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ラグビー コラム 2023年12月18日

【ハイライト動画あり】コベルコ神戸スティーラーズが“逆境力”発揮。静岡ブルーレヴズは伝家の宝刀スクラムが炸裂。ジャパンラグビーリーグワン2023-24第2節

ラグビーレポート by 多羅 正崇
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開幕白星スタートのコベルコ神戸スティーラーズが、12月17日、1敗の静岡ブルーレヴズと敵地で激突。

この試合で日本代表FB山中亮平はリーグ戦通算100試合出場を達成。前身トップリーグの2013年九州電力戦から10年で偉業を成し遂げた。

「前半は丁寧にやり切ることが出来てチャンスを作れました」

そう語ったのは、スティーラーズ3季ぶり復帰のNZ代表LOブロディ・レタリックだった。

スティーラーズは序盤にペナルティゴール(PG)で3点を先取すると、開幕戦同様、意欲的にワイド展開。攻勢を強めると、11分にはHO松岡賢太がモールを仕留め、8点リードを得た。

ブルーレヴズも伝家の宝刀であるスクラムで反撃開始。

フォワード合計体重は相手より40キロも軽い837キロ。それでも8人一体の仕掛けからペナルティを奪い、前半17分のPG加点に繋げた。

しかし、その直後だった。

ブルーレヴズはリスタートのキックオフボールを捕球できず。後方に反れた楕円球をスティーラーズの日本代表CTB李承信が拾い、一瞬で独走トライを奪った。ブルーレヴズの藤井雄一郎監督は試合後に悔やんだ。

「先週は得点を獲られすぎた(43失点)ので今週はディフェンスからやり直し、今日ディフェンスはかなり良かったのですが、キックオフからのソフト・モーメントで獲られました」

エアポケットのような一瞬から、呆気なく失点。SOブリン・ガットランドのコンバージョンも決まり、得点差は「12」(3-15)まで広がった。

さらに2戦先発のニュジーランド代表FLアーディー・サベアがジャッカル。SOガットランドのキック「50:22」が飛び出すなど、主導権はスティーラーズだったが――

「前半は圧倒できましたが、その圧倒していた内容を点数に変えられませんでした」(スティーラーズ、デイブ・レニーHC)

ブルーレヴズの激しく、粘り強いタックルが、スティーラーズのミスを誘った。LO大戸裕矢が好タックル。自陣守備のピンチでノックオンを誘発した。

ジャパンラグビー リーグワン2023-24 ディビジョン1

【第2節ハイライト動画】静岡ブルーレヴズ vs. コベルコ神戸スティーラーズ

そして前半23分にはCTBヴィリアミ・タヒトゥアが、突破した相手に手を伸ばす執念のディフェンス。ここからWTBマロ・ツイタマのターンオーバーが生まれ、ブルーレヴズが左隅から独走トライ。7点差(8-15)に詰め寄った。

スティーラーズは前半33分に相手主将(FLクワッガ・スミス)がラックで手を使ったとしてシンビンとなり、数的優位となった。

ところが相手主将がいない10分間に得点できず。後半スコアだけのスコアについても「12-18」で負けるなど、後半は劣勢の場面が目立った。

大きな理由の一つはスクラムだ。

「ブルーレヴズさんは昨シーズン、スクラムで最もペナルティを奪っているチームで、スクラムのバトルは難しくなる事は分かっていました」(LOレタリック共同主将)

警戒はしていたが、それでもプレッシャーを受けた。スティーラーズの前半ペナルティは3回。後半はスクラムを中心にペナルティ11回と大幅に増えた。

スティーラーズが10点リード(18-8)の後半8分だった。

自陣ゴール前スクラム。ここで重圧を受けてターンオーバーを許す。直後のスクラムで、プッシュ直後に戻ってきたFLスミス主将が鋭いステップからインゴールへ。

スティーラーズはスクラム起点に3点差(15-18)に迫られる。さらに後半20分にはブルーレヴズ新加入のCTBチャールズ・ピウタウが右隅に逆転トライ。スコアをひっくり返された。

さらにスクラム劣勢からPG加点も許し、ブルーレヴズのリードは5点(18-23)に広がる。モメンタム(勢い)は相手にある。残る試合時間は15分だ。

が、ここから今季スティーラーズは地力を発揮した。

まず直前にスローフォワードがあったCTBマイケル・リトルが、ミスを取り返す会心のジャッカル。敵陣に入ると、CTBリトルがゴール前のゲインライン・バトルに勝ち、同点トライを奪う活躍。

相手のPG成功でふたたび3点リードを奪われたスティーラーズだが、今度は19年W杯日本代表のPR中島イシレリが力強いキャリー。

直後、左右に広がった守備網に気付いたのはSH日和佐篤。チーム地元・兵庫県出身の36歳、元日本代表のベテランがラック脇から突破し、フォローしていた24歳のWTB松永貫汰へ。

ここで奪ったトライ&ゴールによる虎の子の4点を、敵地で守り切った。

開幕戦の試合後、LOレタリック共同主将は「自分たちにとってチャレンジングになってくるのは相手にも流れがある時」と語り、逆境にこそ力を発揮することの重要性を強調していた。

ラスト10分間で逆転し、30-26で接戦を制したスティーラーズ。チームの“逆境力”に自信を深める2勝目となった。

「後半はモメンタムを失った状況でしたが、チームは良いキャラクターをみせてくれました。後半に追いかける展開でファイトしてくれた点は良かったです」(スティーラーズ、レニーHC)

2連敗を喫したブルーレヴズだが、武器のスクラム、粘り強い守備などでは力を発揮した。

「前半は若干アグレッシブさに欠けているように思えたので、後半は最初の1秒からエナジーを出していこうと。それが上手くいき、インパクトで入った選手も良かったです」

「基本的なスキルを見つめ直して、小さなミス、反則など、自分たちで直せることをしっかりやっていきたいと思います」(ブルーレヴズ、藤井監督)

「今日はソフト・モーメントで簡単なトライを獲られました。そこを修正することで来週良い試合ができるのではと思います」(ブルーレヴズ、FLスミス主将)

新体制後初勝利を狙うブルーレヴズは第3節、1勝1敗の昨季王者・クボタスピアーズ船橋・東京ベイと激突する。

そして開幕2連勝を飾ったスティーラーズ。

次節は、東京サンゴリアスを破って2連勝の東芝ブレイブルーパス東京を地元神戸に迎える。全国社会人大会時代から覇を競ってきた名門対決。リーグ序盤のヤマ場がやってきた。

文:多羅 正崇
多羅正崇

多羅 正崇

スポーツジャーナリスト。法政二高-法政大学でラグビー部に所属し、大学1年時にスタンドオフとしてU19日本代表候補に選出。法政大学大学院日本文学専攻卒。「Number」「ジェイ・スポーツ」「ラグビーマガジン」等に記事を寄稿.。スポーツにおけるハラスメントゼロを目的とした一般社団法人「スポーツハラスメントZERO協会」で理事を務める。

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