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100キャップを達成した内田啓介
12月9日(土)に開幕した「NTTジャパンラグビー リーグワン2023-24」。ディビジョン1は第3節を迎え、23日(土)は埼玉・熊谷スポーツ文化公園ラグビー場で、昨季準優勝の埼玉パナソニックワイルドナイツが、7位のリコーブラックラムズ東京を迎えた。
王者奪還を狙うワイルドナイツは、開幕から2連勝。2試合で102点を挙げて、勝ち点10で首位に立っている。ロビー・ディーンズ監督は、前節からFW(フォワード)3名、BK(バックス)2名の計5名を変更した。
FWはキャプテンのHO(フッカー)坂手淳史、PR(プロップ)稲垣啓太、ヴァル アサエリ愛、FL(フランカー)福井翔大、NO8(ナンバーエイト)ジャック・コーネルセンとワールドカップの日本代表メンバー5人が先発した。
BKはSH(スクラムハーフ)内田啓介とSO(スタンドオフ)松田力也のハーフ団と、前節2トライのCTB(センター)ディラン・ライリー、WTB(ウイング)長田智希と3人のワールドカップ日本代表が先発し、南アフリカ代表連覇に貢献したCTBダミアン・デアリエンデもスターターとなった。控えには日本代表HO堀江翔太、オーストラリア代表WTBマリカ・コロインベテが入った。
埼玉パナソニックワイルドナイツvs.リコーブラックラムズ東京
対するブラックラムズは開幕戦、先週と続けて僅差で落としてしまい、2試合を終えて勝ち点1で9位につけている。ブラックラムズのピーター・ヒューワットHC(ヘッドコーチ)は前節からFW5名、BK3名の計8名と大きくメンバーを入れ替えた。
FWの第1列はキャプテンのHO武井日向が欠場し、佐藤康が先発に上がった。LOはベテランの柳川大樹がベンチに下がり、マイケル・ストーバーグとジョシュ・グッドヒューが先発した。FLは日本代表アマト・ファカタヴァがメンバーから外れ、ジェイコブ・スキーンがバイスキャプテンの松橋周平とコンビを組んだ。
BKはゲームキャプテンを務めるSH山本昌太、SOマット・マッガーンのハーフ団は変わらず、WTBネタニ・ヴァカヤリア、オーストラリア出身のFBアイザック・ルーカスとランナーの2人が先発した。
ジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1
【ハイライト動画】第3節 埼玉ワイルドナイツ vs. ブラックラムズ東京| 内田啓介、柳川大樹が100キャップ
試合は午後0:00に6825人の観客が見守る中、ブラックラムズボールでキックオフされた。序盤は互いにキックを蹴り合い、なかなかゲームは動かなかった。
先制したのはホストのワイルドナイツだった。前半10分、相手の反則から得た、ボール前のラインアウトからモールを形成。押し込んでキャプテンHO坂手が左中間にトライを挙げて5-0とする。
その後、ブラックラムズの時間帯になり、24分、ゴール前でPG(ペナルティゴール)のチャンスを得て、SOマッガーンが決め、3-5とする。26分には、ワイルドナイツがゴール前ラインアウトの機会を得て、HO坂手が再びトライ。さらに34分にはSO松田が中央からDG(ドロップゴール)を沈めて、15-3とリードを広げた。
主導権を握ったワイルドナイツ、39分にはラインアウトモールからボールを動かし、SO松田、FB竹山晃暉、WTB野口竜司とつないでトライ。さらにロスタイム、松田のハイパントから崩し、最後は松田がアウトサイドでキックパスを蹴り、ワンバウンドしたボールを野口がキャッチ。2つ目のトライを挙げて、25-3とリードして前半を折り返した。
後半の序盤は再び拮抗した展開となったが、リードしているワイルドナイツは10分、SO松田がラインブレイクし、PR稲垣、後半から出場のHO堀江とつなぎ、堀江がロングパスを見せ、最後は右中間にWTB長田がトライを挙げて32-3とした。13分には、ブラックラムズも反撃。WTBヴァカヤリアがラインブレイクし、最後はフォローしたFBルーカスが中央にトライを挙げて10-32とした。
しかし、最後までワイルドナイツペースは変わらず、29分にはモールからHO堀江がトライ。34分には自陣からボールを展開し、CTBデアリエンデがラインブレイク。最後はフォローしたSH内田がトライを挙げ、44-10として勝負を決めた。
37分、意地を見せたいブラックラムズは、FBルーカスが抜け出し、WTBヴァカヤリアがトライを挙げたが、結局ワイルドナイツが44-17で勝利し、3トライ差以上の勝利で勝ち点5を得て、開幕3連勝を飾った。
POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には、2トライを挙げたワイルドナイツWTB野口が選ばれた。この試合でワイルドナイツのSH内田啓介とブラックラムズのLO柳川のベテラン2人がトップリーグからの通算100キャップを達成した。
ワイルドナイツのSH内田は「入団してから今までいろんな選手のメモリアルゲームを見てきたが、まさか自分が達成できると思っていなかったのでうれしい。試合前に監督から『今、自分の身の回りにいる人たち全てに感謝をしてください』という言葉を頂いて、今それを噛み締めています」。
「僕も今シーズンを持って引退することを決めている。まだ、シーズンが始まったばっかりだが、暖かい目で見守ってくれればと思う」と話し、HO堀江に続いて今季限りでの引退を表明した。また、ブラックラムズのLO柳川は「2011年に初キャップを取って、今年で100キャップ取ることができたのは皆さんの応援のおかげです」とコメントした。
セットピースで苦戦したブラックラムズ東京
開幕3連敗となってしまったブラックラムズのヒューワットHCは、「柳川と内田の100キャップおめでとう。100キャップは本当に特別。ワイルドナイツはいいチームなので、セットピースのところで苦労して、最初のディシプリンも良くなかった。ゲインを許して結構簡単にとられてしまうことが多かった」と肩を落とした。ブラックラムズとしては前半、中盤での反則が多く、相手に簡単にチャンスを与えてしまったことが響いた。
ゲームキャプテンを務めたSH山本は「結果はすごく残念。自分たちがどういうチームか示そうと試合に臨んだが、ワイルドナイツのようなチームにチャンスを何度も与えると、こういう結果になる。ただ、部分的には自分たちらしさが出た部分もあったので、また次の試合に向けてリフレッシュしていい準備をしたい」と前を向いた。
ワイルドナイツのディーンズ監督は「内田の100キャップ、ライリーの50キャップはとても素晴らしいこと。野口は左右の両方で蹴ることができるし、WTBとしてのプレーも相応しい」と内田、そしてPOMの野口を称えた。2トライを挙げたキャプテンのHO坂手は「堀江さんと、内田さんの2人が今季が最後になるので、いい結果を出したい」とより気を引き締めていた。
開幕3連勝で勝ち点を15に伸ばし、首位をキープしたワイルドナイツは、年明けの1月6日(土)は、ホストの熊谷ラグビー場に、今季大型補強を敢行したトヨタヴェルブリッツを迎える。3連敗のブラックラムズも1月6日にホストゲームを開催し、東京・江東区夢の島競技場に花園近鉄ライナーズを迎えて今季初白星を狙う。
文:斉藤健仁/Photo by Noriko ABE
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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