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POMに輝いたサンゴリアスFB松島
中盤戦を迎えている「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」。ディビジョン1は、3月1日(金)~3日(日)の日程で交流戦の第8節が開催された。2日(土)、東京都・秩父宮ラグビー場では、東京サントリーサンゴリアスが10位のリコーブラックラムズ東京を迎え、「東京ダービー」が行われた。
5勝2敗の勝ち点24でプレーオフ進出圏内の3位につけ、リーグワン初優勝を目指すサンゴリアス。田中澄憲監督は、2週間前に行われた埼玉パナソニックワイルドナイツ戦から、FW(フォワード)は変更せず、キャプテンの日本代表HO(フッカー)堀越康介らが先発。
また、FB(フルバック)は南アフリカ代表のチェスリン・コルビがメンバー外となり、日本代表の松島幸太朗が先発に復帰するなど、BK(バックス)は2名の先発を入れ替えた。リサーブには出場すれば、リーグ戦通算50キャップを達成するSH(スクラムハーフ)齋藤直人や、リーグワンデビューとなるアルゼンチン代表104キャップ誇るSO(スタンドオフ)ニコラス・サンチェスらが入った。
SH齋藤はリーグ戦通算50キャップを達成
一方、ここまでわずか1勝のブラックラムズは、前節のコベルコ神戸スティーラーズ戦でも、一時は17-20まで追い上げたが、最後に突き放され、17-27と敗戦し3連敗。1勝6敗で勝ち点7の10位と厳しい状況が続いていた。
ピーター・ヒューワットHC(ヘッドコーチ)はFW8名を変更せず、主将のHO(フッカー)武井日向、日本代表LO(ロック)アマト・ファカタヴァらが先発。BKは、2名を変更し、元ウェールズ代表のハドレー・パークスに代わってCTB(センター)栗原由太、WTB(ウイング)には前節リザーブだったセミシ・トゥポウが上がった。
なお、控えには先週アーリーエントリーでデビューしたばかりのバックローのサミュエラ・ワカヴァカ(朝日大学出身)ら、FWの6人が名を連ねた。
一昨季は36-33、昨季は18-7とクロスゲームでサンゴリアスが勝利している試合は、午後2:05に秩父宮ラグビー場で1万428人の観客が見守る中、キックオフされた。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24
【ハイライト動画】第8節 東京サンゴリアス vs. ブラックラムズ東京| サンゴリアスが衝撃の圧勝劇
接点、FWのフィジカルが強い相手に対して、敢えてサンゴリアスが掲げたテーマは「フィジカルバトル」だった。その言葉通り、接点での争いに勝ち、テンポよくボールが動くと、序盤からホストのサンゴリアスが主導権を握る。
10番で先発したサンゴリアスのSO高本
前半2分にSO高本幹也のPG(ペナルティゴール)で先制すると、6分にはラインアウト起点にボールを展開し、最後はWTB尾崎泰雅が左隅にトライを挙げて、8点をリードする。さらに16分にはボールを継続して、最後はFB松島が相手のタックルをかいくぐって中央右にトライを挙げて17-0。
ブラックラムズがミスや反則で、なかなか効果的な攻撃ができない中、サンゴリアスは残り10分間でラインアウトからキャプテンHO堀越が連続トライを挙げ、サンゴリアスが29-0と大きくリードして前半を折り返した。
チャンスは作るもトライを奪えなかったブラックラムズ
後半に入ると、ブラックラムズも敵陣に入ってチャンスを作るが、トライを決めることができない。すると、9分にはサンゴリアスが、FB松島の50-22キックから敵陣ゴール前に迫り、ラインアウトからHO堀越がトライを挙げてハットトリックを達成した(34-0)。
アルゼンチンの英雄SOサンチェスがリーグワンデビュー
その後もサンゴリアスは攻撃の手は緩めることなく、14分には途中出場のWTB江見翔太がトライ。27分にはリーグワンデビューとなったSOサンチェスからFB松島にボールが渡り、40m走りきってトライ。試合終盤にはラインアウトからLOハリー・ホッキングス、途中出場のHO呉季依典が2トライを挙げた。
結局、前後半で9トライの猛攻を見せたサンゴリアスが、62-0でブラックラムズに零封し、勝利を収めた。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には2本のトライを挙げたサンゴリアスのFB松島が輝いた。「プランとして用意したものを出せた試合。その状況に合わせたアタックができた。(POMは)2個目のトライで、僕かなと思った」。
しっかりと、3トライ以上差のボーナスポイントを獲得し、勝ち点を29と伸ばしたサンゴリアスの田中監督は「プランを本当に遂行できたと思う。ディフェンスの強いリコーに、62点もそうだが、零点というところに価値がある勝利」。
「一昨季も、昨季も相手のブレイクダウンに後手に回っていた。今日はブレイクダウンで速いサイクルができ、ボールが動く、いいアタックができたし、ターンオーバーの数も少なかった。ここ最近のリコーに対する試合では、成長した部分だと思う」と満足げに話した。
モールからトライを挙げるサンゴリアス
ハットトリックを達成したHO堀越主将は「相手のメンバーにはリザーブの6人にFWがいて、そこで勝負してくるとわかっていた。最初の20分でそこに勝てたのが今日の勝因。モールトライはうれしいがHOのトライはチームのトライ。(POMだと思ったか?)全然、思わないです!(トライ王は)狙っていない。僕には必要ない」と笑顔を見せた。
4連敗となり、10位からなかなか順位を上げることができていないブラックラムズのヒューワットHCは、「タフな日になった。スタートが悪く、意志もあまり感じられず、ここまで長らくよくできていた部分も、ちょっと上手く見せられなかった。中6日も影響あったかも」と肩を落とした。
完封負けを喫したブラックラムズ
キャプテンのHO武井は「自分たちのDNA、泥臭さ、フィジカリティーをまったく見せず、相手にやりたいことやらせてしまった。入りの部分から受けてしまった。そこが原因だと思うし、試合を通して最後まで改善できなかった」。
「後半、最初は攻めていたがミスで終わっていた。正確さ、1人1人の役割の精度が課題。やるべきことを100%実行していかないとミスになってしまう。1人1人の精度のところを上げていきたい」と前を向いた。
サンゴリアスは次節もホストゲームとなり、3月9日(土)、東京・秩父宮ラグビー場で、11位の花園近鉄ライナーズを迎える。一方のブラックラムズは、10日(日)、三重・三重交通グラウンドスポーツの杜鈴鹿サッカー・ラグビー場で、最下位の三重ホンダヒートと対戦する。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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