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帝京大学 vs. 明治大学
第60回を迎えた全国大学ラグビー選手権大会は、1月13日(土)、決勝戦を迎える。2023年度の大学ラグビーの頂点に立つのは、3年連続12回目の優勝を狙う帝京大か、5大会ぶり14回目の優勝を目指す明治大か。明治大は創部100周年の節目でもあり、優勝への想いは例年に増して強い。注目の一戦は国立競技場にて午後3時10分にキックオフされる。
王者・帝京大は、1月2日の準決勝で天理大を22-10で下した。天理大の粘り強いディフェンス、スピーディーな攻撃に苦しみながらも、後半3分、WTB小村真也(3年)のトライで突き放し、真骨頂の強固なディフェンスで天理大の追撃をかわした。奥井章仁(4年)、青木恵斗(3年)ら強いランナーが縦にディフェンスを切り裂くだけでなく、テンポよくボールをWTBまで動かし、ハイパントを織り交ぜてチャンスを作るなど、その攻撃は多彩だった。
一方、明治大は関西王者の京産大の強力スクラムをがっちり受け止め、1年生WTB海老澤琥珀の先制トライ、SO伊藤耕太郎(4年)のトライなどで主導権を握り、着々とスコアした。神鳥裕之監督は「試合を追うごとにまだまだ成長していると実感していますし、今日は自分たちのラグビーを同じ絵で見つつあるかなと」と手ごたえを口にした。
両者が決勝で戦うのは、2021年度の決勝以来。そのときは、27-14で帝京大が勝っている。今シーズンの関東大学対抗戦Aでは、2023年11月19日に対戦し、帝京大が43-11で勝利。お互いに重点を置くスクラムでは帝京大が優位に立った。当然、明大もここは修正して臨むはずだが、スクラムの優劣は勝敗に直結する要素だ。
決勝戦も帝京優位は動かないが、帝京大が誇る鉄壁のディフェンスに対し、明大がいかに素早くボールを動かせるかは見どころだ。ボール争奪戦への激しいプレッシャーの中で、ディフェンスが整う前にボールをリサイクルできるかどうか。2人目のサポートの早さも大事だが、いつ、誰にボールを運ぶか、いかに次の攻撃がしやすい場所でボールをリサイクルできるかどうかも重要になる。
帝京大は、スクラム、ボール争奪戦で圧力をかけ、パワーあるランナーを次々に走り込ませたい。出場メンバーだが、帝京大は準決勝の天理大戦から先発、リザーブともに1名ずつの変更。CTB久木野太一(3年)に代わって大町佳生(2年)、19番はシミオネ・シュミット(4年)に代わってダアンジャロ・アスイ(4年)が入る。PR津村大志(4年)、HO江良颯キャプテン(4年)、PR上杉太郎(4年)のFW第一列ほかFWは不動のメンバーだ。
対する明治大は準決勝の京産大戦と変更なし。CTB廣瀬雄也キャプテン(4年)を軸にバランスの良い布陣になっている。準決勝で負傷退場したFL森山雄太(4年)も先発。FL福田大晟(3年)、NO8木戸大士郎(3年)で帝京大の強力なFW第三列に挑む。準決勝でも活躍したルーキー海老澤、安田昂平(3年)の決定力あるWTBを走らせたい。
見どころは尽きないが、立ち上がりから身体をぶつけ合うコリジョンバトルは観客を沸かせるだろう。ここでいかに前に出て試合を支配できるかは勝敗を分ける大切な要素だが、スクラム、ラインアウトを攻めやすい場所で得るために、効果的なキックで地域を進め、簡単に相手にボールを渡さないように、ミス、反則を減らしたい。
帝京大の江良キャプテンは、準決勝(対天理大)の後、次のように語った。「課題が多く見つかった試合でした。決勝前にこのような試合ができたことを天理大学さんに感謝します。相馬監督、岩出先生(顧問)はじめとして、ハーフタイムに『なぜ、体を張らない?』『誰のために戦っているのか?仲間のために体を張り続けるプレーヤーになろう』という話をしていただき、もう一度その原点にしっかり戻れました」。原点を思い出した帝京大と、100周年での日本一という二度とないチャンスに燃える明大。胸躍る戦いを期待したい。
村上 晃一
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度、西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。
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