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ラグビー コラム 2024年1月9日

【ハイライト動画あり】華麗なる逆転勝ち!埼玉ワイルドナイツがトヨタヴェルブリッツから後半5連続トライ。NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24第4節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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ジャック・コーネルセン( 埼玉ワイルドナイツ)

前後半で試合展開が一変した。

「前半は強みである情熱やエナジーを出して『土俵に引き込もう』と話していました。相手のエナジーを奪うことができ、前半は素晴らしいパフォーマンスができました」(トヨタヴェルブリッツ、NO8姫野和樹主将)

NTTジャパンラグビーリーグワン2023-24のディビジョン1(D1)第4節。1月6日(土)に埼玉・熊谷で開催された大型マッチは「埼玉ワイルドナイツ×トヨタヴェルブリッツ」。

序盤は2勝1敗(6位)のヴェルブリッツが圧倒する。

NZ代表コーチとしてW杯連覇を経験したスティーブ・ハンセンが「総監督」の立場となったヴェルブリッツ。高度なスキルをハイテンポで繰り出しモメンタムを生む姿は、NZ代表を彷彿させた。

まずはラック周辺をハイテンポで急襲。ワイルドナイツはリアクションに次ぐリアクション、という対応を強いられ「受けてしまった」(ワイルドナイツHO坂手淳史主将)。

するとラック周辺から一気に外展開。前半3分にWTBヴィリアメ・ツイドラキが先制トライ。ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督は周到な準備を感じた。

「相手の前半の入りをみて、本当に綿密な計画を立ててきたなと感じました。効果的な試合をしていました」(ワイルドナイツ、ディーンズ監督)

前半のワイルドナイツはキックゲームが誤算だった。

キック処理のミス、ペナルティのノータッチなどが続き、敵陣侵入に失敗する。ここから前半16分にもグラバーキックをWTBツイドラキが押さられ、2連続トライを獲られた。

この日ヴェルブリッツはお家芸のフォワード戦でも奮闘していた。1トライずつを取り合っていた前半33分には相手のラインアウトモールを防ぎ切る。ゴール前の粘りもみせた。

「リーグ最強の盾」ワイルドナイツは、前半34分に日本代表PR稲垣啓太が流石の2連続ジャッカル。失点を防いだかにみえたが、ふたたびキックゲームから劣勢に。

ボーデン・バレット(トヨタヴェルブリッツ)

ヴェルブリッツ、前半チーム4本目の主役は新加入のNZ代表、SOボーデン・バレット

相手の日本代表SO松田力也のハイパントを好捕すると、得点感覚に優れるバレットはキャッチの直後、WTBツイドラキに巧みなオフロードパス。攻守交代直後の一瞬を活かし、前半40分の4トライ目を演出した。

開幕3連勝で首位に立つワイルドナイツに対し、ヴェルブリッツが前半40分時点で22点のリード(27-5)。

ところが、ここから「逆転のワイルドナイツ」が覚醒する。

2023年W杯日本代表は最多11人。歴戦の猛者が多いワイルドナイツはハーフタイムで修正点を共有した。

「前半はキック処理、タックルで受けに回ってゲームが後手後手に進んでしまいました」(ワイルドナイツ、HO坂手主将)

まずキック処理を改善するため、安定感抜群の野口竜司をフルバックとして後半開始から投入する。

そして受けに回ったタックルについて。

「ディフェンスのノミネートが出来ておらず、そこで差し込まれた部分が多々ありました。そこ(ノミネート)が修正できれば良いタックルができました」(ワイルドナイツ、HO坂手主将)

前半42分にPGを決め、ビハインドを19点(8-27)として後半に入ったワイルドナイツ。

後半3分には途中出場の野口竜司が相手ハイパントを見事に捕球。早くもキックゲームにおける攻防の改善がみられた。

ディフェンスにおいても、ドミネートしようとするヴェルブリッツを押し返した。しかしペースだけは前半同様に前掛かりのヴェルブリッツ。次第に苦しくなり連携ミスが起こり始める。

堀江翔太(埼玉ワイルドナイツ)

そして後半6分、ワイルドナイツは今季限りでの引退を発表している堀江翔太を投入。

堀江のファーストプレーは、敵陣チャンスでのスローイングという難しい局面だったが、ここで好スロー。その後SH小山大輝が右隅にポジショニングしたNO8ジャック・コーネルセンにロングパスを送り、後半1本目のトライを奪った。

ここからワイルドナイツは4連続トライ。

防御では前半再三ロングゲインを許していた日本代表CTBシオサイア・フィフィタを確実に止める。「リーグ最強の盾」の面目躍如だった。

ジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1

【第4節ハイライト動画】埼玉ワイルドナイツ vs. トヨタヴェルブリッツ

するとワイルドナイツは改善されたディフェンスから後半2トライ目。

相手SOバレットが精度を欠くオフロードパス。これがイーブンボールとなり、反応したWTB長田智希がドリブルから独走トライ。後半12分に5点差(22-27)とした。

しかしまだ5点のリードがあるヴェルブリッツは、地力をみせた。

WTBツイドラキらがHO堀江翔太のトライを防ぐ、会心のトライセーブもあった。後半22分にもモールを防いでパイルアップ。スクラムでも互角以上に奮戦した。

しかし後半25分にSH小山のサポートからのトライ&コンバージョン成功で勝ち越すと、痛恨は後半31分、SHアーロン・スミスのパスだった。

ヴェルブリッツはSHスミスがハイパント攻撃とみせて、ショートサイドへパスを送る。これを日本代表CTBディラン・ライリーが読んでいた。

ワイルドナイツのCTBライリーが、要所でリードを広げるインターセプト・トライ。さらに後半35分に大西樹がキックパスを仕留め、後半5連続トライを決め、勝負は決した。

最終スコアは「43対27」だが、後半スコアは「35対0」と圧倒した。ヴェルブリッツは後半ノートライに終わり、今季2敗目を喫した。

2勝2敗で7位に転落したヴェルブリッツ。敗戦後にベン・ヘリングHCは反省を口にした。

「前半は最も良い形のプレーができ、プランを遂行できました。前半のパフォーマンスを繋げられなくて残念です。最後の20分から多くの学びがあるので活かしたい」

ヴェルブリッツのNO8姫野主将らは当然ながら「相手かならずやり返してくることは分かっていた」。しかし「地力のなさが出てしまった」と率直に不足を認めた。

体力のマネジメントで修正点があったといい、「後半になってから自陣でプレーして疲労した。そこで修正する能力がなかったことは僕の責任」(ヴェルブリッツ、NO8姫野主将)とも語った。

同じカンファレンスBのワイルドナイツとは第14節で再戦する。勝利へ向けたポイントとして、NO8姫野主将は「やはり一貫性です」と話した。

「波を作らずにやるべきこと、プロセスにフォーカスすることだと思います。毎回の練習、日々の生活もそうですが、そこから一貫性を保ち続けることが重要になります。また戦うチャンスがあるので、この悔しさを忘れずにやり続けることが重要です」

本拠地・熊谷で開幕4連勝、2024年初陣で白星を飾ったワイルドナイツのディーンズ監督は「素晴らしいラグビーでした。後半モメンタムを取り返した」とチームを讃えた。

後半開始から野口を投入した意図については「素晴らしい選手。フルバックをできる選手がいたことが良いこと。チーム内に柔軟性があることが我々の強み」と誇った。

HO坂手主将は、後半開始からの10分間が重要だったと振り返った。

「ハーフタイムで修正して、後半(開始)10分の精度で自信が生まれ、勢いに乗れました」

「『マッド』(ワイルドナイツにおけるリザーブ陣の呼称)のメンバーが違いを作ってくれました。竜二(野口)もそうですし、イツキ(大西)もアグレッシブに動いてくれました」

ワイルドナイツが後半修正して逆襲してくることは誰もが理解している。それでも止められない強さを誇るリーグ初代王者。次戦は、着実に地力をつけている2勝2敗の三菱重工相模原ダイナボアーズが相手だ。

一方、敗れはしたが躍動感あるアタックで魅了したヴェルブリッツ。次戦は4敗(11位)の花園近鉄ライナーズとのビジターゲームが待っている。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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