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清々しい表情を見せた堀江翔太
12月6日(水)、埼玉パナソニックワルドナイツに所属し、日本代表としてラグビーワールドカップに4回出場したHO(フッカー)堀江翔太(37歳)が埼玉・熊谷ラグビー場で会見を開き、今季限りでの引退を表明した。
清々しい表情で、ポロシャツ姿で現れた37歳の堀江は「唐突ですが、今季をもって、ラグビーを引退しようと思っています。10歳からラグビーを始めましたが、ターニングポイントで運良く、いい人と知り合って、いいラグビー人生を送れたと思います」。
「僕自身、上まで上がっていけるようなラグビー選手でなかったので、本当にいろいろな人からの支え、サポートがあって、ここまで来られたと実感しています。一番は家族がいつも常に横にいてくれて、サポートしてくれたと、引退すると決めときに実感しました」と挨拶した。
家族には伝えていたが、ワイルドナイツのチームメイトには、この日の午前中の練習のミーティング前に時間を作ってもらい、今季限りの引退を伝えたという。
「(コーチの)コリー(ホラニ龍コリニアシ)さんがいて、劉永男、(木川)隼吾さんがいて、そういう人たちに支えられながら、三洋電機(現ワイルドナイツ)で過ごして、日本代表まで行ったので感謝しかない」。
「もともと1年目、ラインアウトを放れない、スクラムも組めない、ただボールを持って動けるだけで三洋電機に来たので、関わったくれた人、すべてに感謝したい」。
引退を決意したのは1年半ほど前だという。「(2023年)ワールドカップの結果が良かろうが、悪かろうが、ワールドカップが終わって、このシーズン終えて引退しようと思っていました。4度目のワールドカップを目指すことも、モチベーションになっていました」。
今でも「体力的には全然、大丈夫です。ケガないし動ける状態でいる」と言い、「40歳まで現役を続けたい」と話していた堀江だが、このタイミングで今季限りの引退を表明したのはなぜか。
引退後の活動を話す堀江翔太
引退後、堀江はラグビーだけでなく、いろいろな競技の選手や一般の人を教えるS&Cコーチとして活動する予定だ。これについて、「40歳までやりたいと思っていたが、自分でトレーニングをしてきて、一般の方やスポーツ選手でも、身体の使い方で痛みだったり、パフォーマンスが違ったりと見てきて、多く広めたいという気持ち強くなって、そう(引退と)いう気持ちになりました」。
「2015年、大きな首のケガをして、8年間くらい、佐藤(義人)トレーナーと出会ってトレーニングしてきた。正しい身体の使い方があると気づいて、僕がケガをしてからでも、正しい身体の使い方をすれば良くなっていった」。
「もっと若い子が知れば、大ケガせず自分のパフォーマンスを出せて、自分たちのスポーツすることができる選手が増える。若い子のレベルが上がれば、オリンピックに出るような、トップアスリートが増える気がしている。そこに僕は目を向けたいと強く思っている」。
「僕はラグビー主体でやっていますが、ラグビーだけではなく、サッカー、スノーボード、バスケットボール、相撲とかいろいろなスポーツ選手を見てきた。一般の人も含めて、少し正しい身体の使い方を覚えれば、大きくパフォーマンスが変わると実感している」。
「同じアスリートなら伝えられるし、そういうのを広めていきたい。ケガで苦しんでいる選手を助けたいし、未来の選手にもそういうのを覚えてトップ選手になってほしい」と語気を強めた。
また、引退表明のタイミングが開幕直前になったことに関して、堀江は「ワイルドナイツのファン、僕のファンもたくさんいて、そういう人たちに僕の試合を見てほしいという思いがあった」。
「リーグが終わってからだと、あの時無理しても見ておけば良かったというファンもいると思って、そういう人たちに感謝の気持ちというか、試合を見てほしいと思って、このタイミングになりました」。
「ほんまに僕、最後のシーズンになるので、生の僕を見に来てほしい。ホームもそうですが、いろんな試合で最後の僕を見て、最後の堀江やな、と実感してほしい」と説明した。
ラスボスのラストシーズン
堀江選手が現役で出場する試合は、プレーオフやクロスボーダーマッチを入れても、多くて19試合となる。今季の目標に関して「今季は体重を減らしてでも、ちゃんとした身体の使い方で、うまくフィジカルを出せるようにしたい」。
「コンタクトエリアで、そうできるようになれば、体重が増えない選手たちにも励みになるという思いもあるし、ベースは昨季よりもいいパフォーマンスをしたい」。
「昨シーズン、チームは優勝できなかったので、今季は決勝に向けてプレッシャーがかかる中でも、いいパフォーマンスをしていきたい。最後、優勝して終わりたいが、そんなに上手くいくかわからない。1試合1試合、僕だけではなく、チームで1試合にかけていくかだと思っている。まずは開幕に向けてチーム一丸で捧げたい」と意気込んだ。
『ラスボス』の異名を持つ希代のHOである堀江翔太。今季が現役ラストシーズンになる。堀江が毎試合、全力で取り組みつつ王座奪還し、花道を自ら飾ることができるか。堀江とワイルドナイツの今シーズンは、12月10日(日)、熊谷ラグビー場の横浜キヤノンイーグル戦(午後3:05キックオフ)で幕を開ける。
文/写真:斉藤健仁
斉藤 健仁
スポーツライター。1975年生まれ、千葉県柏市育ち。ラグビーと欧州サッカーを中心に取材・執筆。エディー・ジャパン全試合を現地で取材!ラグビー専門WEBマガジン「Rugby Japan 365」「高校生スポーツ」の記者も務める。学生時代に水泳、サッカー、テニス、ラグビー、スカッシュを経験。「エディー・ジョーンズ 4年間の軌跡」(ベースボール・マガジン社)、「ラグビー日本代表1301日間の回顧録」(カンゼン)など著書多数。≫Twitterアカウント
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