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ラグビー コラム 2024年3月23日

【ハイライト動画あり】埼玉パナソニックワイルドナイツ、プレーオフ決勝の借りを返す快勝で11連勝

ラグビーレポート by 斉藤 健仁
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11連勝を飾った埼玉パナソニックワイルドナイツ

「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」のディビジョン1は、3月22日(金)~24日(日)に、交流戦の最後となる第11節が開催。

22日(金)は、クボタスピアーズ船橋・東京ベイvs.埼玉パナソニックワイルドナイツという、昨季のプレーオフ決勝と同じ対戦カードが、東京・秩父宮ラグビー場でのナイトゲームで行われた。

昨季のプレーオフ決勝では、スピアーズが17-15でワイルドナイツを破って初優勝を飾っているが、リーグ戦ではワイルドナイツが30-15で勝利。また、リーグワン初年度もワイルドナイツがリーグ戦で35-14、プレーオフ準決勝でも24-10と勝利している。

プレーオフ進出のために負けられないスピアーズか、昨季の決勝のリベンジを果たしたいワイルドナイツか。ファン注目の一戦は3月22日(金)、寒さの残る東京・秩父宮ラグビー場で、9491人の観客を集めて午後7:00にキックオフされた。

FB島田の先制PG

先手を取ったのはホストのスピアーズだった。前半4分、3試合連続でスタメンを務めるFB(フルバック)島田悠平が、PG(ペナルティゴール)を決めて3点を先制した。

トライを挙げたCTBデアリエンデ

しかし、その後はFB山沢拓也、WTB(ウィング)竹山晃暉が復帰したワイルドナイツがキッキングゲームや、接点で優位に立つと流れはワイルドナイツに。14分、自陣でのスクラムから展開し、CTB(センター)ダミアン・デアレンデがラインブレイクしてトライ。SO(スタンドオフ)松田力也のコンバージョンも決まり、7-3と逆転に成功する。

その後も野武士軍団の勢いは止まらず、20分にはマイボールラインアウトをキープし、そこから速いパスを展開して最後は左大外にいたWTB竹山に渡ってトライ。28分にラインアウトからモールでゴール前に迫って、SH(スクラムハーフ)小山大輝が自ら持ち出して左中間に飛び込んだ。

38分にもラックからSH小山がボールを取り出して、SO松田がディフェンスの裏にキック。CTBディラン・ライリーがキャッチして、そのままトライを挙げて26-3とワイルドナイツが大きくリードして前半を折り返した。

ジャパンラグビー リーグワン2023-24

【ハイライト動画あり】第11節 クボタスピアーズ船橋・東京ベイ vs. 埼玉ワイルドナイツ | ウィルドナイツが猛攻

後半に入ってもワイルドナイツが主導権を握る。後半3分、相手がキャッチミスしたボールをターンオーバーして攻め込んで、FB山沢拓也が相手ディフェンスを交わして左隅にトライ。

14分にSO松田のPGで36-3とさらにリードを広げると、19分にはラインアウトからFL(フランカー)ラクラン・ボーシェーが大きくゲインし、パスを受けたCTBライリーが2つ目のトライを挙げて43-3と突き放した。

残り20分、スピアーズも意地を見せる。24分にSO岸岡智樹のキックパスから今季初出場のWTB山崎洋之がトライを挙げると、31分には後半から入ったHO(フッカー)江良颯が、モールから押さえ、3試合連続となるトライで、15-43とする。

兄の山沢拓也(左)と弟の山沢京平

しかし、ワイルドナイツは34分、SOに入った兄・山沢拓也のパスを受けて途中出場のFB山沢京平がトライ。そして36分には、弟・FB山沢京平のパスを受けた兄SO山沢拓也がトライを挙げて、55-15とさらに点差を広げていく。なお、山沢兄弟の同時出場は2度目、そしてアベックトライはリーグワン初となった。

スピアーズは試合終了間際に、ラインアウトで相手がミスしたボールをNO8アシペリ・モアラが押さえてトライを挙げたものの、結局、8トライを挙げたワイルドナイツが、55-22でスピアーズに快勝。昨季のプレーオフ決勝のリベンジを果たして開幕からの連勝を11に伸ばした。

POMに輝いたCTBライリー

POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には2トライを挙げたワイルドナイツのCTBライリーが選ばれた。「自分の内側に松田や山沢(拓也)といったスペースを空けてくれる優秀な選手がいるので、自分がチームのためにできることをやろうとしている。(POMの受賞は)ラッキーだったと思うが、チームのためにできることを毎週をやっていて、その結果が出ている」。

ディーンズ監督(右)とHO坂手主将

3トライ差のボーナスポイントも獲得し、勝ち点を51に伸ばして首位をキープしたワイルドナイツのロビー・ディーンズ 監督は「パフォーマンス自体にとても満足している。スピアーズと戦うときはいつも挑戦的な戦いになるが、粘り強いチーム相手に50点取れてうれしい」。

「選手は相手の背後にボールを落としたり、アタックのところをミックスしたりと、勢いを持ってできたことが結果に出た。いろんな交替があったが、後半も自分たちのプレーの質が保てたところがとても良かった」と納得した表情を見せた。

キャプテンのHO坂手淳史は「ショートウィークで、スピアーズという強い相手と戦うチャレンジングな1週間だった。1回の練習しかなかったが、いい準備ができたことが今日のパフォーマンスに出ていた。次につながるいいゲームができた」と満足げに話した。

5勝6敗と再び黒星先行となり、勝ち点も獲得できなかったスピアーズのフラン・ルディケHC(ヘッドコーチ)は「求めた結果、プランした結果、望んでいた結果ではないが、この結果を受け入れて、学ぶ機会を活かして次に活かしていくしかない」。

「プレッシャーの掛け合いという試合だったが、プレッシャーをかけられて、スコアボードに点を重ねられた。まだチャンスは残っていると思うので、1試合1試合だと思っている」と悔しそうな表情を見せつつ、前を向いた。

ルディケHC(右)と立川主将

がっかりした表情で会見場に現れたCTB立川理道キャプテンは、「ワイルドナイツは、ベーシックなところをやらせない強さがあった。後半、若い選手たちがチームに勢いを与えてくれて、スコアできたのはチームにとって明るいポジティブなニュースだと思う」。

アーリーエントリーで初出場したPR為房慶次朗(明治大学)

「ネガティブなことを考えればたくさん出てくるが、受け入れて次に進むしかない。この敗戦をしっかり受け入れることが次に進む大事なステップになる」と話した。

プレーオフ進出にまた一歩前進した首位のワイルドナイツは、『Bye Week』(休みの週)を挟み、次節は4月6日(土)に、ホストの埼玉・熊谷ラグビー場で、三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦する。

『26』から勝ち点を積み上げることができなかったスピアーズも、『Bye Week』を挟み、4月7日(日)、再びホストゲームで、東京・秩父宮ラグビー場に今季好調な東芝ブレイブルーパス東京を迎える。

文/写真:斉藤健二

斉藤健仁

斉藤 健仁

スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント

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