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トヨタヴェルブリッツvs.リコーブラックラムズ東京
3シーズン目を迎える「NTTジャパンラグビー リーグワン 2023-24」がいよいよ開幕した。12月9日(土)10日(日)、ディビジョン1の第1節6試合が行われ、9日、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場では、カンファレンスBに所属する今季大型補強をした6位のトヨタヴェルブリッツと、昨季7位のリコーブラックラムズ東京が激突した。
ワールドカップイヤーの開幕戦ということで、パロマ瑞穂ラグビー場はチケットは完売となり、トップリーグ時代も含めて最多となる、9059人の観客が集った。
優勝を目指すヴェルブリッツは、日本代表主将を務めたFL(フランカー)姫野和樹が今季も引き続きスキッパーを務め、ワールドカップ連覇を達成した南アフリカ代表のNO8(ナンバーエイト)ピーターステフ・デュトイに加え、今季はオールブラックスからSH(スクラムハーフ)アーロン・スミス、SO(スタンドオフ)ボーデン・バレットと強力なハーフ団が加わり、大きな注目を集めている。
両チームのスタメン
一方、トップ4を目指すブラックラムズは、昨季に続いてHO(フッカー)武井日向がキャプテンを務めて、ワールドカップで大ブレイクした日本代表FLアマト・ファカタヴァ、今季からカテゴリーAとなったSOマット・マッガーン、FB(フルバック)アイザック・ルーカスが攻撃を引っ張る。
また、ヴェルブリッツの元日本代表FLウィリアム・トゥポウ、埼玉パナソニックワイルドナイツから今季加入したブラックラムズのWTB(ウィング)セミシ・トゥポウは兄弟で、2シーズンぶりの兄弟対決となった。
両チームは昨季も同じカンファレンスで、第3節にヴェルブリッツのホームで、ブラックラムズが29-25で勝利し、その後は第15節で戦い、今度はブラックラムズホームでヴェルブリッツが、36-34でリベンジを果たした。
ともに接点に強みを見せるチームだけに、今日の試合も接点の攻防が鍵を握ると予想された。天気は晴天。まるでワールドカップを彷彿させるような盛り上がりの中、午後2:30にキックオフされた。
ジャパンラグビー リーグワン 2023-24 ディビジョン1
【ハイライト動画】第1節 トヨタヴェルブリッツ vs. ブラックラムズ東京
先に主導権を握ったのはホームのヴェルブリッツだった。前半3分、キックカウンターから、新加入の日本代表CTB(センター)シオサイア・フィフィタ、同じく新加入のLO(ロック)トム・ロビンソンが縦を突くと、SHスミス、SOバレット、CTBチャレーリー・ローレンスとすばやくつなぎ、最後はWTBヴィリアメ・ツイドラキが右中間にトライ。SOバレットがゴールを決めて、7点を先制する。
さらに11分、ヴェルブリッツは相手の反則から敵陣奥でラインアウトのチャンスを得て、モールを押し込んだ後、BK(バックス)陣が素早く左に展開し、最後はWTB岡田優輝が左隅に押さえて、12-0とリードを広げた。
前半の後半からブラックラムズが接点で優勢となり、相手陣での時間が続く。23分にはモールを押し込み、グラウンディングできなかったが、28分にはマッガーンが中央のPG(ペナルティゴール)を決めて、3点を返す。
その後もブラックラムズの時間が続き、モールでトライを狙うと、33分、ヴェルブリッツのNO8デュトイが反則の繰り返しによりシンビン(10分間の退場)。34分、数的有利となったブラックラムズは、モールを押し切ってNO8ネイサン・ヒューズ左端にグラウンディング。8-12と追い上げ、そのままハーフタイムを迎えた。
後半5分、ブラックラムズはスクラムで反則を誘い、アドバンテージの出る中、インゴールへト。ライと思われたが、TMO(テレビジョンマッチオフィシャル)の末、味方が相手を妨害していたことで、ノートライとなる。さらにモールからトライを狙うが、ヴェルブリッツのFW(フォワード)陣が止めて、アンプレアブルとなり、得点を許さない。
10分を過ぎると、今度はヴェルブリッツの時間帯となり、相手反則からクイックタップで攻めて、SHスミスのパスから強いランナーを走り込ませたが、グラウンディングできなかった。
そのまま、スコアボードが動かないまま迎えた28分、ヴェルブリッツは45mほどのPGのチャンスを得たが、途中出場のSOティアーン・ファルコンが決めることができなかったが、続く32分には中央のPGを沈めて15-8と7点差とした。
残り数分、ブラックラムズも同点を狙って攻め込むが、ヴェルブリッツのFLトゥポウが激しいタックルでチームを救う。さらにスクラムでも相手の反則を誘い、後半は相手に得点を許さなかったヴェルブリッツが15-8で、そのまま勝利してノーサイドを迎えた。
開幕戦を白星で飾ったヴェルブリッツが勝ち点4を獲得し、7点差以内の敗戦となったブラックラムズは勝ち点1を得た。POM(プレイヤー・オブ・ザ・マッチ)には兄の貫禄を見せたヴェルブリッツのFLウィリアム・トゥポウが選ばれた。
ゴールラインを背負っても粘りのディフェンスを見せたが、クロスゲームを落としたブラックラムズのピーター・ヒューワットHC(ヘッドコーチ)「シーズンの1試合目で学びもあった。引き続き、月曜日からハードワークしていく」と前向きだった。
HO武井キャプテンも「やるべきことは明確だったし、チーム全員が同じ画を見ていたと思う。自分たちのシステムが守れていた時は、アタックもディフェンスもできていた。ただ、昨季から接戦で勝ちきれていないこともあり、ディティールにこだわっていきたい」と前を向いた。
ホームの大声援の中、勝利したヴェルブリッツのベン・ヘリングHCは「良い結果で終われた。チームのハート、パッションが見せられた。ブラックラムズはフィジカルだった。まだ、チームとして改善すべきことはあるが、とにかく勝ちきれたことは評価できる」と話した。
姫野キャプテンは「アーロンとボーデンのゲームメイクが良かった。いい準備をしてきたので、いいスタートが切れたが、ペナルティが多くなってしまった部分は課題だ。ただ、チームとして勝ちきれたこと、地元の名古屋での試合を勝利で飾れたことはうれしい」と声を弾ませた
ヴェルブリッツでの初試合となったSOバレットは「大好きな日本のラグビーがまたできてうれしい。今日もハードでフィジカルだった。時間はかかるが、新しいチーム、システムの連携を作り上げていきたい」と勝利にホッとした表情を見せた。
日本デビューとなったSHスミスは「いい日だった。満員のスタジアムでファンも、自分たちと同じ緑のジャージを着て応援してくれたし、天気も良くて勝つことができた。日本に来てまだ日が浅く、パスやパススピードはまだぎこちないところもあったが、チームにインパクトは与えられたと思う。ニュージーランドにいた時もトレーニングはしていたので、80分間プレーできた」と満足げに振り返った。
白星スタートとなったヴェルブリッツは第2節、12月16日(土)、神奈川・日産スタジアムで、昨季3位の横浜キヤノンイーグルスに挑む。惜しくも敗れたブラックラムズは、ホームの駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場に三菱重工相模原ダイナボアーズを迎える。
文:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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