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POMに輝いたスティーラーズのSOガットランド
「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」のディビジョン1は後半戦に入り、今週末の3月9日(土)10日(日)に第9節が開催。10日(日)、神奈川県・相模原ギオンスタジアムでは、8位の三菱重工相模原ダイナボアーズが、4位のコベルコ神戸スティーラーズを迎えた。
ディビジョン1で2シーズン目となったダイナボアーズは、開幕から2連勝と好スタートを切ったが、その後は善戦するものの4連敗。だが、クロスボーダーラグビーで中断後の2月に入り、静岡ブルーレヴズに53-45と勝利。第8節では、昨季の王者クボタスピアーズ船橋・東京ベイに、34-28と逆転勝ちして2連勝を飾った。
三菱重工相模原ダイナボアーズ
プレーオフへの望みをつなぐため、グレン・ディレーニHC(ヘッドコーチ)は、スピアーズ戦から、BK(バックス)1名の先発を変更にとどめた。FW(フォワード)は、FL(フランカー)吉田杏と副将の鶴谷昌隆、NO8(ナンバーエイト)ジャクソン・ヘモポのバックローなど前節と同じメンバーが先発。
BKは、キャプテンのSH(スクラムハーフ)岩村昂太とイングランド出身のSO(スタンドオフ)ジェームス・グレイソンが引き続きハーフ団として先発。WTB(ウイング)は新人の小泉怜史(早稲田大学出身)が、FB(フルバック)へ移動し、11番にはタウモハパイ ホネティが入り、前節に2トライを挙げたベン・ポルトリッジが14番に入った。
一方、こちらも開幕戦から2連勝を飾ったが、その後に3連敗を喫したスティーラーズ。だが、先週はトヨタヴェルブリッツに、57-22と快勝するなど、3連勝でプレーオフ進出圏内の4位に浮上した。
サヴェアがレタリック(左)へオフロードパス
デイブ・レニーHCは、日本代表PR(プロップ)具智元、キャプテンでニュージーランド代表109キャップのLO(ロック)ブロディ・レタリック、前節4トライを挙げてPOM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)を受賞したオールブラックスのFLアーディ・サベア、ベテランのSH日和佐篤、得点ランキングトップに立つSOブリン・ガットランドらと、ヴェルブリッツ戦と全く同じ先発メンバーで臨んだ。
好調なチーム同士の試合は午後2時30分、ダイナボアーズのホストスタジアムである相模原ギオンスタジアムで、強い風が吹く中、6156人の観客が見守る中キックオフされた。
あえて風下を選んだダイナボーズは、「どれだけ風下で我慢して得点を挙げることができるか」がテーマだった。一方のスティーラーズは「キックに対応して、相手のディフェンスを自分たちでコントールする」ことに焦点を当てて臨んだ。
ラインブレイクするCTB李
実行力で上回ったのはスティーラーズだった。前半4分、キックカウンターから攻め込み、日本代表CTB(センター)李承信が抜け出して、最後はNO8ティエナン・コストリー(IPU環太平洋大学出身)が右隅にトライを挙げて5点を先制する。
その後、ダイナボーズも攻め込むが得点に結び付けることはできなかった。すると15分、スティーラーズはラインアウトを起点に、SOガットランドが仕掛けてトライを挙げて、自らゴールを決めて12-0とリードを広げる。
古巣相手にトライを挙げるCTBリトル
23分、ダイナボーズはボールを継続し、最後はFB小泉怜史がトライし、SOジェームス・グレイソンがゴールを沈めて、5点差に迫る。しかし27分、スティーラーズも反撃し、スクラムを起点に自陣からボールを動かし、最後はSOガットランドが左に大きく展開し、最後は途中出場のCTBマイケル・リトルが押さえて19-7。
さらに36分、スティーラーズは、SOガットランドのキックパスから、最後はFL今村陽良がトライ。さらに38分にはラインアウトから攻撃し、最後はLOワイサケ・ララトゥブア(東海大学出身)が中央にトライを挙げて31-7と大きくリードして折り返した。
なかなか得点を奪えなかったダイナボアーズ
後半、風上に立ったダイナボアーズは相手陣奥でアタックを続けるが、なかなか得点を挙げることができない。しかし、スティーラーズは8分、反則の繰り返しによりキャプテンLOレタリックがイエローカードによりシンビン(10分間の途中退室)となる。
数的有利となったダイナボアーズは18分、タップからNO8ヘモポが中央左にねじ込んでトライを挙げて14-31と追い上げる。
しかし、その後は再びスティーラーズの時間帯となり、28分、ボールを継続してゴール前に迫り、最後は途中出場のSH中嶋大希が右中間に押さえてトライ、33分にも途中出場のCTBラファエレ ティモシーがトライを挙げた。試合はスティーラーズがそのまま43-14でノーサイドを迎えた。
スティーラーズが4連勝を飾り、POMには、1トライ4ゴールで得点を122に伸ばし、得点ランキング首位をキープしたSOガットランドが選出。「少し規律が悪いところがあったが、自分たちにフォーカスしてプラン通りにできた。試合を組み立てていくことに関して、コンビネーションが良くなってきたし、ここ数試合、自分たちのゲームが進化してきたと感じている」と胸を張った。
粘り強いディフェンスを見せたスティーラーズ
3トライ差のボーナスポイントも獲得し、勝ち点を29と伸ばして4位をキープしたスティーラーズのレニーHCは「勝ち点5を取るということは達成できた。アウェイで、格上の相手に勝っている相手に勝ちきることは大事なことだった」。
「準備してきたことは出せた部分が多かった。自分たちが成長している途中の段階で4連勝に持って行けたことは良かった。次節に向かって成長していかないといけないし、ワイルドナイツが相手なので、チャレンジしていかないといけない」と先を見据えた。
キャプテンのLOレタリックは「ボールを持っているときは仕留めきることができたが、ペナルティを多く与えてしまうとフェーズを重ねて、自分たちのラグビーをすることが難しくなる」と反省していた。
攻撃チャンスがあったものの、2トライしか挙げられず敗戦したダイナボーズのディレーニーHCは「自分たちが80分間、コントロールできなかった。常にプレッシャーがかかってスコアできなかった。相手がダイレクトにフィジカルで来て、自分たちがやりたいことをやらせてくれなかった」と相手を称えた。
ダイナボアーズ岩村主将(右)と前半トライを挙げたFB小泉
キャプテンのSH岩村は「ブレイクダウンで受けに回ってしまって、我々のスタンダードではなかった。1つ目の仕事がうまくできず、我々のアタックができなかった。あとは22mに入って、チャンスが生まれたとき、個人のミスなどで点数を取って帰れなかったので苦しい展開になった」と冷静に振り返った。
次節、4位につけているスティーラーズは、3月16日(土)にホストの兵庫県・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で、現在開幕から9連勝で首位に立つ埼玉パナソニックワイルドナイツに挑む。
3連勝はならず、8位から順位を上げることのできなかったダイナボアーズは17日(日)に東京都・秩父宮ラグビー場で、2位の東芝ブレイブルーパス東京にチャレンジする。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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