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東芝ブレイブルーパス東京 vs. 三菱重工相模原ダイナボアーズ
敗れた試合の次戦は大事だ。
東芝ブレイブルーパス東京は、いい1週間を過ごして3月17日(日)を迎えた。
同日、秩父宮ラグビー場でおこなわれたリーグワン(ディビジョン1/交流戦)、三菱重工相模原ダイナボアーズ戦。前節の埼玉パナソニックワイルドナイツとの試合に敗れ(24-36)、開幕からの連勝が8でストップした影響は感じられなかった。
41-19と勝利し、勝ち点5を手にした。
勝者は開始25分で4トライを挙げ、24-0と大きくリードした。
ゲームキャプテンを務めたHO原田衛も「風下の中でもいいスタートが切れた」と、序盤に高い集中力を見せた自分たちのパフォーマンスに手応えを感じたようだった。
先制パンチを浴びせた時間帯の中で鋭く動き、チームに勢いを与えるプレーをしたのが原田自身だ。
前半8分過ぎ、左ラインアウトから出たボールを手にして前進。相手防御をうしろに下げ、トライに結びつく波状攻撃のきっかけを作った。
14分には自らインゴールに飛び込んだ。
ピッチ中央付近でできたブレイクダウンから一気にギアを上げた攻撃を仕上げた。相手を弾き飛ばして前へ出たLOワーナー・ディアンズをサポートし、CTBロブ・トンプソンからのパスを受けて走り切った。
全勝対決というビッグゲームだった前節、チームは心身のコンディションを高めてその試合に臨んだ。
決戦を終えた後、2週続けて同じテンションで日々を過ごすのは簡単ではなかっただろう。原田はその点について「自分だけでなく、みんなでそこを意識して準備をした」と言った。
アップスピードをテーマに、ダイナボアーズ戦に挑んだ。
特に試合序盤、攻守において相手より先にセットすることに注力したことが攻略に結びついた。
しかし、一方的にスコアを積み重ねる時間は続かなかった。原田は、「自分たちのミスから流れを渡してしまった」と悔やむ。
先にパンチを食らい、ダイナボアーズが目を覚ましたこともある。緑のジャージーに前半32分、34分と連続してトライを許し(ゴールキックも成功)、差を詰められた(24-14)。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1
【第10節ハイライト動画】東芝ブレイブルーパス東京 vs. 三菱重工相模原ダイナボアーズ
ダイナボアーズにとっては、ハーフタイム前の時間帯、ブレイブルーパスの決定機を必死のバッキングで防いだ2つのプレーも大きかった。
グレン・ディレーニー ヘッドコーチ(HC)の指導のもと、時間をかけて築いてきた走るチームスタイルが見られたシーンだった。
10点差で入った後半。試合終了間際にブレイブルーパスがダメ押しトライを奪ったこともあり、最終的には22点差とスコアは開いた。
しかし、序盤のようにブレイブルーパスが圧倒する空気は消えたからバックスタンドのダイナメイト、ウリボアーズも楽しめた。緑の集団が沸くシーンも少なくなかった。
後半の入りを制したのは、前半同様ブレイブルーパス。優位に立っていたスクラムと相手のヘッドコンタクトで15人対13人となった時間帯に2トライを追加した(10分、16分)。
17分までに34-14として勝利に大きく近づいた。
トッド・ブラックアダーHCは何よりも、今季初めての敗戦にも下を向くことなく、チームが結束して勝利したことを評価した。
ラインアウトなどいくつか修正すべき点があることは認めながらも、選手たちが再び前へ進み始めたことを喜んだ。
今季ここまで全試合出場を続けているFB松永拓朗が選手たちの胸中を代弁する。まず、ビッグゲームのあとに星を落とすことの多かった自分たちが、この試合で笑えたことに手応えを感じた。
「(ダイナボアーズは)昨シーズン、一度負けた相手ですが、そこは気にしませんでした。ただ、その負けで(勝ち点が足りず)プレーオフに行けなかった。そういう意味で、落とせない一戦という意識はありました」
敗れたダイナボアーズも手応えを感じた試合だった。
試合終盤まで緑のジャージーは動き続け、勝者をヘトヘトにさせた。後半に奪ったトライは1つだけも、ダイナボアーズらしいパフォーマンスを見せた。
ディレーニーHCは、「試合の入りが良くなくて、最終的に追いつくことができませんでしたが、エキサイティングな戦いはできたと思う」と話した。
前節から複数のメンバーを変更したことについて、「フィジカルの強い相手との連戦が続いているので、(いつものメンバーに)続く人たちの力を信じて起用した」と話した。
「今シーズン初めての出場となった徳田(亮真/LO)をはじめ、彼らがいいパフォーマンスをしてくれたし、得たものもあったはず。それが残りのシーズンに繋がる」
SH岩村昂太主将は試合前、「一人ひとり自分のやるべきことを明確にし、それを80分間続けよう」と呼びかけたが、遂行できなかった。それが序盤の劣勢の原因になったと反省した。
しかし、イエローカードを2枚受けて13人になったときの奮闘も含め、後半に自分たちのパフォーマンスを出せたことは今後を照らすとした。
「自分たちのやるべきことを遂行すれば、ダイナボアーズのスタイルで戦えると分かったはず」
レギュラーシーズンは残り6試合。2位のブレイブルーパスも、9位のダイナボアーズも、自分たちらしさを発揮した先に手にしたいものがあると信じてプレーを続ける。
田村一博
前ラグビーマガジン編集長。鹿児島県立鹿児島中央高校→早稲田大学。早大GWラグビークラブでラグビーを始める。ポジションはHO。1989年、ベースボール・マガジン社に入社。ラグビーマガジン編集部に配属される。1993年から4年間の週刊ベースボール編集部勤務を経て、1997年からラグビーマガジン編集長に就く。2024年1月に退任し、現在は編集者、ライターとして活動。
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