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ラグビー コラム 2023年12月15日

3年前はドロー決着の因縁のカード。再戦の行方は…。ラグビー全国大学選手権3回戦、流通経済大×筑波大展望

ラグビーレポート by 直江 光信
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流通経済大学 vs. 筑波大学

11月19日に開幕した2023年度の大学選手権は、いよいよ今週末に行われる3回戦から関東大学対抗戦、関東大学リーグ戦、関西学生リーグの代表校が登場する。タフなリーグを勝ち抜いて最終決戦に進んできた実力者の激突は、これまでの戦いから強度と緊張感がもう一段上がる熾烈なバトルになるだろう。その火蓋を切るのが、12月17日の11時30分に秩父宮ラグビー場でキックオフされる流通経済大筑波大戦だ。

2大会連続23回目の出場となる流通経済大はこの秋、関東大学リーグ戦でタイトな上位争いを繰り広げた。全勝対決となった最終節の東海大戦に31-34と競り負け優勝は逃したものの、15点ビハインドで迎えた後半15分以降に3トライを挙げて3点差まで詰め寄った戦いぶりは、今季のチームの可能性を感じさせるものだった。「ダイナミック・ラグビー」のスローガンのもと、大胆にボールを動かして打開力あるランナーを存分に走らせるアタックは、どの相手からでもトライを取りきれるポテンシャルを秘める。

一方これが2大会連続25回目の出場の筑波大は、強豪ひしめく関東大学対抗戦で今季も確かな存在感を示した。最終的には4勝3敗の4位という成績だったが、初戦で慶應義塾大に21-18と競り勝ち、3位早稲田大にも35-38と肉薄。21-40で敗れた明治大戦も、後半15分過ぎまで21-21の白熱した内容だった。キャプテンのNO8谷山隼大ら要となるポジションに学生屈指の才能を擁し、焦点を定めたゲームでビッグパフォーマンスを発揮するチームだけに、ノックアウトステージでは楽しみな存在になる。

 

キックオフ48時間前に発表された登録メンバーを見ていこう。これが3週ぶりのゲームとなる流通経済大学は、11月26日の東海大との最終戦とほぼ同じ布陣となった。変更は左LOの上田健太と13番のアンドリュー・ヘイウォードの2人。當眞寮、アポロサ・デレナラギの両WTBにCTB杉崎晴人とBKラインには決め手を持つアタッカーがそろっており、非凡な突破力を誇るヘイウォードが入ることでどのような変化が起こるか注目される。

 

対する筑波大は2週前の立教大戦のスターティングメンバーから4人を入れ替えた。FWは両PRが大塚椋生と田中希門に替わり、ラインアウトリーダーの横溝昂大ショーンが6番に復帰。BKでは大ケガから立教大戦でカムバックを遂げたスピードスターのWTB大畑亮太が、11番で久々に先発する。東海大仰星の後輩であるFB増山将、CTB飯岡建人の大物ルーキー2人と合わせてアウトサイドの決定力はさらにスケールアップした印象で、3人がどのようなコンビネーションを見せるか興味深い。

互いに自分たちの形で攻めればスコアできる力を有するだけに、ゲームの見どころとしては攻守の起点であるセットプレーの攻防が大きなポイントになるだろう。FW先発8人の平均を比較すると、身長180.4センチ、体重108.0キロの流通経済大学に対し、筑波大学は同183.4センチ、101.1キロ。一人平均で約7キロ重い流通経済大はスクラムで優位に立ち、相手の持ち味を封じつつ自分たちの強みを前面に押し出す流れに持ち込みたいところだ。逆に高さで上回る筑波大は得意のラインアウトでプレッシャーをかけ、相手の勢いがつく前に球の出どころを抑えられれば、理想的な展開になる。

ちなみに両校は3年前の第57回大会でも同じ秩父宮での3回戦で対戦しており、その時は19-19の引き分けの末に抽選で流通経済大が次戦への出場権を手にしている。今回の登録選手で当時メンバー表に名を連ねていたのは、流通経済大がFL篠澤輝とSH武井陽昌の2人(いずれもリザーブ)、筑波大はFL梁川賢吉ひとり(先発)。それぞれ大幅に顔ぶれは変わったが、同じ茨城県にキャンパスがあるチームということもあり、再戦を意識する部分はあるだろう。

ここからはすべての試合が負ければ終わりの決戦だ。どんな結末を迎えるにせよ、お互いフルタイムの瞬間に力を出し尽くしたといいきれるゲームになることを願いたい。

文:直江 光信

直江 光信

スポーツライター。1975年熊本市生まれ。熊本高校→早稲田大学卒。熊本高校でラグビーを始め、3年時には花園に出場した。著書に「早稲田ラグビー 進化への闘争」(講談社)。現在、ラグビーマガジンを中心にフリーランスの記者として活動している。

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