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ラグビー コラム 2024年1月18日

リーグトップとの距離は。三重ホンダヒートが埼玉ワイルドナイツに挑戦。NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24第6節交流戦

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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埼玉ワイルドナイツ vs. 三重ホンダヒート

三重ホンダヒートは試練の刻だ。

第6節を迎えたNTTジャパンラグビーリーグワン2023-24のディビジョン1(D1)は、交流戦に突入する。

カンファレンスAで開幕5連敗(12位)のホンダヒートは、1月20日(土)、埼玉・熊谷で、カンファレンスBで5戦全勝(1位)の埼玉パナソニックワイルドナイツに挑む。

開幕前、今季昇格組のホンダヒートは開幕前に所信表明イベントを開催した。

母体企業ホンダの執行役常務が登壇し、元イタリア代表指揮官の名将キアラン・クローリー新HCは「4年後に日本一」の夢を語った。

それは、リーグワンの頂点を目指す、という力強い決意表明だった。

土曜日の相手は、その「頂点」をトップリーグ時代から6度経験しているワイルドナイツだ。トップまでの距離を体感する好機ともいえるだろう。

チームは5連敗中だが、前節の東芝ブレイブルーパス東京戦で、指揮官と主将は手応えを掴んでいた。

ワイルドナイツと同じく連勝街道にいる相手に対し、多彩なアタック。最終盤のトライなど接点でも随所で力強かった。

クローリー新HCは12-40での敗戦後、「私たちとしてはハッピーな部分が増えてきた」「終盤に直線的なプレーで得点を取れたことはポジティブ」と評価。

FL古田凌主将は「試合ごとにフィジカルの部分が良くなり、自分たちのラグビーができている実感もある」と落胆の色はなかった。

3年目を迎えたリーグワンで、いよいよ確信をもって言えることは、昇格組の厳しさ。

昨季は昇格1季目の花園近鉄ライナーズが最下位、三菱重工相模原ダイナボアーズも序盤好調だったが失速し入替戦に回った。

それでもディビジョン1での経験値には大きな財産になるようだ。

昨季入替戦に回ったライナーズだが、ディビジョン2で全勝の浦安D-Rocksに2連勝。ライナーズ前指揮官の水間良武氏は、D1残留決定後、D1での経験の大きさをこう語った。

「(ディビジョン1で戦う事の意味は)非常に大きいですね。ディビジョン2だったら簡単に抜けていたところが抜けないし、簡単に止められていたところが止められない。1対1でも2対1でも止められない事がありました」

「ディビジョン1を体感できたことは、これから自分が何をしなければならないかの指標になります。非常に大事な、大事な1シーズンでしたね」

ホンダヒートには試練だが、国内最高レベルでの経験は飛躍への糧になるはずだ。

 

熊谷へ乗り込むホンダヒートのメンバー23人は発表済み。前節からの先発変更はPR吉岡大貴の1名だ。

FL古田主将はじめ好スローワーのHO李承ヒョ(火に赤赤)、南アフリカ代表の偉丈夫LOフランコ・モスタートらは引き続きスタメン。

ハーフ団は27歳コンビの俊敏SH根塚聖冴、前節に好ランで魅せたSO呉洸太。WTB植村陽彦は前節初トライを決めた急上昇株。復帰した元豪州代表FBトム・バンクスは欠かせぬ得点源だ。

かたやワイルドナイツは盤石の強さを誇る。

第5節終了時の270得点は断トツ1位。77失点も断トツ最小、唯一の2桁だ。今季限りでの引退を表明しているチームレジェンド2人、HO堀江翔太、SH内田啓介のラストシーズンを飾るべく、4強プレーオフへ邁進している。

圧巻はワイルドナイツの「修正力」だ。

綿密なコミュニケーションで問題点を共有し、当意即妙で速やかに課題を解決する。

第4節トヨタヴェルブリッツ戦は前半を8-27で折り返したが、前半課題になった「キックゲーム」「ディフェンスのノミネート」等を後半修正し、鮮やかに逆転勝利。

第5節三菱重工相模原ダイナボアーズ戦では、前節の課題となった「前半」そのものを修正した。

「先週の試合(トヨタV戦)は前後半で多くの違いがあったのですが、そこから序盤に必要にものを確認して『アクション・ファースト』を意識しました」

その結果、ディフェンス・チームのダイナボアーズに対し、前半を48-0と圧倒。

試合後ロビー・ディーンズ監督は「最初の40分間は特別なものがあった」と語り、HO坂手淳史主将は「すごく良い前半でした」と話した。

「全員が繋がり続けてラグビーをすることが基本。それをもう一度思い出して前半からやっていこう、という話をしていました」(HO坂手主将)

 

そんなワイルドナイツの先発メンバーは7人変更。

待望の今季初出場は3人。PRダニエル・ペレズ、HO島根一磨、FB山沢京平。そしてPR藤井大喜、ゲームキャプテンのLOエセイ・ハアンガナ、SH内田啓介、CTBヴィンス・アソと強者が揃う。

先発は約半数が入れ替わった。チームの一貫性は問われるところだろう。

開幕5連勝の首位×開幕5連敗の12位。ホンダヒートの立場の強みは、完全なチャレンジャーとして挑めることだ。ファンは熱い試合を期待している。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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