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ラグビー コラム 2023年12月21日

激闘必至の対抗戦勢対決。明治大の連勝か、筑波大の雪辱か。ラグビー全国大学選手権準々決勝展望

ラグビーレポート by 直江 光信
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筑波大学 vs. 明治大学

いまや大学選手権の名物カードとなりつつある準々決勝での関東大学対抗戦勢対決。60回の節目を迎えた今大会で激突するのは、対抗戦2位の明治大と同4位の筑波大だ(12月23日11時30分キックオフ@秩父宮ラグビー場)。

10月1日の対抗戦での対戦時は明治大が40-21で勝利を収めたこのカードだが、後半10分までは筑波大が先行するなど、スコアの印象以上に内容は拮抗していた。明治大にすれば昨季同じ2位枠からの出場で早稲田大に準々決勝で敗れており、今回は相当な意気込みでこの試合に臨んでくるはず。反対に筑波大は前回大会で5位枠から天理大東海大を破ってベスト4に進出しており、いいイメージを持って挑めるだろう。好ゲームになる条件はそろっている。

筑波大は6日前に3回戦を戦い、関東大学リーグ戦2位の流通経済大を一進一退の展開の末に33-27で振り切った。ルーキーのFB増山将が鋭い走りで相手防御のわずかな穴を見逃さず2トライを挙げ、SO楢本幹志朗はコンバージョンとPG合わせて7本のキックをすべて成功。留学生を軸にした流通経済大のパワフルな波状攻撃に突破を許すシーンもあったが、要所できっちりスコアを刻む集中力と遂行力は、対抗戦でタイトなゲームを戦ってきたたくましさを感じさせた。攻守ともより隙のない明治大が相手となる今週は、流通経済大戦で劣勢を強いられたスクラムの対策と、ディフェンスで厳しくプレッシャーをかけ続けることが、勝利へのミッションとなる。

一方の明治大は準々決勝からの登場で、12月3日の早稲田大戦以来3週ぶりの実戦。試合間隔が開いた状況で難敵とぶつかるだけに、立ち上がりの時間帯でいかにスムーズに試合に入れるかがポイントになりそうだ。早稲田大戦は前半ほぼ完璧に近い内容で一時41-3までリードを広げながら、足が止まり始めた後半20分以降に猛追を許し、38失点を喫する大味な内容だった。レギュラーシーズンとは別次元の重圧がかかるノックアウトステージの戦いで、80分を通してしっかりとパフォーマンスを発揮し、ゲームを支配することが、この先勝ち進んでいくための重要なテーマといえる。

 

発表された先発メンバーをチェックすると、筑波大は流通経済大戦からBKに大きな変更があった。SO楢本が欠場となり、濱島海がCTBから10番にシフト。替わって12番には医学部2年生の大内田陽冬が入った。またアウトサイドでは前週FBの増山が14番に上がり、4年生の高田賢臣が15番を務める。FWはリザーブまで含め3回戦とすべて同じ顔ぶれだ。

 

一方の明治大の早稲田大戦からの変更は1人だけ。LO佐藤大地が2試合ぶりのスターター復帰で5番に入り、亀井茜風はリザーブに回った。そのほかの14人は3週前に続きスタメンでの出場となる。また11月中旬に負ったケガからの復帰を目指すCTB廣瀬雄也キャプテンは、この試合もベンチからチームメイトをサポートする。

過去の両校の対戦では常にFW戦が焦点となっており、今回も前8人のバトル、特にセットプレーのせめぎ合いは大きな見どころになるだろう。一人平均のサイズを比較すると、183.4センチ、101.1キロの筑波大に対し、明治大は180.5センチ、102.5キロ。突出して大きな違いがあるわけではないが、スクラムでは明治大が厳しく圧力をかけてくることが予想される。攻守の起点となるプレーで、ノックアウトステージではより試合の流れに直結しやすい要素だけに、その攻防は熱を帯びそうだ。また中5日で迎える筑波大に対し明治大は中3週と準備期間に差があり、コンディショニングと実戦感覚がどの程度ゲームに影響するかという点も興味深い。

なお両校はここ10年で対抗戦、大学選手権合わせて11回対戦しており、明治大が10勝1敗と大きく勝ち越している。ただ筑波大の1勝は2014年度の大学選手権のセカンドステージ(プールマッチ/43-7)で挙げたもので、勢いに乗った筑波大はその後同校2度目となる決勝進出を果たした。お互いにすべてをかけて臨む、負ければ終わりの決戦。今回も激闘必至だ。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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