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横浜キヤノンイーグルス vs. ブルーズ
昨季リーグワン4強とニュージーランド2チームが対戦する、リーグ初の国際交流戦「THE CROSS-BORDER RUGBY 2024」。
2月10日(土)の神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場では、第3戦として、横浜キヤノンイーグルス(昨季3位)がブルーズ(ニュージーランド)と対戦する。
このクロスボーダーマッチは、リーグワンの元になった「トップリーグネクスト構想」からの悲願だ。
2017年には構想に携わった元日本ラグビーフットボール協会の瓜生靖治氏(元イーグルス)が、「壮大な夢」として、「サッカーのトヨタカップ(現クラブW杯)のような形で、トップリーグチャンピオンと世界のリーグチャンピオンを戦わせたい」と語っている。
今回は交流戦という形だが、ここで日本勢が奮闘すれば、その大きな夢に一歩近づくかもしれない。もし日本勢が3勝1敗と勝ち越せば、プレシーズンの交流戦とはいえ王国ニュージーランドとしては当然面白くないだろう。雪辱の機運が高まり「今後はシーズン後にベストメンバーで」等の展開に向かう可能性はあるはずだ。
現在は2試合を終え、日本勢vs.NZ勢という図式で1勝1敗。
昨季初3位のイーグルスには、日本勢2勝目を期待したくなるが、チームの視点に立てばシーズン序盤という難しさもある。
歯に衣着せないイーグルスの沢木敬介監督は「ケガが一番怖い」と率直に語り、「全員を使いながら戦う」とした。
「クロスボーダーラグビーの登録人数は通常よりも多めになると聞いてます(23名以上28名以内)。全員を使いながら戦いますし、その試合での経験が必要な若い選手もいます。ケガが一番怖いので、そのリスクをどう考えるかは難しいところです」
ただ選手視点では「モチベーションは変わらない」とCTB梶村祐介キャプテンは力強かった。
「仮にクロスボーダーラグビーがなかったとしても、このタイミングで練習試合が入っていたと思います。試合があろうが、なかろうが、選手のモチベーションは変わりません」
ではイーグルスが発表した登録メンバーはどうだったか。
率直な印象は、離脱者をのぞく主力を投入した本気のメンバー。本気度を感じる布陣だった。
そしてCTBには、第5節で5年目にして初先発を掴み、さらにトライを挙げてヒーローとなった田畑凌。チームを支えてきた苦労人が、クロスボーダーという国際舞台で先発を担う。
迎える相手は、王国ニュージーランドの伝統チーム、大都市オークランドを拠点とする名門ブルーズだ。
ブルーズは第1戦の東京サンゴリアス戦で、目覚ましい闘いぶりをみせた。
始動7週間で「ここまではチーム内での練習試合ばかり」(ブルーズ、バーン・コッターHC)だったというが、若手主体の編制ながらサンゴリアスを43-7で圧倒した。
フォワードも小技を利かせる万能ぶりは、流石ニュージーランドだった。縦への推進力も圧巻で、サンゴリアスはたびたびファーストタックルを外された。
「私たちは前に進むことを重要視しています。そのためにも、コンタクトに勝たなければならない。そこは最初の20分はできていたと思います」(ブルーズ、LOサム・ダリー)
そのブルーズは前節サンゴリアス戦から先発9人を変更した。
前節リザーブだったFW4人(PRジョーダン ・レイ、HOリッキー ・リッチテリ、PRマルセル・レナタ、LOジョシュ・ビーア)を繰り上げるなど、大きく変えてきた。
先発15人の平均年齢は「25.1歳」から「24.5歳」に微減している。若手主体に変わりはない。しかし今回は大物が出てきた。
2023年W杯NZ代表のWTBケイリブ・クラークだ。
2年前のオールブラックス戦(東京・国立)で、後半2分に強烈キャリーでトライを奪った姿を記憶しているファンもいるだろう。
父エロニは元代表CTB。2020年にブレイクし「ジョナ・ロムー2世」と云われた怪物とマッチアップするのは、イーグルスのWTBイノケ・ブルア。強烈ランナー同士の対決は見ものだ。
引き続きの先発では、サンゴリアス戦で華麗なオフロードパスでトライを演出したSOスティーブン・ペロフェタ。NZ代表キャップを持つ実力者だ。リザーブから先発になった20歳以下NZ代表を経験したSHタウファ・フナキとハーフ団を組む。
クロスボーダーマッチの大きな目的は、日本の競技力の向上だ。
イーグルスの選手が世界最高レベルのフィジカル、スキルを経験することが、日本ラグビーの競技力向上に繋がる。
前回のサンゴリアスは序盤に猛攻を受け、主導権を握られた。イーグルスは文化となったハードワークで、序盤からフィジカリティ、スキルに長けるブルーズの攻撃を食い止めたい。特に絶妙なタイミングでオフロードパスに走り込むサポートランナーはケアしたいところだ。
本気を感じるメンバーだからこそ、勝利を願わずにはいられない。イーグルスが歓喜する姿を期待しながら、土曜日12時10分のキックオフを待ちたい。
多羅 正崇
スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。
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