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静岡ブルーレヴズ vs. トヨタヴェルブリッツ
ホストチームにとっては、グリーンの背中が見えている状況になった。
3月23日(土)、静岡ブルーレヴズはエコパスタジアムにトヨタヴェルヴリッツを迎え、ホストゲームを戦う。
リーグワン第11節(ディビジョン1/交流戦)。レギュラーシーズンも残すところ6試合となった。
トップ4を目指したいチーム、来季もディビジョン1を舞台にしたいなど、それぞれのターゲットに届くためには、各試合の重みがより増すことになる。
ヴェルブリッツが7位で、ブルーレヴズは8位。勝ち点差4の戦いは、当然し烈なものとなる。
前節、ブルーレヴズはブラックラムズ東京に勝ち、連敗を3で止めた。49日ぶりの勝利を手にして、ふたたび加速したいところだ。
ヴェルブリッツはリーグワン史上最多の3万4568人の観客が集まった豊田スタジアムで悔しい思いをした。
試合終了間際のトライ、ゴールで38-32と逆転して限りなく勝利に近づいたのに、ラストプレーから反則などで攻め込まれ、トライ、ゴールで38-39のスコアで敗れた。
悪夢のような敗戦で受けたダメージを払拭するには勝つ以外にない。
両チームのFWとも、一歩も引かぬ覚悟で試合に臨むだろう。
静岡は3連敗中、自信のあるスクラムに安定を欠いてしまった。その反省点を修正した前節は、LOマリー・ダグラスが2トライを奪うなど8人が前へ出続けてリズムを掴んだ。
ヴェルブリッツはNO8姫野和樹主将が「後半、コリジョンで受けてしまい、流れを相手に渡してしまった」と振り返るように、一貫して激しくプレーできなかった。
同じ轍を踏むつもりはないだろう。
ブルーレヴズの藤井雄一郎監督はブラックラムズ戦後、「ケガ人が出て思うようなメンバーを組めなかったが、勝つことが大事だった。いい形になる時間帯もあれば、ミスでプレッシャーを受けることもあったが、なんとか勝ち切れた」と振り返り、選手たちを愛でた。
「ボールを持ってプレッシャーをかけることを考えました。相手云々より自分たちにフォーカスして本来のスタイルを遂行し、相手の弱いところを突くシェイプを作った。両WTBでトライを取るようにデザインした攻撃を、選手たちがやってくれました」
ブルーレヴズは、大事な試合で勝利を掴んだメンバーから数人の先発メンバーを変更してヴェルブリッツ戦に臨む。
ゲームキャプテンを務めるのはコンディションが整ったFL庄司拓馬。完調への道の途中にあった前節は後半途中からの出場だった。
庄司は、「自分たちのスタイルをやり切る。やってきたことを出し切る。試合の間、ずっとそう声を掛け合い続けてやり切れたから勝てた」と話した。
大事なことをあらためて痛感した試合だったようだ。
環太平洋大学からアーリーエントリーで加入したショーン・ヴェーテーが3番で先発する。前節にデビューした190センチ、132キロの巨漢だ。
8番のジャージーを着るシオネ・ブナは日野レッドドルフィンズから移籍し、今季加わった。前所属では2試合に出場しただけ。ブルーレヴズでのデビュー戦となる。
PR伊藤平一郎やSHブリン・ホール、CTBヴィリアミ・タヒトゥアら経験値の高い選手がベンチに控えるのは心強い。
アーリーエントリーの作田駿介(流通経済大学)も16番のジャージーを着る。
どのカードをいつ切るか。選手起用の妙も見どころだ。
ヴェルブリッツは死闘を演じたサンゴリアス戦と同じ先発15人を組んだ。
前節のその試合で、前半を24-10とリードするパフォーマンスを見せたメンバーだ。SHアーロン・スミス、SOボーデン・バレットのコンビがチームをドライブして各選手の高い能力を引き出す。
今季こそ発揮したいのは、勝ち切る力だ。
新たにベンチ入りしたPR淺岡俊亮に期待がかかる。終盤の大事な場面でスクラムを安定させたい。
姫野主将は前節の試合であらためて自分たちの力を認識した。ボールを手に、ゲームをコントロールできた最初の40分。「スコアができるチーム」の力を発揮した。
悔やまれるのは後半、相手に勢いで上回られたところだ。
特に終盤はディシプリンを欠いて相手につけ入る隙を見せた。
ラストワンプレーから反則を重ね、最後のスクラムを押し込まれて負けた。
残り2分を切ったところで逆転し、ラストプレーで逆転されたサンゴリアス戦。その時間帯に、ヴェルブリッツの秘めた力と脆さの両方が凝縮されている。
姫野主将の今季のタックル数134はリーグ2位(Opta調べ)。ボールキャリー数123はリーグ5位と、この人が攻守両面でどれだけチームを鼓舞しているか、よく分かる。
試合当日のエコパは、すっきりしない空模様の予想だけど、寒さを忘れる熱戦が待っている気がする。
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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