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【ハイライト動画あり】コベルコ神戸スティーラーズの「赤い壁」。リコーブラックラムズ東京との雨中戦で屹立。NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24第7節交流戦
ラグビーレポート by 多羅 正崇山下楽平(コベルコ神戸スティーラーズ)
勝敗に直結することも多々ある重い反則「ペナルティ(PK)」。
1試合で10回を超える事も多いPKだが、この日、コベルコ神戸スティーラーズのPKはわずか6回。守備時間の長かった後半はなんと“極小”の2回。
ビジターの雨中戦で、規律正しく守り続けた。
冷たい雨が降った2月25日(日)、東京・駒沢で行われた10位「リコーブラックラムズ東京」×8位「コベルコ神戸スティーラーズ」のディビジョン1(D1)第7節交流戦は、序盤からハイスキルの応酬となった。
序盤の10分間は、ホストであるブラックラムズの“ディフェンス勝ち”。11次攻撃+2度のラインアウトモールを防ぎ、相手のミスボールを蹴り返すなどして、敵陣へ押し返した。
しかし先制トライは前半12分、スティーラーズだった。
序盤の敵陣攻撃で複数の連携ミスがあったスティーラーズ。ここは防御裏へのキックを選択し、相手がそらしたボールをCTBナニ・ラウマペが捕球。そのまま一気にインゴールへ独走した。
7点を先制されたブラックラムズも、すぐに反撃。
武井日向(ブラックラムズ東京)
この日両軍最多17タックルの頼れる主将、HO武井日向が敵陣でジャッカル。今季よりカテゴリAのレフティー、FBマット・マッガーンのショット成功で前半15分に3点奪取。ビハインドを4点(3-7)に縮めた。
この日のブラックラムズは何度もビハインドを縮め、追いすがった。
相手のショット追加(前半28分)でふたたびリードを7点(3-10)に広げられたが、前半33分。
相手ノックオンの自陣中央スクラムから、SOアイザック・ルーカスが移動攻撃から突破。FBマッガーンのショートキックを再獲得し、まず大きく敵陣に入る。
この相手ゴール前の絶好機で、ブラックラムズはラインアウトモールで勝負。NO8ネイサン・ヒューズが今季4トライ目を決め、ゴール成功で同点(10-10)。イーブンで後半に入った。
しかし後半、ブラックラムズは、一瞬の規律意識の乱れから7点を失う。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1
【第7節ハイライト動画】ブラックラムズ東京 vs. コベルコ神戸スティーラーズ
後半2分に敵陣でハンドリングエラー。イーブンボールを蹴り返した相手WTB松永貫汰に対し、WTB西川大輔がインゴールでノーボール・タックル。
このプレーにシンビン判定。滑川剛人レフリーはペナルティ・トライ(7点)を与えた。
さらに後半17分のPG成功で、ふたたび10点(10-20)を追いかける展開になったブラックラムズ。
それでも後半23分だった。
相手ペナルティで敵陣右に侵入。ふたたびラインアウトモールで突進。一度はプレッシャーを受けたが、圧力をいなして最後はモールが“走った”。
そしてHO武井主将が歓喜のチーム2本目。キック成功で3点差(17-20)に迫った。
しかし三度、キックスキルを起点としてトライを生んだのがスティーラーズだ。
3点リードの後半25分。FW近場勝負から、23年W杯日本代表のCTB李承信が意表をつくクロスキック。
山下楽平(コベルコ神戸スティーラーズ)
右隅を走り、宙に舞う楕円球を追いかけていたのは共同主将のWTB山下楽平。バウンドしたボールを手の先でコントロール。そして見事にグラウンディングする美技で3本目を奪取。数少ないチャンスを決めきる勝負強さが光った。
そしてCTB李承信は、右隅からのコンバージョンを成功させ、スティーラーズが三度、リードを10点(27-17)に広げた。
ブラックラムズは、アーリーエントリーのサミュエラ・ワカヴァカ(朝日大学)が後半25分にチーム出場第一号を記録。遜色ない激しさをみせ、後半29分には23年世界最優秀選手の相手FLアーディ・サベアと攻防を展開する場面も。
勢いに乗りたいブラックラムズ。
アイザック・ルーカス(ブラックラムズ東京)
終盤で10点差となり、自陣からボールキープに懸けて連続攻撃を展開する。この日両軍最多21キャリーのアイザック・ルーカスを中心に、途中出場の南昂伸の配球で攻略をはかった。
しかしスティーラーズはミスなく好守を続けた。
途中出場の高尾時流、ジェラード・カウリートゥイオティ、ラファエレティモシーらが的確なタックルでゲインを許さない。80分を超えてもなお、ブラックラムズは自陣を脱出できない。
82分36秒まで攻め続けたが、最後はノックオン。ノーサイドの瞬間、動けない選手が多数という大熱戦は、27-17でスティーラーズに軍配が上がった。
ブラックラムズは13回あったペナルティが響いた。一方のスティーラーズは前述の通り6回。
スティーラーズのタックル数は速報値で相手より多い171回(ブラックラムズは129回)だったが、規律正しい「赤い壁」で追撃を封じた。
6敗目を喫したブラックラムズは、入替戦圏内の10位のままだ。9位三菱重工相模原ダイナボアーズが静岡ブルーレヴズに勝ったため、9位ダイナボアーズとの勝点差は7に広がった。次戦の8位ブルーレヴズ戦で、2勝目を狙う。
その8位だったスティーラーズは6位に浮上。しかし4位から9位までの勝点差はわずか「6」だ。
スティーラーズの次戦は、東大阪市花園ラグビー場に「4勝3敗」「勝点19」で並んでいる5位トヨタヴェルブリッツを迎える。大混戦の中位グループ脱出へ、負けられない闘いが続く。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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