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【ハイライト動画あり】一貫性発揮のトヨタヴェルブリッツ。三重ホンダヒートは初の序盤失点ゼロ。NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24第7節交流戦
ラグビーレポート by 多羅 正崇高橋汰地(トヨタヴェルブリッツ)
「ホンダヒートさんは最初の20分間、勇敢にプレーし、強いパフォーマンスを発揮してきました」(トヨタヴェルブリッツ、ベン・ヘリングHC)
今季参戦のディビジョン1(D1)で開幕6連敗の三重ホンダヒートは、ここ6試合、序盤に必ずトライを獲られていた。
しかしクロスボーダーマッチによるD1中断明けの2月17日(土)、第7節ヴェルブリッツ戦で、初めて開始20分の失点がゼロに。序盤は堅陣を保ち、好勝負を演じた。
ボール保持で自陣からワイド展開するヒートに対し、ヴェルブリッツも長短キックを活用しながら、スマートにスペースを突く。
が、ヒートの守備は固かった。
ヒートは序盤に自陣22m内で反則を誘発(ノット・リリース・ザ・ボール)。さらにエリア前進後にSO呉洸太が落球を誘うタックル。
その後何度も自陣22m内に入られたヒートだが、花園近鉄ライナーズから移籍のFLワイマナ・カパ、WTBダーウィッド・ケラーマンらが芯を突くタックルで前進を阻む。
鬼門だった序盤を乗り越えたヒート。前半20分までスコアは0-0だった。
ただ状況打破はホストのヴェルブリッツだった。
姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)
敵陣ラインアウトでサインプレーがズバリ的中。2月初旬の代表福岡合宿参加の3人、FL姫野和樹主将、FLウィリアム・トゥポウからWTB高橋汰地と繋いでクリーンブレイクを生み、先制トライを奪った。
直後のキックオフから敵陣でプレーしたかったヒートだが、ヴェルブリッツは今季初先発のPR木津悠輔が相手を弾いてロングゲイン。
ここから敵陣に入ると、ヒートはラックでの反則を続けて劣勢に。前半のペナルティ数はヴェルブリッツの約2倍にあたる9回に上った(反則の繰り返しにより44分にはイエローが出た)。
アーロン・スミス(トヨタヴェルブリッツ)
相手反則で優位となったヴェルブリッツは、さらに前半24分、SHアーロン・スミスがパスダミーからラック脇を突破。2本目を奪った。
だがヒートも立て直し、NO8トコキオソシセニのジャッカルなどで“粘闘”。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24 D1
【第7節ハイライト動画】トヨタヴェルブリッツ vs. 三重ホンダヒート
相手にノックオンが続いたこともあり一進一退が続いたが、前半38分にHO彦坂圭克がモールから3本目。19-0で後半へ入った。
ヒートは前半終了前のシンビンで14人となっていたものの、後半序盤の45分に得点機を迎える。
ここで力を発揮したのがヴェルブリッツのスクラム。攻撃権を奪い返すスクラム・ターンオーバーが飛び出し、自陣ゴール前のピンチを脱した。
前半に続いて、後半の立ち上がりも失点を防いだヒートだが、54分だった。
ヴェルブリッツのWTB高橋汰地に、明大同期・渡邉弐貴のパスをインターセプトされて後半最初のトライを奪われる。さらに60分にはチームとして崩された。
ヴェルブリッツは7次攻撃を繰り出し、SOファルコンが今季初出場・初先発のLO秋山大地の突破を演出する。LO秋山のパスを受け、アイザイア・マプスアがフィニッシュした。
「今日は全員が同じ絵を見れていた。やるべきことを全員が分かっている状態で試合が出来ていました」(ヴェルブリッツ、FL姫野主将)
ヒート待望の初得点は65分。
クリントン・ノックス(三重ホンダヒート)
スクラムから途中出場の俊足SH根塚聖冴が、3人を引きつけてオフロードパス。ボールを受けた渡邉が決定的なゲインを生み、最後はCTBクリントン・ノックス。ゴール成功で7点を返してみせた。
ただ終盤になると、前半から続く自陣22m内のペナルティが痛く、ヴェルブリッツが終盤10分間で3連続トライ。
最後は突き放され、54-7でヴェルブリッツが4勝目を奪い、ボーナスポイント付きの勝点5を積み上げた。
ベン・ヘリングHC(ヘッドコーチ)は「結果が出せて良かった」と及第点を与えた。
「姫野らリーダー陣筆頭にチームをよく引っ張ってくれて、良い形で締めてくれました。スタートメンバーが相手を疲れさせ、フレッシュなメンバーが締めてくれました」
今季は後半に崩れる試合もあったヴェルブリッツだが、ヒート戦は終盤3トライを重ねるなどゴールラインまで駆け抜け、力強くフィニッシュ。
FL姫野主将は「メンタリティ」の準備が奏功した、と語った。
「(クロスボーダーによる中断期間の)3週間は自分達を見つめ直す機会になりました。それが本当に良い感じでシャープになっている。チームとして良い状態で臨むことができた。今後も一貫性をもってプレーしたいです」(ヴェルブリッツ、FL姫野主将)
ヴェルブリッツはメンタリティの準備から一貫性を発揮し、ヒートは課題の守備で成長を示した。お互いに中断期間での成果を披露しあったが、ヒートは開幕7連敗。
フランコ・モスタート(三重ホンダヒート)
ヒートが誇る南アフリカ代表のロック、フランコ・モスタートは、この日13回あったペナルティ(ヴェルブリッツは6回)に言及し、要改善と語った。
「ペナルティをこれだけ取られてしまうと勝つのは難しい。ネガティブなプレーの後に、ネガティブなプレーをしてしまう。続けてしまうところに課題があると思います。自分達にフォーカスして、横浜キヤノンイーグルス戦に向けて準備していきたい」
ヒートの次戦、第8節イーグルス戦は、2週間後の3月1日(金)。東京・秩父宮ラグビー場でのナイターゲーム(19時キックオフ)だ。
一時的に4位に浮上したヴェルブリッツ。このまま突き進みたい第8節の相手はコベルコ神戸スティーラーズ。こちらも2週間後、3月3日(日)、東大阪市花園ラグビー場に乗り込む。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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