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ラグビー コラム 2024年1月22日

【ハイライト動画あり】東京サンゴリアス、ロスタイムに執念の逆転トライ。相模原ダイナボアーズの勇敢な挑戦を退ける。リーグワン第6節レポート

ラグビーレポート by 直江 光信
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中野将伍(東京サンゴリアス)

前半22分のスコアはなんと29-0。先行したのはディビジョン1昇格2シーズン目、昨季10位の三菱重工相模原ダイナボアーズだ。風上の利があるとはいえ、過去5度のトップリーグ優勝を誇る強豪、東京サントリーサンゴリアスを大きく引き離す予想外の展開に、相模原ギオンスタジアムは騒然としたムードに包まれた。

岩村昂太(三菱重工相模原ダイナボアーズ)

そこに至るまでの流れはほぼ完璧だった。キックオフ直後から気迫みなぎるコリジョンで戦う姿勢を示すと、開始5分、スクラム起点の連続攻撃で相手防御を揺さぶり、この日がダイナボアーズデビュー戦のCTB 岩下丈一郎がピックアンドゴーでラックの真上をブレイク。外をサポートしたSH岩村昂太が早々に先制トライをマークする。

9分には中央ラックからSOジェームス・グレイソンが放った左への折り返しのキックパスに、NO8ジャクソン・ヘモポが外の死角から走り込んであざやかに2本目のトライを奪取。さらに11分、またも連続攻撃でチャンスを作り、FL佐藤弘樹がタックルを振りほどきながら約40メートルを走りきって中央に飛び込む。その4分後には自陣22メートル線内のピンチの場面で、FBマット・ヴァエガが狙い澄ましたインターセプトから80メートル以上を独走。22分のSOグレイソンのロングPGで、リードは29点まで広がった。

普通ならこの時点で勝負ありの状況。しかし、サンゴリアスはやはり並のチームではなかった。28分、ゴール前でFWが粘り強く近場を前に出続け、LOトレヴァ・ホゼアがタックルを突き抜けてトライを返すと、37分にもゴール前スクラムで猛プッシュをかけてアドバンテージをもぎ取り、右サイドのオーバーラップをWTB尾崎晟也が悠々と仕留めきる。SO高本幹也が難しい角度のコンバージョンを決め、29-14と詰め寄って前半を折り返した。

サイドが入れ替わった後半。風上に立ったサンゴリアスは、交代で入ったSH流大の巧みなリードで一気にギアを上げ、ダイナボアーズを猛追する。

ジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1

【第6節ハイライト動画】三菱重工相模原ダイナボアーズ vs. 東京サンゴリアス

流大(東京サンゴリアス)

47分、ゴールラインドロップアウトのレシーブを起点にチャンスを作り、PR小林賢太が見事なコースどりでラインブレイク。オフロードを受けたFLサム・ケインがポスト左になだれ込む。以降も攻守に厳しくプレッシャーをかけて優位にゲームを進め、61分のPGで5点差に詰め寄ると、63分にはWTB尾崎の突破からSH流がフィニッシュ。SO高本のゴール成功で、31-29とサンゴリアスがついに一歩前に出た。

一気に天秤が傾くかと思われた場面だったが、ダイナボアーズもまた、たくましかった。65分過ぎからフレッシュレッグを次々と投入して推進力を取り戻すと、ペナルティに乗じて相手陣22メートル線内まで前進。モールでゴールラインに迫り、12フェーズにわたる長い連続攻撃を成就させてCTB岩下がインゴールに滑り込む。残り7分で34-31とダイナボアーズがふたたびリードを奪った。

そこからはお互いのプライドがぶつかり合う死闘となる中、この日のクライマックスが訪れたのは83分だった。相手陣ゴール前でのペナルティから同点のPGではなく逆転のトライを狙いに行ったサンゴリアスは、真っ向勝負を挑み続けてじわじわとゴールラインに迫る。プレーが切れれば試合終了となる緊張感の中、21フェーズ目でCTB中野将伍が大外を走り抜けて右コーナーにトライ。土壇場でゲームをひっくり返し、36-34でフルタイムを迎えた。

前節の静岡ブルーレヴズ戦に続き、終了間際のトライで劇的な逆転勝ちを収めたサンゴリアス。相手の気迫に受けに回り、大きく先行を許したのは反省点だが、FB松島幸太朗とCTB尾崎泰雅が体調不良で直前にメンバーから外れるスクランブルの中、29点のビハインドから最後に勝ちきったのは、チームとしての底力の証といえるだろう。序盤戦から過去にないほど激しいクロスゲームが続いているだけに、この勝利は今後の上位争いを勝ち抜く上で大きな意味を持つ一勝となりそうだ。

埼玉パナソニックワイルドナイツ戦の惨敗(21-81)から1週後の試合で力強く立ち直った姿を披露し、金星にあと一歩まで肉薄したダイナボアーズの奮闘も立派だった。この日の勇敢な闘いぶりは、あらためてどの相手にも脅威となる存在になったことを証明するものだった。試合後、善戦に満足することなく悔しさをにじませる選手たちの表情が、チームとしてのスタンダードがまた一段上がったことを物語っていた。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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