャレンジだったので、先輩の分も勝てて良かった。出場している15人が泥臭く、身体張ろう、ディフェンスからペースをつかもうと話していた。後半、ずっと相手にボールを保持されたが、ブレイクダウン、ディフェンスでしつこく身体張って、相手のアタックを阻止できた」と胸を張った。

3月30日(土)の決勝戦は毎年夏合宿でも対戦しており、選抜大会前にも合同練習を行ったという石見智翠館(島根)と大阪桐蔭(大阪)の激突となった。2度目の決勝戦の石見智翠館がチーム史上初の日本一となるか。それとも大阪桐蔭が2013年以来2度目の春の王者となるか。

◆準決勝の結果
石見智翠館(島根)24-17 國學院栃木(栃木)
桐蔭学園(神奈川)7-13 大阪桐蔭(大阪)

◆3月30日(土)決勝
・11:00石見智翠館(島根)vs.大阪桐蔭(大阪)

文/写真:斉藤健仁

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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