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ダービーマッチ。元々はフットボールで同じ地域に本拠を置くチーム同士の戦いを意味する言葉だ。転じて、歴史的背景や社会的立場でライバル関係にあるチームの対戦にも用いられるようになった。
日本のラグビー界でも複数のダービーマッチが定着しているが、近年おなじみとなっているのが横浜キヤノンイーグルスとリコーブラックラムズ東京の「複写機ダービー」だ。同じ光学機器メーカーのチームとしてトップリーグ時代から強いライバル意識を有し、数々の熱戦が繰り広げられてきた。赤と黒、ジャージーの色まで対照的な両者の今季最初の激突は、1月16日にイーグルスのホストスタジアム、ニッパツ三ツ沢球技場で14時10分にキックオフを迎える。
第4節終了時のポイントテーブルをチェックすると、開幕戦黒星スタートからの3連勝で勝ち点13の4位につけるイーグルスに対し、ブラックラムズは開幕3連敗から前節の花園近鉄ライナーズ戦でようやく初白星(41-14)を挙げ、勝ち点6で現在10位。昨季クラブ初のトップ4入りを果たしたイーグルスとしては、2年連続のプレーオフ進出に向け負けられない一戦であり、前年7位のブラックラムズにとっても、上位へ浮上するために何としても白星がほしい状況だ。今回もお互いの意地が激しくぶつかり合うタイトな80分になるだろう。
キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを見ていこう。ホストのイーグルスは、前節の三菱重工相模原ダイナボアーズ戦(40-35)から先発8人を変更と、大幅にメンバーを入れ替えた。FWで残ったのはLOマシュー・フィリップとFL嶋田直人だけで、フロントローはPR安昌豪、HO庭井祐輔、PR杉本達郎という顔ぶれ。左FLにはコーバス・ファンダイクが2試合ぶりに戻った。LOマックス・ダグラスとNO8アマナキ・レレイ・マフィは今季初のスターターとなる。
BKではSHファフ・デクラークとキャプテンのCTB梶村祐介が外れ、代わってSHに山菅一史、CTBに田畑凌がイン。不動の司令塔SO田村優に、前節2トライずつを挙げるなど好調のヴィリアメ・タカヤワとイノケ・ブルアの両WTB、CTBジェシー・クリエルとFB小倉順平はこれで3試合連続のスタメン出場だ。なおゲームキャプテンはHO庭井が務める。
一方のブラックラムズは、前節快勝の流れを意識してか、15人すべて同じスタメンをそろえてきた。FW第1列はPR谷口祐一郎、HO佐藤康、PRパディー・ライアンの3人で、両LOはマイケル・ストーバーグとロトアヘアポヒヴァ大和のペア。バックローは左FLにアマト・ファカタヴァ、右FLにゲーム主将の松橋周平が入り、ネイサン・ヒューズが背番号8を背負う。
HBはベテランのSH高橋敏也に、前節リーグワンデビューを果たした1年目のSO中楠一期という國學院久我山出身のコンビ。TB陣は左からWTBネタニ・ヴァカヤリア、CTB栗原由太、CTBロトアヘアアマナキ大洋、FB西川大輔という並びで、FBアイザック・ルーカスはこれで5試合連続の先発となる。
両チームのFW先発8人の平均身長と体重を比較すると、186.9センチ、107.9キロのイーグルスに対し、ブラックラムズは188.0センチ、111.9キロ。身長はさほど大きな違いはないものの、体重ではひとりあたり4キロもブラックラムズが重いことになる。むろん重いほうが優位という単純なものではないが、ブラックラムズとしては看板のFWを押し出して主導権を握りたいという狙いはあるだろう。タフなハードワーカーがそろうイーグルスのFWとのバトルは、このゲームのひとつの見どころとなりそうだ。
過去のリーグ戦での通算対戦成績を振り返ると、ブラックラムズが5勝4敗で勝ち越しているが、ここ3シーズンはイーグルスが3連勝と優勢。全9試合でもっともスコアが開いたのは昨季の21点差(34-13)で、残る8試合はいずれも20点差以内、さらにうち4試合が5点差点差以内の僅差での決着となっている。好ゲーム必至のライバル対決の第1ラウンド、注目だ。
直江 光信
1975年生まれ、熊本県出身。県立熊本高校を経て、早稲田大学商学部卒業。熊本高でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。早大時代はGWラグビークラブ所属。現役時代のポジションはCTB。著書に『早稲田ラグビー 進化への闘争』(講談社)。ラグビーを中心にフリーランスの記者として長く活動し、2024年2月からラグビーマガジンの編集長。
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